22年ぶりに誕生したタクシー専用車〜JAPAN TAXI

アヘッド 22年ぶりに誕生したタクシー専用車〜JAPAN TAXI

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「タクシー専用車、ジャパン タクシーの出発式が行われた」 そんなニュースを耳にしてはいたものの、このニュースのどこがそんなにエポックなのか、今ひとつぴんと来てはいなかった。ところがそのニュースを聞いてすぐ、偶然にも出先で拾ったタクシーがジャパン タクシーだったのだ。これも何かの縁、とジャパン タクシーについて話を聞いてみることにした。

text:ahead編集長・若林葉子 [aheadアーカイブス vol.182 2018年1月号]
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22年ぶりに誕生したタクシー専用車〜JAPAN TAXI

22年ぶりに誕生したタクシー専用車〜JAPAN TAXI

取材にうかがったのは国際交通株式会社。現在、東京都内で93台のタクシーを稼働させている。「タクシー専用車はこれまでにもなかったわけではないんですよ。1995年に誕生したクラウン コンフォートがそれです*」(代表取締役社長 山野直也さん)
*日産・セドリックなどもタクシー専用車両として販売されていた(2014年に生産終了)

私たちが最も見慣れているタクシーである。細かい改良は繰り返されてきたものの、ベース車両は据え置かれたまま、なんと22年の歳月を重ねてきたというのである。タクシーなんて作れば必ずタクシー会社が買うんだから、もっと頻繁にモデルチェンジしたっていいでしょ? と思うのは素人考えで、絶対数が少なく儲からない。労多くして益少なし、なのだそうだ。

ゆえに新しいタクシー専用車を望む声は高まっていた。そして2020年の東京オリンピックで弾みがついた。ついにトヨタが「日本の街の風景を変えることを念頭に、おもてなしの心を反映した次世代タクシー」を開発するに至ったのである。そこには豊田章男社長の「トヨタは、タクシー車両としてクルマを使っていただくことによって、その信頼性、耐久性を高め、安全安心なクルマを育ててきた」という思いもあったであろう。

かくして生まれ変わったタクシー専用車。ベース車両はシエンタが採用された。ドアはスライドドアだ。後席のフロアはフルフラットで、体を低くかがめる必要もなく、奥の席へのアクセスもスムーズだ。携帯電話を急速充電できるUSB端子も2つ備えられている。車椅子は畳まずにそのまま乗車できるようにもなった。

そして、インテリジェントクリアランスソナーやプリクラッシュセーフティシステムなど先進の予防安全、衝突安全装備が搭載されたことを付け加えておきたい。利用者も乗務員も、さらには他者(他車)にとっても安全性が高まる。それって素晴らしいことではないか。

実は元GT300のレーシングドライバーという異色の経歴を持つ山野さん。新旧のタクシー専用車をサーキットで乗り比べたところ、あらゆる点で進化していると実感したと言う。「燃費に関してもこれまでの約6ℓ/㎞から約13ℓ/㎞に向上していますし、予防安全装備で事故がゼロに近づくことにも期待したいですね」

オリンピックが開催されるころには、「タクシーと言えば、ジャパン タクシー」そんなふうに街の風景も変化しているかもしれない。

JAPAN TAXI

▶︎国際交通の山野代表によると、タクシーの1日の走行距離は約300km。5年で50万kmになる車両もあるとのこと。これまで1ヵ月の燃料代は1台に付き約30万円だというから、燃費改善によるメリットは大きい。また93台が常時稼働していると、事故はどんなに気をつけていても月に数件は起こってしまうため、クルマに搭載された予防安全装備によって事故が無くなることに何より大きな期待がある、と言う。これから全国で徐々に新旧のタクシー車両の入れ替えが進んでいくはず。

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text:若林葉子/Yoko Wakabayashi
1971年大阪生まれ。Car&Motorcycle誌編集長。
OL、フリーランスライター・エディターを経て、2005年よりahead編集部に在籍。2017年1月より現職。2009年からモンゴルラリーに参戦、ナビとして4度、ドライバーとして2度出場し全て完走。2015年のダカールラリーではHINO TEAM SUGAWARA1号車のナビゲーターも務めた。
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