モタスポ見聞録 Vol.10 レースの未来を背負う フォーミュラ E

Vol.10 レースの未来を背負う フォーミュラ E

アヘッド レースの未来を背負う フォーミュラ E

シーズン4で変化があったのはアウディくらいで、これまではチームが主体となって参戦活動を行っていたが、シーズン4からはアウディが主導権を握り、ワークス活動として参戦する。WECからFEに軸足を移すのはポルシェも同様だが、アウディはひと足先にEVシフトを済ませたことになる。BMWはアンドレッティと組んで活動することが決まっており、車体にはBMWのバッジが貼られていた。

それだけではない。BMWのユニフォームに身を包んだスタッフが大勢パドックを動き回っており、「もう何か始めている」ムードを周囲に振りまいていた。対照的に、ルノーと入れ替わる形でシーズン5から参戦する日産自動車は影も形も見えなかった。シーズン6から参戦するメルセデス・ベンツは既存のチームとジョイントするのではなく、新規参戦枠を利用しての参戦となる予定だが、準備は着々と進めている。

ヴェンチュリーに所属するM・エンゲルとE・モルタラは、メルセデス・ベンツのDTMプログラムの一員だった経歴を持つ。参戦は2シーズン先だが、ドライバーを送り込んで(実はエンジニアも帯同している)、ノウハウを蓄えておこうというわけだ。これらの動きから、ヨーロッパのメーカーは「参戦している」事実だけで満足するつもりはないことが伝わってくる。

第1戦、第2戦のダブルヘッダーで行われた香港戦は、小林可夢偉がアンドレッティからFEデビューを果たした。「どうしてフォーミュラE?」の質問に可夢偉は、「みなさんがここにいる理由と同じですよ。この日本人メディアの数、いまのF1より多いでしょ。それだけ期待が大きいカテゴリーなんだと思います。いろんなメーカーも出てきていますし」と答えた。

ドライバーとしての経験値を高めるために参戦した可夢偉は、ぶっつけ本番だったのがたたって低調な成績(20台中第1戦15位、第2戦17位)に終わったが、「走れば走るほど良くなる実感があった」と手応えを感じた様子。「次ぎにオファーがあったら?」の質問に「乗ります」と即答した。

ざっくり例えると香港戦が行われた市街地コースは東京のお台場と銀座を一緒にしたような繁華街にあり、休日は人でごった返す。FE目当てでなく、「何かやってる!」と大勢の人の足を止めるだけの魅力と迫力があったようだ。白煙が上がったり、スピンしたり、壁にぶつかったりすると大歓声が上がるのは、他のレースと変わりない。

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text:世良耕太/Kota Sera
F1ジャーナリスト/ライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全』『モータースポーツのテクノロジー2016-2017』(ともに三栄書房)、『図解自動車エンジンの技術』(ナツメ社)など。http://serakota.blog.so-net.ne.jp/

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