ひこうき雲を追いかけて vol.68 自動車業界で働く女性たち

vol.68 自動車業界で働く女性たち

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女性の同性を見る目の厳しさはよく分かっているので、当日、私は少々緊張していた。与えられた2時間のうち、1時間は私が話をし、残りの1時間はディスカッションの時間にしたい。しかし、ちゃんと建設的な話し合いができるだろうか。

ところが、そんな心配は全くの杞憂だった。出席者は、“チームリーダー”と“係長”の肩書きを持つ8名の女性たち。年齢は20代後半から40代後半。人数もちょうど良かったのだろうし、ぐるっと円になって座れたことも良かった。それから事前に「当日の様子は後からご報告するのでご担当者も含めて男性社員は遠慮していただきたい」とお願いしてあったので、完全に女性だけというのも良かったと思う。会は時間が足りなくなるくらい盛り上がった。

中でも「男社会の中でやってきた中で“壁”を感じたことはなかったですか?」という質問を受けたとき、私はハッとした。そうか、ここにいる女性はみな同じ悩みの中にいるんだ、と。

自動車部品というのは言ってみれば“男の商材”。商品を完全に理解することそのものにも難しさがある。また、この会社では「女性活用」が実際に制度として動き始めたのは最近のことで、彼女たち曰く「ロールモデルがないんです」 総務や人事や経理などはまだしも、現場の製造管理などで人の上に立つようになると、「現場を知らない」ということがネックになって、現場で働く男性たちからなかなか納得してもらうことができない。信頼されない。そのことに負目を感じている、というようなリアルな悩みも聞かせてもらった。

一方、労働組合の仕事を掛け持ちしているという女性からは「でも例えば男性に、女性はこうなんですよ、と教えてあげると、みんなへぇそうなんだと素直に驚いてくれる。男性は意地悪をしているわけじゃなくて、そもそも発想がない。気づかないだけなんです」というようなこともお聞きした。

責任ある立場にいる女性たちだけあって、問題意識も高く、前向きで、むしろ刺激をもらったのは私の方だった。

異質なもの同士が力を合わせてどううまくやっていくか。これは時代に関わらず永遠のテーマだ。しかし異質なものであるからこそ、新しいものが生まれるということもある。互いにリスペクトし、理解し合う努力をし、同じ目標に向かってどのように進んでいけるか。自動車業界のこれからの課題でもある気がしている。

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text:若林葉子/Yoko Wakabayashi
1971年大阪生まれ。Car&Motorcycle誌編集長。
OL、フリーランスライター・エディターを経て、2005年よりahead編集部に在籍。2017年1月より現職。2009年からモンゴルラリーに参戦、ナビとして4度、ドライバーとして2度出場し全て完走。2015年のダカールラリーではHINO TEAM SUGAWARA1号車のナビゲーターも務めた。

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