埋もれちゃいけない名車たち vol.64 ハイソカーのさきがけ「日産・初代レパード」

vol.64 ハイソカーのさきがけ「日産・初代レパード」

アヘッド 日産・初代レパード

それまでの日本の高級車と呼ばれるクルマ達は良く言えばわりとお堅い感じ、悪くいえばオヤジっぽくて野暮ったい感じ。それを逆手にとったヤンキー・カルチャー系のモディファイドカーも悪くはなかったが、主流はあくまでも〝坊ちゃん嬢ちゃん〟系。

1981年にトヨタがソアラをデビューさせて少ししたあたりから、プクプクと膨れ上がりを見せはじめていたバブル景気の泡の広がりに呼応するようにして、パーソナルカーとしての色合いの強まった〝ハイソカー〟達がもてはやされる時代へと突入していったのだ。

その時代のアイドルの筆頭株はソアラであり、マークⅡ3兄弟であり、ホンダ・プレリュードであり、日産シーマであり……といった感じだった記憶があるが、このカテゴリーの直接的ルーツは何だっただろう?と考えてみると、ひとつは短命に終わったセリカの上級車種である1978年登場の〝セリカXX〟であり、もうひとつは1980年登場の初代〝日産レパード〟だったんじゃないか、というところに行き着く。

とりわけ日産レパードは、後の王者ソアラに先駆けること1年前に世に送り出されている他社製品であり、直接的なライバルと視られていた。なのに、人気テレビ番組『あぶない刑事』の劇中車として使われたことで今も一部で熱狂的な人気を誇る2代目はともかくとして、この初代は忘れ去られようとしている。

でも、初代レパードのデビューは、かなり衝撃的だったのだ。あの当時は高校生だったから小難しいことはよくわからなかったが、リア側のピラーの位置の左右を狭めてキャビンの後ろ側を絞り込むことでボディ全体のショルダーラインを際立たせるなど、スタイリングデザインは結構チャレンジングで、伸びやかでシャープでカッコよかった。

何から何まで真っ赤だったり逆に茶系の濃淡で上品っぽかったりする、それまでの日本車ではあまり見たことのなかったインテリアが用意されていたりもして、そんなところから当時のクルマ好き少年達には、遊び上手な大人が美女を乗せてさり気なく乗りこなす欧米型〝非〟実用車に感じられて憧れた。

なのに、クーペだけじゃなく4ドアまであったり、メカニズム的には旧態依然でスペック的に恐ろしく見劣りしたり、今ひとつ〝成り切れてない〟感があったのも事実だった。

今なら70〜80年代のアメ車っぽい雰囲気で粋に乗れそうな気がする。

日産・初代レパード

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初代日産レパードのデビューは、まだ“ハイソカー”という言葉が存在しなかった1980年。本文にあるように、エクステリアやインテリアに関しては若者にも大人にも比較的好評だったが、パフォーマンス的な面では見どころはなく、クルマとしての評価を分けた。

何しろ開発のベースになった大元は910型ブルーバード、搭載するのは古めかしくノーマルではパンチに欠けたL型6気筒エンジン。上級グレードの2.8リッターを選んでも170psのソアラに対して145psでは勝ち目はない。後にフェアレディZのV6ターボを積んで230psを得たが、時すでに遅し、であった。

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text:嶋田智之/Tomoyuki Shimada
1964年生まれ。エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集長を長年にわたって務め、総編集長として『ROSSO』のフルリニューアルを果たした後、独立。現在は自動車ライター&エディターとして活躍。

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