目指せ!カントリージェントルマン VOL.9 勇敢な先駆者に思う

VOL.9 勇敢な先駆者に思う

アヘッド 勇敢な先駆者

ウーバーは完全自動運転の分野でトヨタやボルボと提携しており、事故を起こした車輛はボルボXC90だった。とっさに「まだ無理だろう!」と考えた。

ボルボのインテリセーフはアダプティブクルーズコントロールと車線中央をキープするパイロット・アシスト、そして操舵支援によるレーン・キーピング・エイドを組み合わせたもの。だから軽くステアリングを握りながら機械の運転を傍観していることも可能だが、絶えずドライバーが見張り、危険回避も率先して行うことが基本としてある。

実際にカーブの曲率がきつくなれば自動操舵は心許なくなるし、急な割り込み車輛に気づくのも遅い。法律的な縛りもあって現在の自動運転技術はレベル2に留まっているので上記の性能は当然なのだが、そこから察する限り、完全自動運転はまだまだ先の話と感じてしまう。

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ところがよくよく情報を整理してみると、ウーバーのXC90はルーフの上にウーバー・テクノロジー製のカメラやセンサー類を搭載し独自のソフトを利用しているので、レベル2ではないのだろう。

ネットニュースの騒ぎ方はけっこうなもので「事故ではなく事件、絶対にあってはならない重大事件」と書いているものまであった。ちょっと大袈裟過ぎやしないか? ネットニュースは大手検索サイトとの相性だけが生命線なので、キャッチコピーが過激になるきらいがある。亡くなってしまった女性には同情の念を禁じ得ない。

だが、誰も成し遂げたことがないような新しい発明、技術が熟成していく最中に犠牲者が出てしまうことは、歴史的に見れば、もしかしたら仕方のないことなのかもしれない。

18世紀の終わりごろ、麻酔薬を発明した華岡青洲は、紆余曲折の末に完成させた麻酔薬の人体実験を行う段になって行き詰まり、実験台となった実の母を失い、妻を失明させている。完全自動運転が実証実験の段階に入っている今、絶対に起きてはいけないことが起きてしまうということを、人類全体がしっかり意識しなければならないのだと思う。

完全自動運転が実現すれば、我が国で騒がれ、毎日のように死亡事故が起きている高齢者の運転とそれに伴う運転免許返納の問題だって「モリトモ、森友」なんて言っている政治家連中の手腕(笑)に頼らずとも、解決の方向に大きく近づく。

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オフサイドのライン寸前で足並みを揃えているヨーロッパ勢に先んじて完全自動運転の扉を開けようとしているウーバーやテスラのスタンスは勇敢、そんな見方もあって然るべきだろう。

閑話休題、今日は寒が戻って我が家の庭にも雪が積もっている。こんな日は薪ストーブを思い切り焚けるから嬉しい。余熱を利用してスコーンも焼けた。物事はすべからく、タイミングが重要だ。

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text:吉田拓生/Takuo Yoshida
1972年生まれのモータリングライター。自動車専門誌に12年在籍した後、2005年にフリーライターとして独立。新旧あらゆるスポーツカーのドライビングインプレッションを得意としている。東京から一時間ほどの海に近い森の中に住み、畑を耕し薪で暖をとるカントリーライフの実践者でもある。

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