岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.39 望まれたトラックへの装着

VOL.39 望まれたトラックへの装着

アヘッド 岡崎五朗のクルマでいきたい


 乗用車ではスバルの「アイサイト」が人気を集め、オプションながら装着率は70%に達しているという。わずか10万円で事故を回避できるのならぜひ付けたい、と考える人が増えてきているのはとてもいいことである。

 乗用車にとっても非常に有効な安全装備である衝突被害軽減ブレーキだが、いざ事故を起こすと重大な加害性をもたらす大型トラックにはさらに有効だ。国土交通省によると、年間2万5000件に及ぶ大型トラックによる事故の55%を追突が占め、死亡事故発生率は乗用車の約12倍に達するという。たしかに、大型トラックにまともにぶつかられたら乗用車などひとたまりもない。

 仮にすべての大型トラックに衝突被害軽減ブレーキシステムが装着されれば、死亡事故件数をおよそ90%削減できると見込まれているが、オプション価格が30〜50万円することもあり、現在の普及率はわずか3%に過ぎない。

 そんな状況を受け、国土交通省はついに衝突被害軽減ブレーキ装着の義務化を決定した。まずは2014年11月1日以降に生産される車両総重量22トンを超える大型トラックと、13トンを超える大型トレーラーの新型車への標準装着が始まり、20トントラックにも順次適用される予定だ。継続生産車には2018年までの猶予期間があること、また20トン未満のトラックには適用されないなど、本格的な普及までにはまだまだ時間がかかりそうだが、まずは大きな前進と言っていいだろう。

 こんな装置を付けたらかえってドライバーの注意が散漫になるのでは? と思う人もいるかもしれない。が、実際に試してみると自動ブレーキがかかるのはかなり切迫した状況になってからであり、装置に頼りきってドライバーの安全運転意識が低下する心配はない。

フォルクスワーゲン up! 目を見張る基本性能の良さ

これほどの内容をもつクルマが150万円台で販売されたら、日本のコンパクトカーはかなりヤバいことになる…海外試乗会でup!の優秀性を嫌というほど思い知らされた僕は、様々なメディアにそう書いた。

 しかし、先日発表された日本での価格は僕の予想をいい意味で裏切るものだった。エントリーグレードである「moove up!2ドア」の価格は149万円! しかもこの価格には、レーザーレーダーを使って低速域での追突を回避もしくは軽減するハイテク自動ブレーキシステム「シティエマージェンシーブレーキ」が含まれている。国産コンパクトはおろか、軽自動車さえたじたじのコストパフォーマンスと言っていいだろう。

 しかも、up!の魅力は単なる安さだけにとどまらない。走り、曲がり、止まるという基本性能の高さはコンパクトカーの常識をはるかに超えるレベルにあり、とくに高速道路での安心感と快適性はほぼ同じサイズのトヨタ・パッソとは雲泥の差。ヴィッツやフィットといった1クラス上と比べても圧倒的に優秀だ。国産コンパクトからup!に乗り換えたら、直進安定性、静粛性、乗り心地などの素晴らしさに目から鱗が落ちるに違いない。

 一方、弱点になりそうなのはフォルクスワーゲンがASGと呼ぶMTベースの2ペダルシステムだ。AT限定免許でも運転できるが、トルコン式ATやCVTと比べると、スムースに走らせるためには丁寧なアクセルワークが必要となる。また、リアウィンドウがポップアップ式であることや、運転席側に助手席のパワーウィンドースイッチがないことなども利便性という点ではマイナスだ。

 しかしそんな弱点を差し引いてあまりあるほどの魅力=基本性能の高さがup!には備わっている。コスト削減ばかりに目を向け、クルマ本来の性能をおざなりにしてきた多くの国産コンパクトにとって、up!の価格と内容は大きな脅威になるだろう。

ポロよりコンパクトなボディサイズながら、タイヤの配置やエンジンレイアウトを工夫し居住空間を最大化。大人4人と小旅行の荷物を搭載するラゲージスペースを確保した。安全性にも考慮し、ESP やフロントサイドエアバッグに加え、シティエマージェンシーブレーキを全車に標準採用した。

車両本体価格:¥1,490,000(2ドア)

全長×全幅×全高(mm):3,545×1,650×1,495

車両総重量:900kg

乗車定員:4人

エンジン: 直列3気筒DOHC(4バルブ)

総排気量: 999cc

最高出力:55kW(75ps)/6,200rpm

最大トルク:95Nm(9.7kgm)/3,000-4,300rpm

JC08モード燃費:23.1km/ℓ

駆動方式:前輪駆動


ルノー トゥインゴ ゴルディーニRS “痛快”という 言葉がお似合い

1956年にルノーが買収したゴルディーニは、かつてF1にも参戦していた名門チューナー。そのネーミングを冠したのがトゥインゴ・ゴルディーニだ。

 開発を手掛けたのはルノーのモータースポーツ部門であるルノースポール。血管にガソリンが流れているような生粋のクルマ好き集団が作り上げたクルマだけに、走りは最高に痛快だ。そこには、単にエンジンのパワーを引き上げ、硬い足を組み込んだだけのスポーツモデルでは味わえない熱さと奥行きの深さがある。

 内外装にも同じことが言える。ホットハッチというと、とかくヤンチャなキャラクターになりがちだが、トゥインゴ・ゴルディーニは個性的ではあるけれど決してガキッぽくない。完成度の高いエアロパーツはベースモデルの魅力をさらに引き上げ、インテリアのアクセントも大人のスポーツを意識させる。なかでも見事なのがシートだ。ハードなコーナリングでも姿勢が崩れないようバケット形状をもつシートは一見

硬そうに見える。しかし、座ってみると表面がジワッと絶妙にたわみ、身体全体が優しく包み込まれる。このあたりは、ドイツ車とも日本車とも違う、フランス車らしさを強く感じる部分である。

 134psという数値以上に元気いっぱいの1・6ℓエンジンなど基本メカニズムはトゥインゴRSと同じ。しかし、トゥインゴRSがサーキット走行に最適化した硬めのサスペンションを与えられているのに対し、トゥインゴ・ゴルディーニは一般道での乗り心地にも配慮したサスペンションを装着している。最高に楽しいけど普段使いとしてはいくらなんでも乗り心地が悪すぎ…そんな印象を拭えなかったトゥインゴRSの弱点を見事に解決してくれたのがトゥインゴ・ゴルディーニというわけだ。カミソリのような切れ味と弾けるような機動性は若干スポイルされたが、僕なら迷うことなくゴルディーニ仕様を選ぶ。

'50〜'70年代の名エンジニア、アメデ・ゴルディーニが造りだしたゴルディーニモデルの世界観を現代に復活させた。パワフルなエンジン&チューンドシャーシによるスポーツ性と、日常での使い勝手を高次元でバランス。外観にはルノーの新しいデザインコンセプトを取り入れている。

車両本体価格:¥2,450,000

全長×全幅×全高(mm):3,700×1,690×1,460

車両重量:1,090kg

乗車定員:4人

エンジン:直列4気筒DOHC 16バルブ

総排気量:1,598cc

最高出力:98kW(134ps)/6,750rpm

最大トルク:160Nm(16.3kgm)/4,400rpm

10・15モード燃費:13.5km/ℓ

駆動方式:前輪駆動

三菱 ミラージュ 街で活躍する低燃費コンパクト

三菱のコンパクトカー、ミラージュが12年ぶりに復活した。コンセプトは「低燃費」「低価格」「コンパクト(扱いやすさ)」。三菱はこの3点をコンパクトカーに求められる普遍的価値と位置づけ、それらを達成すべく、人件費の安いタイでの生産や、新開発の1ℓ3気筒エンジンの採用、徹底的な軽量化などを実施。その結果、価格は99・8万円〜と100万円を切り、燃費は軽自動車を除く登録車トップの27・2㎞/ℓを実現した。

 写真で見るかぎり何とも新鮮味のないデザインに思えたミラージュだが、実車を前にすると、空力性能を意識したモダンな造形が随所に見られるなど、なかなか新鮮なルックスに仕上がっている。インテリアの仕上げも、価格を考えれば悪くはない。

 ならば走りはどうか? 僕流に既存国産コンパクトの走りを評価すると、上から順に、スイフト>スプラッシュ>デミオ>>フィット>>ヴィッツ>マーチ>>パッソとなるが、ミラージュの実力はヴィッツとマーチの中間に収まる。具体的には、エンジンとCVTのマッチングが良好で、とくに街中では気軽にスムーズな走りを楽しめる。軽いハンドルや、軽自動車並みの4・4mという最小回転半径も、街中をゲタ代わりに走るのにはうってつけだ。

 しかし、速度を上げていくと直進性が甘くなってくるし、騒音レベルも高まる。路面の段差を通過した際の振動感も薄っぺらい印象だ。このあたりの〝感覚性能〟はup!はもちろん、国産のよくできたコンパクトカーには及んでいない。

 もっとも、ミラージュはそもそもそういった性能を目指していない。近距離用途に割り切り、便利なゲタ代わりのクルマに特化している。そういう意味ではコンセプトに忠実な出来映えと言える。長距離走行時の快適性や、プラスαの質感はさておき、とにかく安くて小さくて燃費のいいクルマが欲しいなら、一考に値する存在ではある。


低燃費・低価格・扱いやすさをキーワードに開発。軽量&高剛性ボディに環境性能の高いエンジンを搭載し、多岐にわたる軽量化と徹底した空気抵抗及び走行抵抗の低減により低燃費を実現した。高効率パッケージにより、コンパクトながら大人5人の居住空間と日常使用に十分な荷室容量を確保。

車両本体価格:¥998,000(E)

全長×全幅×全高(mm):3,710×1,665×1,490

車両重量:860kg

乗車定員:5人

エンジン:DOHC 12バルブ3気筒

総排気量:999cc

最高出力:51kW(69ps)/6,000rpm

最大トルク:86Nm(8.8kgm)/5,000rpm

JC08モード燃費:23.2km/ℓ

駆動方式:前輪駆動

ミニ インスパイアード・バイ・グッドウッド “エレガント”をまとった 特別なミニ

MINIインスパイアード・バイ・グッドウッド。このネーミングを見てピンと来た人はかなりの自動車通だ。イギリス南部にあるグッドウッドは、モータースポーツイベントである「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」の開催地として有名だが、同時にロールス・ロイスの本拠地でもある。

 グッドウッドにインスパイアされたMINIとは、要するにロールス・ロイス流のクルマづくりを採り入れたMINIということ。1・6ℓターボエンジンを積むクーパーSをベースに、内外装をスペシャルに仕上げたこのモデルの価格はベース車比267万円高の570万円となる。

 冷静に考えれば目の玉が飛び出るほどの価格である。しかし、内容を知れば知るほど、価格に見合う価値はあるのかも? という気になってくる。まずは外観だが、ボディカラーはロールス・ロイス専用色であるダイヤモンド・ブラック・メタリック。漆黒のなかに粗めに砕いたメタリックが散りばめられたこのカラーは、光の当たり具合によってシックからエレガント、ときにパッションと、表情を大きく変える。しかし、なんといっても圧巻なのはインテリアだ。複雑な木目をもつバー・ウォールナッ

トを徹底的に磨き込んだウッドパネルはまさにロールス・ロイス流の仕上げ。シートに加えダッシュボードやドアトリムにまで贅沢に張り込んだレザーも、ロールス・ロイス・コーンシルク・ベージュ色の特注品だ。さらに足下には最高級品質の分厚いラムウール製フロアマット、見上げればカシミアをブレンドしたサンバイザーとルーフトリムが別世界感を演出する。

 '59年に登場したクラシック・ミニは、庶民の足として人気を博すとともに、ロールス・ロイスを所有する上流階級からもセカンドカーとして愛された。そんなヘリテージを現代に語り継ぐ小さな高級車がインスパイアード・バイ・グッドウッドなのだ。



ロールスロイス・モーターカーズのチーフ・インテリアデザイナーがグッドウッドにおいて作り出したモデル。外装にロールスロイス専用色を採用。内装はロールスロイスの伝統の技を生かし、ウォールナットなどの高級素材によってラグジュアリーでエレガントに仕上げている。1,000台限定。

車両本体価格:¥5,700,000

全長×全幅×全高(mm):3,745×1,685×1,430

車両総重量:1,460kg

乗車定員:4人

エンジン: 直列4気筒DOHCターボ

総排気量: 1,598cc

最高出力:135kW(184ps)/5,500rpm

最大トルク:240Nm/1,600-5,000rpm

JC08モード燃費:13.6km/ℓ

駆動方式:前輪駆動

アヘッド ロゴ

この記事をシェアする

最新記事