私の永遠の1台 VOL.21 ルノー 初代トゥインゴ

アヘッド ルノー  初代トゥインゴ

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「永遠の一台」と問われ車歴を思い返してみた。ほぼ、クーペやオープンカーが続くが、「あーっ、やっぱりこれだ!」と思い当たったのが、ルノー・トゥインゴの初代モデル。それまでもクルマに乗ってはいたが、自分のお金で自分専用に新車で買った最初のクルマだ。

text:佐藤久実 [aheadアーカイブス vol.181 2017年12月号]
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VOL.21 ルノー 初代トゥインゴ

VOL.21 ルノー 初代トゥインゴ

出会いがセンセーショナルだった。場所はドイツ・ニュルブルクリンクサーキット脇の道路。初めての24時間レース参戦のため、訪れていた時だ。

チャレンジングなお誘いに即答で意気揚々と出かけたが、国内一人旅すらしたことなかったのに、ひとり彼の地に赴きタフなレースに挑む、という現実を目の当たりにし、孤独や不安を抱きながらトボトボ歩いていた。と、前方から1台のクルマが通り過ぎていった。〝満面の笑み〟を湛えて。

「えっ!、何、今のクルマ」完全な一目惚れだった。笑った顔から「ウププ」と名付け、早速その「ウププ」の正体探しを始めた。

「ルノー・トゥインゴ」というクルマであることが判明。しかし、当時、まだ日本に正規輸入されていなかった。そして平行輸入車はかなりお高い…。諦めきれずにいたところ、私の思いが通じたかのように正規輸入が決まった! 適正価格! 発表会に伺い、その場で購入決定!!

こうしてトゥインゴとの〝甘い生活〟が始まった。〝モノフォルム〟のボディはコンパクトだが室内は広く、リアシートもスライドする。斬新なセンターメーターだったので、ステアリングの奥、ドライバーの間正面にナビを取り付けた。ドアにはトリムなどなく、外板と同じ鉄板剥き出し。

シートは、カラーこそ落ち着いたトーンだが、雲の絵があしらわれている。コンパクトカーゆえ高級じゃないが、フランス車らしい潔さ、センスの良さにゾッコン。

でも、もっとも斬新だったのは、「イージー」と呼ばれるクラッチレスマニュアルシフトだ。クラッチペダルがないだけで渋滞での苦痛もなく、ドライビングがこんなに楽になる、そして、操る楽しさはそのまま。当時、「フランス車は壊れるよ」と周りの人には言われたが、私のトゥインゴはトラブルフリー、いつもウププと笑顔で、ゴキゲンに走ってくれた。

1.2ℓエンジンは非力で、たとえば東名高速道路の下り方面、足柄のあたりは結構な登りで、5速のままだと息切れを起こすので4速にシフトダウンしないと走らなかったりする。が、そんなところも愛おしく思えた。

その後、ライフスタイルが変わったため、買い替えを決意してトゥインゴとお別れした。が、こういう出会いがあると、クルマに愛着が持て、〝愛車〟になるんだろうな。

▶︎初代ルノー・トゥインゴは1992年のパリサロンで発表され、翌年より発売されたAセグメントの大衆車。スペース効率を考えてプラットフォームを新規で製作した意欲作で、外観からは想像できない広大な室内空間と多彩なシートアレンジが特徴だった。

エンジンは、定評のある1.2ℓのOHVで最高出力は52psしかないが、車体重量が860kgと軽いこともあって、活発な走行を提供してくれる。

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text:佐藤久実/Kumi Sato
大学在学中の1986年にツーリングカーレースでレースデビュー。現在はモータージャーナリストやカー・オブ・ザ・イヤー選考委員として活動する傍らでレースにも引き続き参戦。2014年のニュルブルクリンク24時間レースでは日本人女性として初めてTOYOTA 86でクラス優勝を果たした。
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