第28回 メディア対抗 ロードスター4時間耐久レース 燃費レースの是非

第28回 メディア対抗 ロードスター4時間耐久レース 燃費レースの是非

アヘッド ロードスター4時間耐久レース

WEC(ポルシェやトヨタが参戦する最上位カテゴリーに限る)はラップごとに、消費する燃料の量が規定されている。燃料消費量はリアルタイムで監視され、規定値以上に消費するとペナルティが科される決まり。やはり、燃費に気を遣って走る必要がある。

だがF1もWECも、ドライバーがアクセルペダルの踏み込み具合を調整する必要はない。制御プログラムに組み込まれているので、アクセルペダルは踏みっぱなしでいい。燃料をセーブしなければならない状況では、ペダルを床まで踏みつけていても、燃料の噴射は自動的にカットされる。

そうなると、ドライバーは突然の失速に驚き、憤慨するわけで、そうならないよう、エンジンの熱効率を高めて燃料の無駄遣いを減らし、全開持続時間を長くしようとするわけだ。これが現在、F1やWECで行われている開発である。

アヘッド ロードスター4時間耐久レース

第28回を迎えた『メディア対抗ロードスター4時間耐久レース』は、レース中に使用できるガソリンが前年までの70ℓから60ℓに減らされ、一気に燃費レースの性格を帯びるようになった。

'16年は全長2.045㎞の筑波サーキットを180周した。平均燃費は5.26㎞/ℓである。終盤、ガス欠でストップする車両が何台か出るのが 〝お約束〟だったので、70ℓのガソリンがあるからといって、常に全開で走れるわけではなかった。

'17年も'16年と同じ180周走るとすると、6.14㎞/ℓの平均燃費が求められる。ざっと17%の向上だ。F1やWECならエンジンの開発によって燃費を向上させることができるが、ロードスター4時間耐久はワンメイクなので、エンジンに手を加えることも、制御プログラムをいじることもできない。

限られたガソリンを無駄なく消費し、なおかつ速く走る術はすべて、ドライバーに委ねられることになる。その走りをサポートするのがチームだ。

マツダ・ロードスターのメーターパネルには、平均燃費計がある。これを頼り(気にしながら?)に走るのがスタンダードだった。6.2㎞/ℓをターゲットにし、これを下回るようなら各人の努力(要するに、エンジン回転を抑えて走る)によって数字がターゲットを上回るようにする。

空ぶかしをするヒール&トゥを禁止するチームもあったし、マックス4500rpmなど、回転上限を定めたチームもあった。

計算上は6.2㎞/ℓの平均燃費を守れば4時間走りきれるが、ターゲットを6.4㎞/ℓに設定して貯金を築き、ガス欠の心配がなくなった時点で全開走行に切り換える作戦を立てたチームもあった。「やっぱり全開で走りたいしね」と、そのチームのドライバーは言った(が、言った本人のスティントで全開にできるとは限らない)。

タイヤの空気圧は高めに設定して路面との接地面積を小さくするのが燃費走行のセオリーだが、過度に高く設定するとグリップが落ちてラップタイムに影響を与えてしまう。3.0㎏/cm2に設定したチームがあった一方で、燃費とグリップのバランスを求めた結果、指定内圧の2.0㎏/cm2で走ったチームもあった。

アヘッド ロードスター4時間耐久レース

出走した24チームのドライバーは、前後を走るドライバーと駆け引きを行うのではなく、自分と戦っていた。各チームが燃料をもたせるために施した工夫を知り、それが実際うまくいっているかどうかを確認するのは楽しかった。だが、コースでは、ロードスターが数珠つなぎになりながらも、ただ静かに周回を重ねているだけだった。

「エンジン回転を上げなくても楽しめた」と振り返ったドライバーもいたが、それは「ロードスターの走りは気持ちいい」ことを、レースというステージで確認したにすぎなかった。

厳しい燃費ターゲットをどう達成するのか。ブレーキングで詰めるのか。スロットルワークで工夫するのか。ステアリングの切り方か。そこに楽しみを見いだしたドライバーもいた。「速いドライバーは燃費もいいことがわかった」と証言したチームもあった。

60ℓ規制初レースということもあってコース上のバトルは限定的だったが、経験を重ねるうち、バトルは生まれてくるだろう。今後の成長を予感させる、新時代の4時間耐久レースだった。

※今年で28回を迎えたメディア対抗ロードスター4時間耐久レース。これまでガソリン70ℓで闘ってきたが、今年は60ℓという厳しい条件となった。いかに燃料をセーブするか、というレースは果たしてモータースポーツと言えるのかどうか。そんな疑問を抱きつつも、各チームなりの戦略で挑んだ。

26台のエントリー中、21台が完走。見事優勝したのは「J-waveポテンザロードスター」。2位は「Tipo/Daytonaロードスター」。aheadチームは若林監督のもと、岡崎五朗、丸山 浩、伊丹孝裕、佐野新世の4名が出場。10位で完走した。

「思いっきり走りたい気持ちもあったけど、走り方の試行錯誤も含めて、想像していたよりも楽しかった」という声が多かった。

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text:世良耕太/Kota Sera
F1ジャーナリスト/ライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全』『モータースポーツのテクノロジー2016-2017』(ともに三栄書房)、『図解自動車エンジンの技術』(ナツメ社)など。http://serakota.blog.so-net.ne.jp/

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