Rolling 40's VOL.110 モーターショー裏読み(その2)

VOL.110 モーターショー裏読み(その2)

アヘッド ROLLING 40's

前回のコラムでもこのモーターショーの話を書いた。その中で今年のモーターショーの展開とその裏を読んだのだが、アウトラインは別として、会場の雰囲気は、私の予想はほとんど外れたと言っていい。

まず私が期待していた自動運転や人工知能などは、一部のメーカーで新機種に搭載されたなどの発表があったが、既存のアップデートで、大きな技術革新が、研究成果としても発表されたりすることはなかった。代表的なメーカーのブースの私的感想を簡単に書いてみる。

「トヨタはセンチュリー新型がかなりツボだった。フルエアロにしたい」
「マツダはお洒落になったが…」
「日産は、実はEVをコツコツとやっている」
「ホンダは二輪が元気良かった」
「メルセデスのハイブリッドスーパーカーは、どうせ買えない感」
「スズキ、新型ジムニーを出さない不思議」
「アウディは静かな凄み」
「三菱はやはりマイウェイ」
「スバルは居場所を見つけた感」
「ポルシェという殿様商売」

四輪も二輪も相当に悪食マニアである私ではあるが、今年のモーターショーは一昨年に増して「不思議感」に包まれた日だった。これは私だけなのかと自分のセンスを心配したりもしたが、会場で出会った旧知の乗り物系業界人たちも、みんな一様に首を捻っていた。

だが中身がないという訳ではない。実際には自動車メーカーではない電機メーカーが多くのEV関連のブースを大きく出しているなど、明らかに「変革」の波がジワジワと押し寄せてきていると実感した。水素と電気のせめぎ合いも顕著に出ていたが、その関連を普通の方たちが見て楽しいと思うかどうかは別である。

各メーカーの方とも多少お話する機会もあったが、個人的な感想としては、「変革」の波音にメーカーの方たち自身が戸惑いを感じているように思えた。

欧州各国では、内燃機関に代わりいきなりクルマの電動化に前のめりになっていることが大変な話題となっている。とくにフランス政府と英国政府が、ディーゼルエンジンあるいはガソリンエンジンで走るクルマの販売を2040年までに禁止するとの方針を出したことが大きいだろう。

欧米の小国ではもっと際立った動きを見せている。ノルウェーは2025年までに販売車両のすべてをEVやPHEVにする意向で、オランダも同様な政策を推進している。

この辺りの欧米の「大人な決断」は、文化レベルで尊敬に値すると思う。これにはアメリカもアジアもある程度歩調を合わせざるを得ないはずだ。あと20年以上猶予があると思うか、20年しかないと思うかどうかである。

スポーツ競技に例えるのなら、アスリートたちが自分自身の技術や体力の向上だけにまい進していたのが過去とするならば、今の状況は、アスリートたちが競技ルールそのものの変更に気をもんでいるというような状況であるとうかがえる。

ラケットをバットに変えろと言われたり、サッカーボールで野球をやれと言われたら、いくら天才アスリートでも困ってしまうだろう。

だがアスリートがルールに文句を言い出したら切りがないので、新たなルールでゲームを進めていくしかないのが現実的な判断だろう。もしかすると、今この時代というのは、四輪にとって一番退屈な、次世代との切り替わりの時代なのだ。

次世代のルールが見えていない、決まっていない状況で、どうやって技術と体力を向上させていけば良いのか分からずにいるのだ。

内燃機関が無くなってしまえば無くなってしまったで、そちらの方がハッキリして、新しいルールでの新しいゲームに集中できるはずだ。自動運転しかり、SF映画のような、自動運転のレースも華やいでくるだろう。

そんな状況である。モーターショーの各メーカーの動向が乱れているのも致し方ない。だが、それでも、再来年の東京モーターショー2019には、モーターショーに憧れた昭和世代としては再び期待をしてしまう。

よく言われることだが、やはりバッテリーと自動運転の技術革新を成し遂げたメーカーが次世代を担うはずだ。ここしばらくは「腰を抜かす」ような変革はないであろうが、それでも技術革新は必ず訪れるはずで、10年もすれば次世代への扉が開く瞬間は訪れるはずだ。

ちなみに日本の電気メーカーからは、現行の液体電解質リチウムイオンバッテリーの数倍の性能という、固体電解質リチウムバッテリーの試作品が続々と登場している。日本の起死回生はバッテリーであることに間違いはないであろう。

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text:大鶴義丹/Gitan Ohtsuru
1968年生まれ。俳優・監督・作家。知る人ぞ知る“熱き”バイク乗りである。本人によるブログ「不思議の毎日」はameblo.jp/gitan1968

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