カーシェアは新しい!楽しい!

アヘッド カーシェアは新しい!楽しい!

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クルマ好きほど、とかく敬遠しがちなカーシェア。でも使い方によってはこれほど便利で、クルマ好きのライフスタイルを豊かにしてくれるサービスもないのである。昨年はじめてカーシェアを利用し、その魅力に気づいたという岡小百合さん。タイムズカープラスを運営するタイムズ24の担当者に話を聞き、自身の実感も含めて、カーシェアの実際についてまとめてもらいました。

text:岡小百合 [aheadアーカイブス vol.184 2018年3月号]

Chapter
クルマ好き的カーシェアの使い方 カーシェアは楽しい!
タイムズカープラスでは、 15分からマイカーのように使える
「色々なクルマに乗れるから楽しい」 そんな声も根強いカーシェア

クルマ好き的カーシェアの使い方 カーシェアは楽しい!

18歳で免許を取ったその日以来、ほぼ初めてのマイカーなし生活を送った。昨年初めから約9ヵ月もの間のこと。それまではアルファロメオ147の官能的なフィーリングに魅せられ、どこへでもハンドルを握っていたにも関わらず、だ。

これが不便をまったく感じなかった。それどころか積極的に楽しかった。というのは自分でも意外だった。そのココロは…「カーシェア」だ。

都心に暮らしているから、マイカーがなくとも、とりたてて不便はない。けれど場合によって、クルマでの移動がベストな時だってもちろんある。実家の親を連れて郊外まで食事へ。夜中に体調を崩した家族を病院へ。あるいは大量の食料品を仕入れに大型スーパーへ。

そういうわけでカーシェアのお世話になった。「いつでもクルマを運転できる環境は、やっぱり便利。そして何より心丈夫なはずだから」と、カーシェア利用者の友人から勧められたことがきっかけだ。

この友人が単に常識的な紳士だっただけでなく、すこぶるクルマ好きであることが、私の興味を動かしたのだった。
50代も半ばを超えた彼は、ロータス・エキシージに乗っている。聞けばエキシージを手に入れたのも、カーシェアのおかげだという。自宅からわずか30mばかりの距離にある民間の駐車場にカーシェア車両が導入された。

それを機に5年を共にした5人乗りのBMWを売って長年の夢を叶え、ブリティッシュグリーンの2シーター・ブリティッシュ・ライトウェイト・スポーツを手に入れたのだ。

「3人以上で出かける時はカーシェアのセダン。釣りに行く時はカーシェアでSUVを。でも、ひとりで乗る時は必ず自分のエキシージ……と言いたいところだけど、実は洗車した翌日に雨が降ったら、ひとりでもやっぱりカーシェアにしちゃうんだよネ。根がケチだから、さ」

そんな風に面白おかしく自虐ネタを交えた、実際のクルマ好きの実際のカーシェアぶりを見聞きしても、最初は懐疑的だった。

「クルマ好きあるある」の例にたがわず、カーシェアに対してネガティブだったからだ。それが「あらら!」と腹落ちしたのは、我が事になってみて初めて知った、その感覚にある。

新しい!そして、楽しい!!のだ。

タイムズカープラスでは、 15分からマイカーのように使える

ところで、カーシェア車両が増えていることは、ahead読者の皆様もお気づきのことだろう。

特に生活道具としての必要に迫られない都市部では、データを確かめるまでもなく街を歩けば一目瞭然の感がある。実際に、クルマ離れが叫ばれる今にあって、カーシェアは急成長を遂げている事業分野だ。

地球温暖化をはじめとする環境問題の深刻化を契機に、スイスでカーシェアが本格始動したのは1980年代後半のこと。それから遅れること約20年、2002年に日本でもサービスが開始された。

年々、需要は増す一方だが、特に2010年辺りからの伸び率は急激だ。カーシェア最大手の「タイムズカープラス」だけを見てみても、2010年には5万人にも満たなかった会員数が、わずか7年後の2017年には約93万人にものぼっている。

現在、47都道府県に備わる約1万のステーション(タイムズ駐車場などカーシェア車両の設置場所)の中には、30台以上の車両を配備する所もあり、「今後も増える予定です」と、タイムズカープラスの広報担当、渡邉倫也さん(パーク24株式会社・経営企画本部)は言う。2万台超を数える同社の車両は2年後の2020年までには3万台にまで増やす計画だ。
そもそもカーシェアとは、1台のクルマを複数の人で使う利用方法を指す言葉。その代表が、企業の運営管理により多数のクルマを多数の会員で利用する、タイムズカープラスのような業態だ。

比較的長時間の利用を想定し一般的に最低6時間からの設定となるレンタカーとは異なり、たった15分の短時間からマイカーのように利用できる気軽さが特徴のひとつだ。車両ごとに拠点となるステーションが決まっていて、原則として乗り捨てできない点も、レンタカーよりマイカーに近い存在感がある。

経済成長が緩やかさを増し、環境保護の観点からも共有や共生をキーワードにしたシェアリングエコノミーが推奨されている社会背景は、カーシェアの急成長を後押ししている。

だが、その人気の最大の理由は、何といっても便利さにある。タイムズカープラス会員へのアンケート調査結果によると、満足している点の上位には「クルマの予約が簡単」「24時間365日利用可能」といった回答が並んでいる。

また経済的な負担の軽さ、というよりも、そこから派生した気楽さを理由に上げるひとも多い。「クルマの維持費がかからない」「使用分だけ課金される料金体系」「保険・ガソリン代を含む料金体系」といった言葉が連なる。
そう、クルマの使用料にはガソリン代も保険料も込み。もしも少し遠出した先で給油しなければならなくなったら、備え付けの給油カードを使えばOK。

自分のお財布からガソリン代を支払う必要も、満タン返しのわずらわしさとも無縁だ。課金の基準は利用時間なので、走行距離による使用料の増加もない(一部パックを除く)。

しかも空いている車両を確認し、スマホから予約をすれば3分後には出発可能。

予約したクルマのリアガラスの片隅などに設置されたカードリーダーに会員カードをかざすと、ピピっと音がしてバシっとクルマのドアロックが外れる仕組みだ。

余談だが、この〝ピピっバシっ〟は、私的にはちょっとした特別感というオマケもついている。

クルマのキーのリモコンボタンを押してドアロックを解錠するという、スマートキーでの一連の動作すら、何だか古くさく感じられるほどだ。浦島太郎になった気分とはこのことかと思った、というのも、実はあんまり大げさでもない。

「色々なクルマに乗れるから楽しい」 そんな声も根強いカーシェア

けれどもそうした実益だけが急成長の理由と、断言するわけにもいかないような気がしている。

たとえばタイムズカープラスの場合、すべて新車で導入するというカーシェア車両は、定期的にメンテナンスをしながら平均して4年を目処に新しいクルマと入れ替えるという。

使用車両にはその時その時の人気車種も少なくない。「色々なクルマに乗れるから楽しい、という会員様からの声も根強いのです」という、前出の渡邉さんの言葉を裏付けるように、タイムズカープラスのカーシェア車両全30車種の中には、トヨタ・プリウス、マツダ・プレマシー、ホンダ・フィットなどベーシックカーの他、マツダ・CX5、アウディ・A1、ミニといった趣味系も顔を並べる。

他社にまで目を広げると、メルセデスベンツ・A250スポーツやスマート・カブリオレ、レクサス・NX、マツダ・ロードスターなど、クルマ好きの心にささるファン・トゥ・ドライブな車種もみんなシェア車両なのだ。

会員カードとスマホ、そして運転免許証さえあれば、30分ずつあのクルマとそのクルマとこのクルマをとっかえひっかえ試乗する、なんてこともお茶の子さいさいなのである。
一方、いわゆるクルマ好きには思いもよらない方法で、クルマを楽しんでいるカーシェア会員も少なくない。通信大手の強みを活かし、システムのプラットフォーム提供という形で、2017年11月にカーシェア事業に参入したNTTドコモの意識調査によると、「カーシェアを(今後も)移動以外の目的で使用したい」と考えているひとが約40%以上を占め、そのうち約10%以上が「実際に利用している」と答えた。

その用途のトップは「仮眠」。次いで「家族・友人との電話」「仕事上の電話」「避暑・避寒」「読書」と続く。音楽やDVD鑑賞は想像がつくけれど、中には「ハロウィンの着替え」「自撮り場所」「ラップの練習」といった趣味の部屋としての使い方や、「仕事上のWEB会議」、そして「子どもの夜泣きの避難場所」という切実な声も。

外界と曖昧に遮断されているがゆえの、ほっとできるちょっとした駆け込み寺として、マイカー的に活躍する姿が浮き彫りになった。

ドイツ、イタリア、フランスなどのヨーロッパ全域で、また環境志向の高い地域を中心に北米でも、カーシェアは急速に普及している。

意識の高い層が集まるとされるボストンやニューヨークでは、マイカーを手放しカーシェアを利用することが〝今っぽさ〟の象徴とみなされる波も、すでに押し寄せているらしい。
矢野経済研究所の調べによると、日本では2014年に前年比40%増の154億円となったカーシェアの市場規模は、今から2年後の2020年には約2倍の295億円まで拡大する予測だ。

クルマ離れというのであれば、クルマを使いたい人を表わしたこの数字を、どう説明したら良いのだろうか。

最後に、タイムズカープラス会員から寄せられた、カーシェア利用者の実際の声をお届けしたい。

「ミニを利用し、初心者マークの息子が運転。横浜大黒PA往復、お台場で食事、葛西のスーパー銭湯でくつろいで、『カーナビなしで大学まで運転してみる』と再びハンドルを握る息子。息子とこんなに話したことはかつてなかった。男同士の会話に嬉しく、俺にもこんな時代があったなと。老体に鞭打って明日から仕事、頑張ろう!」

クルマってやっぱり…素敵だ。

タイムズカープラス

タイムズ24のカーシェアリングサービスは「ミヂカ(クルマの積極的な投入によって”ミヂカ”な存在)」、「オトク(使った分だけで無駄のない”オトク”な料金体系)」、「ベンリ(カーナビやWEBを活用した”ベンリ”な仕組み)」をコンセプトとしたサービス体系がユーザーの支持を受け、順調にシェアを伸ばしている。

https://plus.timescar.jp/

タイムズカープラス車両・件数・会員数推移

2010年以降大きな伸びを見せ、2017年には会員数が93万人にも達している。

カーシェアリングとレンタカー、どこが違う?

10時間以内ならカーシェアリング、それ以上の場合はレンタカーという使い分けが効率的。

料金体系

タイムズカープラスは距離料金のない(一部パックを除く)シンプルな料金体系が特徴。

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text:岡小百合/Sayuri Oka
大学卒業と同時に二玄社に入社。自動車雑誌『NAVI』で編集者として活躍。長女出産を機にフリーランスに。現在は主に自動車にまつわるテーマで執筆活動を行っている。愛車はアルファロメオ・147(MT)。40代後半にして一念発起し、二輪免許を取得した。
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