ダサいものなら欲しくない

アヘッド BiRO

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モノとしての魅力があるとはこういうことか。そんなことをあらためて考えさせられた乗り物がある。「BiRO」だ。

text:岡小百合 [aheadアーカイブス vol.188 2018年7月号]
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ダサいものなら欲しくない

ダサいものなら欲しくない

環境問題や、主に都市部の移動に関わる時間や駐車スペースなどの問題解決を目指し、電動パーソナルコミューターとしてイタリアで誕生したBiRO。その最大の特徴は、コンパクトなサイズと、「I'm easy」と主張する通りの使い勝手の良さだろう。超小型モビリティーたる小ささは、なるほど駐車もし易いだろうし、狭い道路の行き来にも力を発揮する。

実際に都心で試乗してみたのだが、これが思ったよりもよく走る。というのが第一印象だ。原付二輪の時速30キロを少し上回る時速45キロを難なく出せる力強さは、少なくとも、平均速度が時速30キロを下回るとも言われる東京都心の交通事情では必要にして十分。

雨風をしのげて、法律的にはヘルメットも不要、そして4輪がゆえに自立することも考え合わせると、スクーターよりも気軽で便利な移動手段になっていく可能性は大いにありそうだ。

そうした機能と同じく、否、それ以上にBiROをBiROにしているのは、インパクトあり、かつ、街の風景に反発しないそのデザインと、ビビッドなカラーリングかもしれない。主義や主張に共感できても、意見や方針に賛同できても、「ダサいモノなら欲しくならない」。

そういう人間の本音を真正面から受け止め得る姿形であることは、「ミラノの石畳に停まっていたBiROに一目ぼれして販売を決意した」という、同車の日本の輸入代理店カツラダモータース社長の言葉が代弁している。

同社長には「BiROで街の風景を変えたい」という夢がある。それを聞いてここ最近の街の風景が頭に浮かんだ。渋谷や原宿の街を歩くと、しみじみと感じることがある。日本の若者たちのファッショナブルで個性豊かな姿だ。いやいや、そんなの10年以上前からでしょ? それは、そう。ごもっとも。けれどここ何年かの変化は、同類とつるんでいない若者が増えたことだ。

長い髪を三つ編みにしたゴスロリの女子、鼻ピアスにスキンヘッドの男子、ボブヘアに真っ赤なルージュで着物をまとった女の子…。それぞれがまっすぐに前を向き、ひとりで闊歩する。多様性を認めようとか、偏見をなくそうとか、そんなことは大人から言われなくてももうやってるし。私は私だし。そうとでも言わんばかりに。

国際交流やボランティア活動に熱心な学生も増えていると聞く。加速度的に進む地球温暖化、今日も世界のどこかで続いている紛争、未曽有の津波に襲われた東北地方。スマホを通して、ハリウッド・セレブのおしゃれなインスタをチェックすると同時に、そうしたニュースを即座に視覚でとらえることもできる時代の若者たちなのだ。

パーソナルなスタイルを大事にし、かつ地球規模の問題にも関心を寄せ、そして自動車離れ世代と呼ばれている彼らの視覚や感性に、BiROがどう映るのか、それをぜひとも聞きたくなった。街の風景を変え続けている彼らに。

▶︎着脱式のバッテリーを採用した100%電動の四輪パーソナルコミューター、“BiRO”(バッテリー容量の大きい固定式も選べる)。写真の男性が運んでいるのはキャリーバッグではなくてバッテリー。運びやすいようにキャリーが装着されている。軽くて、取り外し可能なドアはポリカーボネート製。ゆえにラッピングもカラーリングも自由自在。イタリアでは宣伝カーとしても活躍している。

●BiRO Big
車両本体価格:¥1,380,000(税別)
バッテリー(リチウム脱着式or固定式):¥600,000(税別)
航続距離:55km以上(脱着式)/100km以上(固定式) 
全長×全幅×全高(mm):1,835×1,030×1,565
最大速度:45km/h
最大登坂斜度:20%以上
最小回転半径:約2.8m
*ラインアップは「BiRO Summer」「BiRO Winter」「BiRO Box」と、「Black Limited Edition」の5モデル。
詳しくはHPもしくはお問い合わせを。www.birojapan.com
問い合わせ先:
BiRO STORE Tokyo
TEL:03(6228)3164
BiRO STORE Osaka
TEL:06(6147)9163

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text:岡小百合/Sayuri Oka
大学卒業と同時に二玄社に入社。自動車雑誌『NAVI』で編集者として活躍。長女出産を機にフリーランスに。現在は主に自動車にまつわるテーマで執筆活動を行っている。愛車はアルファロメオ・147(MT)。40代後半にして一念発起し、二輪免許を取得した。
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