特集 渡辺 真理

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現在、BS朝日で放送されている

ドライブトーク番組『EyeSight presents恋するドライブ』。

この番組のドライバー兼パーソナリティを務める渡辺真理さんは

ご自身も大のクルマ好き。そんな渡辺さんに、

クルマのこと、ドライブのこと、番組のこと、うかがいました。

聞き手:若林葉子 photo:菅原康太  スタイリスト:大隅雅恵 ヘアメイク:相場広美 [aheadアーカイブス vol.121 2012年12月号]
Chapter
渡辺 真理

渡辺 真理

─渡辺さんはクルマがとてもお好きで、普段、仕事に行かれるときもご自分で運転されると聞いています。免許を取られたのはいつ頃ですか。

渡辺 実は意外と遅くて29歳のときでした。大学を卒業してTBSに8年勤めたんですけれども、最後の年、『NEWS23』を終えて、初めて日勤になったんですね。その日勤だった半年の間に、土日をうまく利用したり、どうにかこうにか仕事をやりくりして取りました。

─半年後にTBSを退職されてフリーになり、『ニュースステーション』のキャスターになられたんでしたね。

渡辺 はい。TBSの大先輩である久米 宏さんとは、久米さんが局を辞めてから初めてTBSで特番をなさるという時に声を掛けていただいて以来だったのですが、デイリーでご一緒できるのは本当に光栄でした。ただ、といいますか、この時はじめて久米さんがおかしなほどクルマ好きと知ったんですよね。久米さんは久米さんで、ニュースステーションを一緒にやると決まってから、私が最近免許を取ったと知って。忘れもしませんが、ご自宅にうかがった時「これが君に合うんじゃないか?」と思われるクルマのパンフレットを山のように積んでらした。本当に有難かったのですが、ビックリもしました。

─まるでご自分のことのようですね。

渡辺 私だけじゃなくて、スタッフの誰々がクルマを買い換えたと聞くと、必ず試乗なさるんです。といっても駐車場を1周くらいなんですけど。殿方は、そういうの楽しいみたいですねぇ。私も誘われて、いつも駐車場、一周してました。

─最初のクルマには何を選ばれたんですか。

渡辺 結局プジョーが合うんじゃないかということになって、等々力にあるディーラーに試乗に行きました。乗ってみたら、私も「あ、これ好き」と思って、それが『306カブリオレ』でした。

─あまり迷われなかったんですね。

渡辺 そうですね。クルマに限らず洋服でも家具でもカップひとつでも、最初の直感や印象はかなり大きいです。迷うときというのは、多分、ファーストインプレッションが自分にとってそんなに強くないときみたいです。

─306カブリオレに関しても、その直感は当たっていましたか。

渡辺 はい! 結局、3台乗り継ぎました。1台目は外装がガンメタリックで、シートはエンジ色。2台目も全く同じで、3台目も同じものをと思ったんですけど、ちょうどモデルチェンジのタイミングで。ディーラーの方が、「今、日本に来る最後の306カブリオレが船で向かってます」っておっしゃって。それは外装が黄色で、シートが黒だったんです。でも、とにかくこのクルマが好きで

なるべく長く乗っていたかったので、最後の1台は鮮やかな黄色の306カブリオレでした。

─本当にお好きだったんですね。

渡辺 そうなんです…。だから、もしもクルマ道楽ができるような生活をしていたら、今でもこのコは絶対に手元に置いておきたかったです。ただ私の場合、自宅のある横浜から職場は片道45㎞、往復で90㎞。あっという間に10万㎞走っちゃうんです。趣味という以上に、日常生活の欠かせないパートナーとして酷使してしまうわけですから、メカとして音を上げる前に泣く泣く手放しました。

─免許を取ってすぐハードに乗られるようになったわけですが、運転に慣れるまでにハードルはなかったですか?

渡辺 私はあまりなかったんです。もしかしたら、生まれ育った環境も関係あるかもしれないですね。ずっと横浜なので、港があって、産業道路があって、道路が波打つくらいダンプも多くて。そういう道を小さい頃から父のクルマに乗せられ、大きなトラックに両脇をはさまれながら走ってたので、恐怖心は薄れてたのかもしれません。自分で運転するようになってからも、夕方都内に向かう時は少し混みますが、帰りの深夜12時過ぎの首都高はクルマも少ないですから。これが往きも帰りもラッシュだったりしたら、また少し違っていたかも知れないけど。

─なるほど。子どもの頃の環境とか、免許を取られたときの環境とか、いろんなタイミングが上手にぴったりかみ合って、クルマといいお付き合いをされるようになったんですね。

渡辺 きっと、恵まれていたんですね。でも、クルマに乗るようになる経緯は人それぞれで、最初のハードルが高い方もいらっしゃると思うのですけれど、もしかしたらその方が、慣れてからの開放感は大きいかもしれないですよね。子供の頃って、例えばひとりで遠くに行ったりしたら、特に女の子はやっぱりちょっと怒られたり心配されたりするでしょ。だから一人でどこへでも好きな時に行けるというのは、それはもう気持ちよくて。別に、何かに束縛されているわけではないんだけど、単なるツール以上の〝パートナー〟感があるというのは、クルマってすごいですよね。

─自由というのはつまるところ〝移動の自由〟じゃないかというのは感じますね。

渡辺 大人への扉ですよね。そういえば、大のクルマ好きである友達の雨宮塔子ちゃんが、パリの生活に慣れるまでには一定の時間が掛かったけれど、慣れてからは半日旅行がとても楽しいと言ってました。地続きのヨーロッパならではの感覚なんでしょうね。アメリカのような、何にもない、ここで独りぼっちになったらどうしようって思うような真っ直ぐな道もありだと思いますけど、ヨーロッパの半日旅行っていうのもいいなぁって。

─渡辺さんは今、BS朝日の『恋するドライブ』に、ドライバー兼パーソナリティとして出演されていらっしゃいます。運転をしながらパーソナリティを務めるということで、ご苦労はないですか?

渡辺 苦労ではありませんが、とにかく安全は第一に考えています。本当に大切なゲストを助手席に乗せているので。1にも安全、2にも安全…と。でも、それ以外の大変さやストレスは正直、ないです。もちろん、初対面の方も多いので、楽しんでくださってるかなとか、私の運転で怖くないかなとかありますけれど。なにせ、ドライブですから! ドライブに誘って、「いいよ」と言ってくださった方とドライブする。楽しくないわけないです。

─それでとても自然なんですね。私は、編集長から勧められて『恋するドライブ』を初めて見たんです。一番最初に見たとき、実はちょっと戸惑いがありました。この番組はドライブ番組なんだろうか、インタビュー番組なんだろうか…と、私のステレオタイプな頭が疑問符を出したんですね。でもだんだん楽しくなってきて。ドライブってこうだよなって。ちゃんとドライブが主役になっていますね。

渡辺 ありがとうございます。走ってるクルマがあまり映らない、ワンカメで切り替えもない、ナレーションもない、BGMの選び方も独特…。クルマ番組だったら当然あるはずのモノをほぼ跳ね除けてる番組なんです。ひとえにスタッフが、すごい。それを許してくれるスバルさんもスマートでふとっぱら。クルマが何秒映ったとかそういう近視眼的なことで判断せずに、ドライブの気持ちよさや体感など、視聴者の方の心地よさを重視して判断されているのが有難く、貴重だと思っています。

─いいチームなんですね。

渡辺 はい、とても。仕事をするときって、どんなものにしたいかというコンセンサスはクリアな方がいいんだけど、例えばクルマ雑誌だったら、クルマ雑誌の常識や定石というものも当然分かりつつ、もっと面白いもの、もっと新しいものを作りたい衝動って生まれますよね。

─ええ、それは雑誌をつくる上でも大事です。

渡辺 型を破ろうとする姿勢が見えすぎてもかっこ悪いんだけど。

─『恋するドライブ』はそのバランスがいいんですね。

渡辺 まだまだ挑戦中ですが、人って「ないといけないもの」を優先しがちですよね。でも、実は「なくてもいいもの」の中に楽しみとか豊かさとか、生きがいまで詰まってて。絵や音楽とか、会話でも文章でも基礎は大事ですよね。手紙の書き方、起承転結、接続詞の使い方。でも、自分の部屋や、クルマの中で普段ゆっくりしてるとき「ところが」とか「そこで」なんて頭の中で言わないですよね。会話も飛ぶし、考えも飛ぶし、目線だってあっちこっち自由に飛ぶ。例えば10分という時間の中に、入れたい内容をギュッと凝縮して詰め込んだら面白いかというと、そうでもない。ものづくりも、頭だけで考えると、どうしても型に嵌めこもうとしてしまうと思うんです、自省をこめて。

─頭で考えることも大事だけど、感覚も大事。

渡辺 必要なものを順に挙げていくと、空気、水、米とかから始まって、絵や音楽やクルマはずっと後になる。でも何が気持ちいいかなっていう順だとね、絵や音楽やクルマや、晴れていることっていうのはもっと前に来るでしょう? だから、何が気持ちいいかなぁとか、自分の感覚はどういうときに楽しいって言ってるかなぁってことを無視しないことが大事だと思うんです。この番組ではスタッフみんなが、そこを共有しつつ楽しんじゃってるところが何より好きで嬉しいです。自画自賛ですけど。番組を見てくださった方から「一緒にドライブしてる気持ちになりました」という感想をいただけるのは、見てる方までドライブに誘ってるスタッフの下心が成就してるってことかなと思ってます。

─収録とはいえ、渡辺さんが本当にドライブを楽しんでらっしゃることが、この番組の空気となって伝わっているんですね。ドライブを楽しむことが渡辺さんの役割でもある。

渡辺 そうですね。私はゲストと話をしながら運転しているんですけど、気心の知れたスタッフとも一緒にドライブしているので。

─あくまでもドライブ。

渡辺 先ほど「これはインタビューなんだろうか」っておっしゃいましたけど、確かにこれはインタビューっていうジャンルじゃないかも。でも、ある意味、すべての番組がインタビューであるとも思っているんです。以前、コラムニストの天野祐吉さんが、「久米さんはものすごくジャーナリスティックな人だ」とおっしゃったことがあって。「ザ・ベストテン」という番組で松田聖子さんや中森明菜さんの歌の前に、「髪型をボブにしたけど、どうして?」とか、「すごくウエストを絞る衣装だけど、流行ってるの? 」とか細かく質問されるんですよね。たわいのない話に聞こえるんだけど、これから流行りそうなものが見えたり、彼女たちは何を感知してるかちょっと分かったり、もっと内側までちらっとうかがえたりもして。だから、報道がジャーナリスティックで、芸能や文化やスポーツがジャーナリスティックじゃないという分け方は無意味だよねぇって。

─言われてみれば、確かにそうですね。

渡辺 政治家の方が議会で発言されるのは本業で、内容は大切ですが、〝その人〟という個性は、何気ない会話やどうでもいい話から滲むことが多いですよね。どんな時に大声で笑うのかとか、みたらし団子よりアンコの方が好きって知ったら、何で? そうかおばあちゃんに育てられたからなんだとかね。それで何が分かるということではないし、加算されてはいかないんだけれど。

─でもそっちの方が、その人のことがもっとよく分かるということはありますね。

渡辺 そこまで私ができてるかは自信ないんですけど、ゲストの人柄をドライブが引き出してくれているのは確かだと思うんですよね。それが、ドライブの魅力というか。毎回ゲストとドライブしてお話して、ああホントにかわいい人だなぁとか、ステキだなぁとか。自分がくさくさしているときに、あぁ頑張ってるんだなぁとか。私が助けられてもいます。ゲストの方がオフィシャルな場所で話すのはセリフだったり、制作発表だったり。この番組は多分、その対極にあるもので、だからゲストが見せてくれる表情や横顔に、まず私が惹かれちゃうんですよね。

─考えてみれば、クルマとかドライブってそういうものですね。公的なものと私的なものの間にある…。

渡辺 芸能界やスポーツの世界で輝くっていうのはものすごい風圧とか水圧があるはずで、そんな彼女たちが、運転するのが好きって聞くと、オンで頑張ってる彼女たちのシェルターとしてクルマはすごく大事なんだぁって思います。うちに帰って寛ぐっていうのもありだけど、流れる風景を見る、遠くを見る、部屋の窓より広い空が見える、ゆとりはあるけれども広すぎない空間にいる…。クルマやドライブが人に与えてくれるものってすごく大きいですよね。
「ひとりでどこへでも好きなときに行ける

というのは大きな開放感。

大人への扉です」

「自分の感覚はどういうときに楽しいって

言ってるかなぁってことを

無視しないことが大事だと思うんです」


クルマで波打ち際を走れることで有名な千里浜なぎさドライブウェイ

(12月5日放送)

夕陽が美しいことでも知られている。
BS朝日 『EyeSight presents 恋するドライブ』
BS朝日(BS5CH)  毎週水曜日/23:30〜深夜0時放送

番組公式サイト:www.bs-asahi.co.jp/drive/

Facebookページ:www.facebook.com/koi.drive

クルマが大好きな渡辺真理さんがドライバー兼パーソナリティを務めるドライブ番組。自らも運転するのが好きという女性をゲストに、「ツーリングマップル」でルートを選びながら、ドライブが始まる。何か特別なことが起きるわけではないが、見ているといつの間にか自分も一緒にその道を走っているような気持ちになる。そして番組を見終わると、自分もきっとそこをクルマで走ってみたくなる。ナレーションすらないのだが、時折挟み込まれる字幕のセリフやBGMも素晴らしく、明るい気分にさせてくれる。最後に紹介されるドライブマップは監督の手描きだそうである。

 12/19(水)は渡辺美奈代さんと行く高野山のドライブ、12/26(水)は大林素子さんと行く伊丹のドライブを放送予定。

ドライブの相棒は、EyeSightが搭載されたスバルのクルマたち。

「レガシィ」「インプレッサ スポーツ」「エクシーガ」など。「久米 宏さんがずーっとレガシィに乗ってらっしゃったので、レガシィに乗るときはいつも、あぁ久米さんのレガシィだって思いながら運転してます。そんなこともあって、スバルのクルマがいかに良いかについては久米
さんから本当に耳にタコができるくらいうかがっていました。でも
さすがに久米さんもそう言われるだけあって、本当に乗りやすい。いろは坂のようなカーブでも、どんなに深い霧の中でも、安心してゲストと一緒に乗っていられるのは多分、このクルマたちのおかげです。ハンドルが重いとか軽いとか、そんな風に感じたことがないのは、そう感じさせないほど全てにおいて、人の感覚に合う適度さがあるからだと思うんです」(渡辺真理さん)。

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渡辺真理
1967年6月27日生まれ。

神奈川県横浜市出身。

国際基督教大学教養学部卒業。

1990年TBS入社。1998年フリーに転身。

http://watanabemari.com
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