ひこうき雲を追いかけて vol.64 七転び八起き

アヘッド バイク プロテクター

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来年、北海道を舞台に4日間で行われるバイクのラリーに出場することを一つの目標にしたものだから(こういう身の程知らずなことをすぐに誌面で言ってしまうのは私の悪い癖だが)、さぁ大変。自分1人では何もできない私はいつも台風の目のようになって、周りを巻き込む。

text:ahead編集長・若林葉子 photo:Toru Hasegawa [aheadアーカイブス vol.179 2017年10月号]


Chapter
vol.64 七転び八起き

vol.64 七転び八起き

面白がって巻き込まれてくれる人たちがいるから、気がつくと私の周りだけ"にわかオフロードブーム"がやってきた。と思っていたらそうでもないらしく、"エンデューロは二輪の東京マラソン!?"でもレポートしているように、9月23日に開催されたJNCC糸魚川シーサイドバレーというエンデューロレースにはなんと370台以上もの台数が集まったという。

因みにエンデューロとは一言でいうとオフロードの耐久レースのこと。日本のどこにオフロードバイクを趣味にしている人たちが、そんなにたくさんいたんだ? とちょっとした驚きだった。

かく言う私も9月はオフロードざんまいで、撮影で訪れた「モトスポーツランドしどき」では、仕事もそこそこにコースを走った。……と本当はかっこよくそう言いたいところなのだが、実際には走ったというより"転んだ"という方が正しい。カメラマンには「若林さん、頑張ってくれないと、転んでるとこしか撮れてないよ」と言われる始末。

前日が雨だったせいもあって、直線はともかく、コーナーが来るたびに、ずるっ、どてっ。バイクを起こそうにも泥をかぶったバイクはうんともすんとも動かない。助けてもらってバイクを起こしても、足場が悪くてまた立ちごけ。ずるっ、どてっを繰り返し、半周もしないうちに息が上がる。

そのうちバイクにまたがろうにも足が持ち上がらなくなって、ほとんどお笑いだ。午後になってコースが乾いてからは少し走れるようになったものの、北海道までの道のりは遠いのである。

しかしこけるのは私だけではない。糸魚川のレースを私も見に行ったのだが、トップの人たちはともかく、どうやらこけるのは普通のことらしい。どこかでハンドガードを落としてきたり、レバーを折ったり、代わりにどこで拾ってきたのか、いろんなところに小枝が挟まっていたりして。それでもオフロードバイクは本当にタフだ。ちょっとやそっとでは壊れない。

主催者があらかじめ危険を排除してくれていることはもちろんだが、大半の人はスピードもそうそう出せないし、ヘルメットをはじめブーツや各所のプロテクター類も効いているから、大抵は大きな怪我には至らない(リスクは常にある)。

もちろん、転ばないに越したことはない。転ぶたび体力も消耗するわけだし、本当に上手な人はそんなにしょっちゅう転んだりしない。でも、それでも思うのだ。こんなにいっぱい転んで、転んでも楽しい遊びって、他にないんじゃないだろうか。

大の大人がどてっと転んで、必死になって立ち上がり、また走る。どてっと転び、起き上がるたび、大げさではなく明日への生きる活力を蓄えているのだ。転んで元気になるなんて、おかしな話なのだけど。

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text:若林葉子/Yoko Wakabayashi
1971年大阪生まれ。Car&Motorcycle誌編集長。
OL、フリーランスライター・エディターを経て、2005年よりahead編集部に在籍。2017年1月より現職。2009年からモンゴルラリーに参戦、ナビとして4度、ドライバーとして2度出場し全て完走。2015年のダカールラリーではHINO TEAM SUGAWARA1号車のナビゲーターも務めた。
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