トヨタのロードゴーイングレーサー

アヘッド GRスーパースポーツコンセプト

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TOYOTA GAZOO Racingは、東京オートサロンでGRスーパースポーツコンセプトとそのテストカーを世界初公開した。

text/photo:世良耕太 [aheadアーカイブス vol.183 2018年2月号]
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トヨタのロードゴーイングレーサー

トヨタのロードゴーイングレーサー

GRはトヨタが'17年9月に立ち上げたモータースポーツ直系のスポーツカーブランドで、WEC(世界耐久選手権)やWRC(世界ラリー選手権)などの活動を通じて得た技術やノウハウを市販モデルにフィードバックするのを特徴とする。すでにヴィッツや86、アクアやヴォクシーなどの「GR」が発表・発売中だ。

GRスーパースポーツコンセプトはその頂点に位置する存在だ。いや、象徴と言うべきか。既存のGR各車は、市販モデルをベースにモータースポーツのエッセンスを注入している方向で開発している。

一方、GRスーパースポーツコンセプトの開発は逆で、ベースはレースカーだ。ル・マン24時間をシリーズの一戦に含むWEC参戦車両のトヨタTS050ハイブリッドを、公道を走れる状態に仕立て直したのがGRスーパースポーツコンセプトである。
トヨタのWEC参戦は、ハイブリッド技術をレースという過酷な環境で鍛えるのが目的だ。市販ハイブリッド車は燃費向上に軸足を置いた開発を行っているが、TS050が搭載するレーシングハイブリッドは燃費向上だけでなく、減速時に回生したエネルギーをパフォーマンス向上に結びつけるのがコンセプトだ。

車両ミッドに搭載する2.4ℓ V6直噴ツインターボエンジンは500psの最高出力を発生するが、フロントとリヤに1基ずつ搭載するモーターの出力も合わせて500ps。エンジンとモーターの出力を合わせたパワーユニット最高出力は1000psに達する。

GRスーパースポーツコンセプトは、この超高出力のパワーユニットをほぼそのままの状態で搭載する予定だ。文字通り、公道を走るレースカーが誕生する(発売時期は明言されていない)。

公道を走れるようにするには厳しい衝突安全基準や排ガス規制を満たす必要があるし、レースカーのようにひとり乗りというわけにはいかない。そこで、レースカーから市販車への橋渡し役を担うテストカーは2人乗りとなっている。

TS050では助手席側にあったバッテリーは足元に配置しているよう。そのせいでペダルはステアリングとほぼ同じ高さにある。助手席の乗員も含め、バスタブの縁に足を載せたような着座姿勢を強いられることになりそうだ。

空力性能を犠牲にしない範囲でエレガントなスタイルに仕立てられたコンセプトカーにサイドミラーはなく、カメラで捉えた映像で後方を確認する想定であることを示唆している。ヘッドライトの意匠や機能を含め、最終仕様への進化が楽しみだ。

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text:世良耕太/Kota Sera
F1ジャーナリスト/ライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全』『モータースポーツのテクノロジー2016-2017』(ともに三栄書房)、『図解自動車エンジンの技術』(ナツメ社)など。http://serakota.blog.so-net.ne.jp/
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