岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.106 ディーゼル車規制の本質

VOL.106 ディーゼル車規制の本質

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しかし実際に乗り入れ規制の対象となるのは「排ガス規制が緩かった時代の古いディーゼル車」であって、「すべてのディーゼル車」ではない。欧州では'93年のユーロ1をスタートに、ユーロ2('96年)、ユーロ3('00年)、ユーロ4('05年)、ユーロ5('09年)、ユーロ6('14年)と、段階的にディーゼル車の排ガス基準を厳しくしてきた。

今回の判決の対象となるのはユーロ4以前のモデルで、ユーロ5('19年以降は規制対象)とユーロ6はいままで通り使える。そこを明確にしないまま、ディーゼル全体をあたかも環境汚染の元凶と印象づけるような報道は大いに問題アリ。

むしろこのニュースのポイントは、ディーゼルがダメということではなく、環境負荷の高い古いディーゼル車をいままで見過ごしてきた欧州当局の失策という文脈で理解するのが正解だ。

幸い、ドイツを引き合いに出し「いまだディーゼル車に税制上の恩典を与えている日本は遅れている」といった勘違い記事は出てこなかったが、間違った報道が大なり小なり、ぼんやりとしたかたちでディーゼル車への向かい風になったのは間違いない。電力事情を無視してEVをエコだと無条件で持ち上げる記事に近いミスリードだと思う。

メディアの命はファクトと、それに基づく冷静な分析と正しい解釈を読者に伝えること。小さな事実なんてどうでもいいという姿勢では報道でもジャーナルでもなくプロパガンダになってしまう。

最後に日本のディーゼル事情だが、日本はいまから20年近く前にディーゼル車に対する規制を大幅に強化し、環境負荷の高いディーゼルを路上から一掃した。日本の空気が澄んでいるのは、ディーゼル車にいちはやく厳しい排ガス規制を課した見返りなのだ。

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