アライに刻まれる ドゥルディ・パフォーマンス

アヘッド ヘルメット

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ヘルメットのグラフィックデザインにはその人の個性が表れる。ヘルメットはバイクに乗る上で必要不可欠であるため、誰もが必然的に被っている。故に、安全性を高める目的と同時に、個性を表現するツールにもなっているのだ。そんなヘルメットに、グラフィックデザインで、その人の強烈なパーソナリティーを刻みつける人がいる。アルド・ドゥルディ氏その人だ。

text:サトウマキ [aheadアーカイブス vol.183 2018年2月号]
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アライに刻まれる ドゥルディ・パフォーマンス

アライに刻まれる ドゥルディ・パフォーマンス

マニアックな2輪レースファンにはお馴染みの「ドゥルディ・パフォーマンス」を率いるイタリア人デザイナーは、MotoGPで活躍するバレンティーノ・ロッシやマルク・マルケス、WSBKの3年連続王者ジョナサン・レイ、さらには、レジェンドライダーであるケビン・シュワンツやランディ・マモラ、といった名だたるライダーたちのグラフィックデザインを生み出した。

他にも、毎年デザインを変えて限定販売されるマン島TTのオフィシャルヘルメットや、ドゥカティやHRCのオリジナルヘルメットなど、その活動はライダーに向けたデザインだけに留まっていない。

しかしよく見ると、ライダー用を除くとアライにしかデザインを提供していないのだ。ロッシの使っているagvでも、ロッシのデザイン以外にそのロゴマークは刻まれておらず、選手のレプリカ以外でドゥルディ・パフォーマンスのグラフィックを楽しめるのは、今のところアライだけしかない。なぜなのか?
アライヘルメットとアルド・ドゥルディ氏の出会いは80年代に遡る。1983年に当時ヘルメットの激戦区だったヨーロッパに、アライはアライヨーロッパを設立。その直後、ダイネーゼから純正ヘルメットを作る話を持ちかけられた。そしてその時のダイネーゼのデザイナーがドゥルディ氏だったのだ。その後も連絡を取るようになり、アライヘルメットのグラフィックも手がけることになった。

当時の海外業務担当者は、「ドゥルディ氏がデザインした最初のアライヘルメットは、2代目のケビン・シュワンツだったはずです。このレプリカヘルメットを発売した頃、欧州では、アライは価格が高いと文句を言われていました。けれどもケビンのレプリカだけは爆発的に売れたんです」

その後、アライの契約ライダーをドゥルディ氏に紹介するなどといった関係が続き、ドゥルディ氏の方から「メーカーのオリジナルモデルのデザインはアライだけにする」とわざわざ申し出があったという。
ドゥルディ氏のデザインは、ヘルメットに直に手書きすることから始まる。なんとも職人的な手法だ。そんな職人的な部分が日本人の気質や、信念を持ったヘルメット造りを続けるアライと相通ずるものがあったのだろう。

また、ライダー用のヘルメットについても商品化することを念頭に置き、スポンサーロゴを外しても成立するデザインを最初から行っている。そういった細やかな配慮のせいか、ドゥルディ・パフォーマンスのグラフィックには、被る人を奮い立たせたりハッピーにする力がある。被っていることに誇りを持てるデザインなのだ。
ライダーを応援するためにレプリカを買う人もいる。ライダー好きが高じて歴代のレプリカをコレクションしている人もいる。へルメットのあり方は、今や安全のために被るだけではなく、自己のアイデンティティの表現手段、そして、コレクションアイテムとしてもその存在感を放っているのだ。

今後、外出先でライダーを見かけたら、被っているヘルメットに注目してみて欲しい。もしかしたら、その人の中身がみえてくるかもしれない。
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text:サトウマキ/Maki Sato
ファッション専門誌からバイク専門誌の編集部に転職した異例の経歴を持つ。現在はフリーランスのエディター&ライター。30代でバイクの免許を取得した。遅咲きながら、バイクへの情熱は人一倍、勉強熱心で努力家。ライディングの美しさには定評がある。
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