美深町と共に歩む ースバル研究実験センター美深試験場

美深町と共に歩む ースバル研究実験センター美深試験場

「当時、私たちの先輩は北海道のさまざまな場所を走行して極低温環境での走行性能や暖房性能、多雪地での雪害や走破性などの評価を行っていました。走りに走った末に、雪が多く冷え込みの厳しい、自動車にとって過酷な環境、そして機密と安全が確保しやすい場所として仁宇布にたどり着いた、と聞いています。冬季の試験を比較的長く行えること、季節の移り変わりに従ってさまざまな路面状況を見ることができるのもこの地の良さですね」(スバル研究実験センター、秋山 徹氏)

1995年に試験場が開設されるまでの間は一般道を使っての走行試験を繰り返してきたが、吹雪などで走行できない日があったり、路面のコンディションが日々変化するため定量的な試験が難しく、現象結果の解明には苦労が伴ったという。

そんな苦労の日々を支えてくれたのは、ほかでもない仁宇布の人たちだった。試験を進めるためにはまず「クルマ置き場」と「作業場所」が必要だが、地元の牧場主さんが快く納屋を提供してくれたという。そればかりか1980年ごろまでは宿泊や食事までお世話をしてくれたそうだ。

仁宇布の人たちの理解と温かな支援があったからこそ、とスバルの仁宇布の人たちへの感謝の気持ちは深い。試験場の施設管理者は冬季試験期間中ずっと仁宇布に宿泊し、また毎年、仁宇布小中学校の子供たちをテストコースに招く。「試験チームのみんなで手を振って子供たちを迎え入れることが私たちの楽しみにもなっています」

この美深試験場に先日、新たに「高度運転支援技術テストコース」が新設され、見学会が開催された。その日、私たちにジンギスカンや蕎麦、カレーなど温かい昼食をふるまってくれたのも仁宇布の人たちだった。

既存のコースをベースとして、より実際の道路に近づけるべく改修された新設路で、スバルは、ますます高度化していく運転支援技術の開発を加速させていく予定だ。

白樺が紅葉する美しいテストコースを見ながら、1台のクルマが世に出るまでの長い時間と、直接的、間接的にそこに関わる多くの人たちの苦労に思いをはせる特別な一日となった。

●スバル研究実験センター美深試験場(敷地面積361ヘクタール)

アヘッド スバル研究実験センター美深試験場

▷高速道路の緩やかなカーブ

アヘッド スバル研究実験センター美深試験場

▷市街地路

アヘッド スバル研究実験センター美深試験場

▷都市間高速道路のICやSAを想定した「分合流路」

アヘッド スバル研究実験センター美深試験場

▷1994年頃、美深一般道での寒冷地テスト「スバルドミンゴの走行試験」中の1枚。クルマの前に立つのは若かりし頃の秋山氏。

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text:若林葉子/Yoko Wakabayashi
1971年大阪生まれ。Car&Motorcycle誌編集長。
OL、フリーランスライター・エディターを経て、2005年よりahead編集部に在籍。2017年1月より現職。2009年からモンゴルラリーに参戦、ナビとして4度、ドライバーとして2度出場し全て完走。2015年のダカールラリーではHINO TEAM SUGAWARA1号車のナビゲーターも務めた。

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