岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.103 ウィンタータイヤという選択

VOL.103 ウィンタータイヤという選択

アヘッド 岡崎五朗のクルマでいきたい

それでもスタッドレスタイヤに履き替えない人が多いままなのは、学習能力の欠如というより、路面に積もるぐらいの雪が降るのは年に一度か二度しかない、という気象条件によるところが大きいと思う。

スキーやスノーボードが趣味の人でもなければ、たった一日か二日のためだけにスタッドレスタイヤを購入し、季節ごとにわざわざ履き替えるのは面倒だし不合理だなと思ってしまうのも理解できない話しではない。

しかし、たとえ雪が降らなくても、冬場にタイヤを履き替えるのは理に叶った行動なのである。最大の理由はサマータイヤの特性にある。気温が低いとサマータイヤはグリップが落ちる。一般的に、7℃を境にサマータイヤとスタッドレスタイヤのグリップは逆転すると言われている。

つまり、たとえ雪が降らなくても、気温が低ければスタッドレスタイヤのほうが安全マージンは高くなるということだ。冷たい雨が降っていればその違いはさらに大きくなる。

事実、ドイツでは気温が7度を下回ると冬用タイヤの装着が義務づけられる。雪が降ろうが降るまいが、冬場にサマータイヤのまま走っていたら罰金。加えて、サマータイヤでスタックして交通を阻害したり事故を起こしたりしたらさらに多くの罰金が科せられる。

ドイツの場合、日本のように路面が凍結するケースは少ないので、氷に強いスタッドレスタイヤではなく、低温性能と雪上性能と高速走行性能をバランスさせたウインタータイヤを装着する人が多い。実は日本でもこれまで多くのタイヤメーカーがウインタータイヤの販売を試みてきたが、中途半端な存在として失敗を繰り返してきた。

しかし、首都圏のような「雪が積もるのは年に一度か二度」、「だからスタッドレスは必要ない」と考える人が多い地域にこそ、低温性能が高く、かつ雪にも対応できるウインタータイヤがベストな選択だと思うのだ。

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