排ガス規制でバイクが消える

排ガス規制でバイクが消える

アヘッド バイク

photo:長谷川徹

クルマの場合、生産終了を迎える理由のほとんどは販売台数低下、つまり売れないことによる。今回のバイクのように、排ガス規制強化によって国内4メーカーの183車種の3分の1以上となる67車種が生産終了(日刊工業新聞社調べ)になるような壊滅的な事態は起きない。

これにはいくつか理由がある。ひとつは、生産終了となる車種の多くは400㏄以下の小排気量で、かつ空冷エンジンであることだ。排ガスの浄化にはエンジンの温度管理が重要だが、小排気量の空冷エンジンは技術的ハードルが高い。

空冷エンジンの採用は部品点数が少ないことによる整備性の良さや低コストもあるが、それよりも独特のトルクフィールや造形美を優先してのことである。ただでさえバイクには物理的スペースの余裕がないうえ、外観の美しさを損なわずに排ガスの浄化装置や故障診断装置を搭載することも、やはりむずかしい。

排ガス浄化に欠かせないキャタライザー(触媒)は車重増を招くし、やはり生産コストを高騰させる。また排ガス規制とは別に、新型車は来年10月、継続車は2021年10月から装着義務となるABSも要因だ。搭載スペースの問題だけでなく、開発や生産コストに直結する。

もちろんそれはクルマも同じであるが、車体構造と利益構造にそれらを許容する余裕がある。しかしバイクは車体が小さく、150㎏程度の小排気量車にそうした補機類を積むと10%以上の車重増もありうる。

小排気量車は、車両価格が20~60万円。車種別で年間1位の販売台数を誇ったとしても数千台という小さな市場規模では、排ガス規制やABS義務化によるコスト増は致命的だ。つまるところ、バイクには物理的にも経済的にも余白がないのだ。

そんな状況下でもホンダはスーパーカブ50を全面刷新して生産を継続させた。しかし同型エンジンを搭載するモンキーは生産終了だ。スーパーカブの継続は、ホンダの自尊心と社会的責任だろう。趣味性が強いため造形美や走行フィールに妥協が許されず、販売台数が少なく利益を見込めないモンキーは作れないのだ。

そして2020年、さらに厳格化するユーロ5が来る。これに対してユーザーができることは少ないが、この事実だけは覚えておきたい。

アヘッド Honda Monkey

Honda Monkey

アヘッド Yamaha SR400

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アヘッド Kawasaki W800

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アヘッド Suzuki ST250

Suzuki ST250

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text:山下 剛/Takeshi Yamashita
1970年生まれ。東京都出身。新聞社写真部アルバイト、編集プロダクションを経てネコ・パブリッシングに入社。BMW BIKES、クラブマン編集部などで経験を積む。2011年マン島TT取材のために会社を辞め、現在はフリーランスライター&カメラマン。

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