Letter From Mom 夫と子どもとクルマたち Vol.7 秋のトスカーナとロードスター

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Vol.7 秋のトスカーナとロードスター

そんなときに、イタリアに住む親友から入った歓びの一報が追い打ちをかける。共に暮らす彼の熱望により、3ヶ月前に注文したマツダ・ロードスターRF(現地名MX-5 RF)が、ついに納車されたという。さっそく2人でドライブに出かけた様子を彼女のブログで見ると、秋のトスカーナの美しさがあふれんばかり。ああ、いいなぁいいなぁとさらに恋しさがつのってしまった。

そういえば初めてのデートのとき、夫はロードスターで迎えにきた。白いボディに真っ赤なシートが洒落ていた、3代目ロードスターだ。10年以上ずっと仕事仲間であり男友達だった夫と、あらためてそのタイトなシートに並ぶと、妙に距離が近くて気恥ずかしかったことを思い出す。それからたびたびオープンカーデートを重ねたが、1年もしないうちに新しい命を授かり、ロードスターはミニバン購入の頭金に変わってしまった。

夫は初めての愛車が初代ロードスターで、それから2代目、3代目モデルとも多くの時間を過ごしていた。その想いは偶然にも今号の『永遠の1台』に綴られているようだが、それほど好きなクルマを手放すのは苦渋の決断だっただろうと、今でもチクリと胸が痛む。

でも現実的に今、まだ幼い娘を置いて夫婦だけでオープンカードライブに出かけるなんて、ちょっと想像できない。どこかへ行くなら娘を連れていきたいし、家族3人の時間を大切にしたい。そんな気持ちの方が強いということに気がついた。

いつか、娘が巣立ってまた夫婦だけの時間が増えたら、オープンカーと暮らすのもいいかもしれない。免許を取った娘の運転で、たまには女ふたりドライブができる日もくるだろうか。それまでこの恋しさが続くのかが疑問だが、イタリアから届くドライブ便りが、いい刺激になりそうな気がする。

なにしろ、あちらでの価格は3,200€ほどと、もはや高級車並みのロードスター。しかも親友の住む地区は路地駐車が許されるものの、オープンカーなんて停めておいたらすぐにイタズラされてしまう、ということでわざわざ高いお金を払って地下駐車場を借りたという。

そこまでして日本のオープンカーを手にしてくれた彼女たちが、これからどんな時を刻み、なにを思うのか。それを聞くのが今からとても楽しみだ。彼は運転が上手くて知識も深い人だから、インプレッションを的確に伝えてくれるだろうし、芸術学部卒で感性豊かな彼女は、助手席で感じるあれこれを絶妙に表現して、私の知らない世界を教えてくれることだろう。

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text:まるも亜希子/Akiko Marumo
エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集者を経て、カーライフジャーナリストとして独立。ファミリーや女性に対するクルマの魅力解説には定評があり、雑誌やWeb、トークショーなど幅広い分野で活躍中。国際ラリーや国内耐久レースなどモータースポーツにも参戦している。

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