オンとオフ、日常と冒険 ジムニーで行く1,850㎞の旅2 四国編

アヘッド オンとオフ、日常と冒険

①②東名〜名神〜山陽道とつなぎ、瀬戸大橋を渡って一気に四国へ。軽自動車なら、高速料金も格安。これぞ軽自動車の強み。③林道の入り口あたり。実はこの手前で前後タイヤを脱輪させるハプニングあり。慌てず焦らず、コンクリートブロックなどを脱輪したタイヤの下に噛ませて無事、脱出。林道では何があるか分からないので、できるだけ2台で入りたい。④土砂崩れで道路に崩れ落ちていた岩をそろりとよけて…。

西日に光る瀬戸の海。駆けるは小さな軽ジムニー。車内に広がる潮の香がこの日の宿が近いことを告げていた。東京を明け方に出発。新東名から新名神づたいに中国、山陽道と繫ぎ瀬戸大橋へ。40ℓのタンクに2度給油したが700㎞はあっという間。660㏄で? と思うかもしれないが、最新型なら一気に走れる距離。背が高く見晴らしのいいジムニーは案外、ストレスと無縁なのだ。

 旅程は3泊4日。行き帰りの移動に1日ずつ。愛媛は石鎚山東南に広がる林道群を目指し、四国カルストの眺望を手土産に龍馬脱藩の道で大洲に抜けようという剛気な計画だ。林道を飽きるまで走り温泉で体を癒やす。そのキーワードに当てられてしまった男女4人と2台のジムニー。それがこの物語の主人公だ。

 ストーリーテラーは私。生涯最も遊び倒したのがジムニー! と断言できる四駆専門誌の編集者。カメラマン氏はBMW X5とジムニーを車庫に並べるアウトドアズマン。これに今を時めくジムニー専門パーツメーカーの「アピオ」から河野さんが2台のデモカーと共に参加、そして本誌若林さんがナビゲーション役として加わった。彼女が昨年ダカールの鉄人・菅原さんのナビとしてジムニーでモンゴルを走ったのはご存じの通り。手前味噌だが…これで役者は揃った!

林道心得 1 下調べを大切にすべし

半月前、僕らはスカイプ会議を行った。ルートと宿を決めるためだ。皆が自宅に居ながら参加できるからだが、電話やメールの伝言ゲームよりずっと楽。気になるホームページも共有できる。「この温泉どう?」「料理はこっちでしょ」。いい大人が、まるで修学旅行前夜のようだ。僕は林道を担当。資料は昭文社のバイク用「ツーリングマップル」を使う。林道の広さや荒れ具合から温泉、グルメ情報まで載っている。これにウェブの情報を併用して目星をつけるのだ。最後は地元役場に確認の電話。「林道情報を聞きたいので観光課をお願いします」と伝えれば何らかの部署が対応してくれる。マップルの巻末に連絡先の一覧がある。 

 僕らが目指すのはジムニーが活きるダート道。それだけに大雨や台風による壁面などの崩落後、復旧が遅れることも多い。季節により入れない道もある。だから事前に確認する。それでもハズレた時のために別ルートも用意したい。ちなみに四国と言えば全長87㎞の山林道が有名だが、今は昨年秋の崩落で半分も走れない。そんなこともあって僕らは高知の大森川渓谷に白羽の矢を立てた。ここらは林道の宝庫なのだ。

林道心得 2 早起きすべし

初日、海岸沿いのビジネスホテルに泊まった我々は翌朝5時に出発した。おにぎりを頬張りながらワインディングを飛ばし1本目の林道に入った頃、森が目覚め始めた。 

シダの朝露が光り、ホトトギスが謳う。柔らかな斜光が林間に漏れ始め、立体感ある風景を創り出す。僕らはしばしクルマを停め、マイナスイオンを満喫した。カメラマン氏は植物の撮影に夢中。コンパクトデジカメが好きな河野さんも一瞬の絵を切り取ってはニヤリ。互いに見せ合って自慢合戦。「おお〜」とか「ほお〜」と言う声が微笑ましい。朝夕の林道は空気感がまるで違う。早起きは三文以上の得なのだ。

林道心得 3 走りのセオリーを守れ

ジムニーは本当によく走る。轍との相性もよく、乗り心地がいい。これは生活道路であるニッポンの林道が軽四輪を主役としていることに因っている。大きなクルマではかえって路側のゴロ石を拾ってしまう。  そしてサーキットにセオリーがあるように林道にも定石がある。まずはヘッドライトの点灯。存在アピールが大切だ。スローインファーストアウトは有視界で。ダートである以上、コーナリング中のブレーキはNGだ。すれ違い時は登るクルマが優先。止めて再発進させればスタックの可能性が高いから。段差や尖った石はなるべく避け、タイヤの横っ腹に無理はさせない…等々。狭い林道でもラインが選べるジムニーではこれが可能。オフロードで味わう人車一体の走りは堪えられないものだ。 移り変わる景色。目を奪う景観。肌で感じる草いきれ。晴れの日はもちろん、雨の日も風の日もひとつとして同じ顔を見せぬ大地を御する楽しさ。御される驚き。ジムニーの林道走行は日本で最も楽しいドライビングスタイルのひとつだと僕は信じてる。ただしラリー車まがいのカッ飛ばしは厳禁だ。生活道路で遊ばせてもらっているのだから。

林道心得 4 1台で山に入るな

ジムニーは普段、二輪駆動で走っている。必要に応じて四駆にするのだが、そこにはハイ/ローふたつのレンジがある。これは10段変速の自転車と同じ。1〜5速のギア比を丸ごと低くしてしまう。するとスピードは遅くなるがトルクが出る。悪路に強くなるワケだ。そんなジムニーでもスタックはする。携帯も通じぬ山奥で、たった1台で動けなくなったら大変なことになる。

林道心得 5 備えあれば憂い無し

この日、実は大森川周辺で遊び過ぎた。昼食の時間はとうに越え、お腹はペコペコ。そんな時、山岡カメラマンから天の声。「カロリーメイトいる?」「ホントに!?」「1本2万円だよ」「…」。これは冗談だったが、山中に入る時は必ず携行食と飲み物を用意しよう。 

 もうひとつ困ったのがトイレ。僕らはともかく若林さんは…と思ったら「モンゴルで慣れてますから」とにっこり。もちろん僕らは、彼女が消えた方角を見ないようにしたが、アウトドアの世界ではよくあること。万一に備え、心の備えはしておこう。実は今回、彼女が一緒で本当に楽しかった。男女というのは不思議なもので、異性がいるだけで旅に潤いと緊張感が生まれる。トイレがNG!というだけで断られたら、悲しいのだ。

 そんな折り、山を下る釣り人に会った。魚籠の中には40㎝はあろうかという巨大なイワナ。聞けば、何年も追い掛け続けていた「ぬし」をようやく釣り上げたのだという。我々は、そのストイックな挑戦に感心しきりだったが、改めて四国とその自然の奥行きを知った。まだまだ開拓されていない楽しさは沢山あるだろう。

①こんな標識が。生い茂る葉に埋もれていることもあるから、見落とさないように。②露をたっぷりと含んだコケを、カメラマンは飽きもせず撮り続けていた。③日本昔話のようなトンネル。異界の奥への入り口のようにも思えるから不思議。

①釣り人なら垂涎ものの、尺を優に超える巨大なイワナ。これほどのイワナは、一生に一度巡り会えるかどうか、と言われるほど。釣り上げたその人は20代と思われる若者。「ずっと狙っていたんです」と言った彼と遭遇したのはかなり山奥の崖の上。いったいどこから川に下りて、どこから登ってきたのか。こんな釣り人との出会いもすごい偶然だ。

林道心得 6 悪路は下りて誘導すべし

翌日は雨。四国カルストは霧の中。先を走るクルマすら見えなかった。残念だったがこれは「出直しておいで」と言うお告げだろう。この日、ラリーモンゴリアの主催者SSERの山田 徹さんが合流した。愛媛が本拠地で、この辺りの林道には滅法詳しい。その山田さんがとっておきの林道を用意してくれた。「龍馬脱藩の道」だ。譲原(ゆずはら)から韮崎(にらさき)を経て大洲(おおず)へ抜ける脱藩道のうち、我々は松ヶ峠の関所跡付近の林道を辿った。そこは、想像以上に凄まじい難所だった。 「ここ3年は誰も走っていないね」前走する山田さんからの無線だ。草が生い茂り、正しいラインを見つけるのが難しい。フロントガラスには木の葉がバッサバサ当たり薮っこきも激しい。雨も本格化してきた。 
 龍馬の脱藩は今からちょうど150年前のことだ。26歳の若者が大志を抱き歩んだ道を…と描写したいところだが、あまりの荒れ方にただただ圧倒され続けた。そして現れたのが50m程続く岩とガレ場の下り坂。一度下れば戻るのは不可能な激しさだ。ただし、その先は普通の林道。助手席のクルーがクルマを降り、誘導しながら降りることになった。「そこ右!」「違う違う、もう少し先行ってからフルステア」。緊迫した声がこだまする。 
 恐らくノーマルのジムニーでは無傷で下れなかっただろう。ところがアピオのジムニーは違っていた。バネとダンパーを長くして適度にリフトアップ。やや大きめのマッドタイヤを履いている。サスのストロークも大きく段差を無理なく越えて行く。対地障害角に優れた前後バンパーも実にいい働きをしていた。 
 僕は脂汗に冷や汗といろんな汗をかいていたが、2台を持ち込んだ河野さんは「我が意を得たり」とばかりに満足げな表情。撮影のために無理なラインを要求する山岡さんと転げそうになる僕の心の葛藤に、見守る皆が笑っていた。気がつけば雨上がりの夕涼み。これが文字通り物語のクライマックスとなった。   *
 龍馬脱藩の林道。それは素晴らしい経験だった。一生忘れることはないだろう。とは言え、ビギナーの皆さんにはもう少し普通の道をお勧めしたい。達成感や楽しさはレベルに応じて味わえるからだ。 
 オンとオフ。日常と非日常。その境は自分の中に存在する。誰かに与えられるものではない。大切なのは心のスイッチを入れること。冒険は思い立ったその日から始まるのだ。

「竜馬脱藩の道」の標識に従って進んで行くと、荒れ放題のこんな林道に導かれた。陽の光も満足にとどかないような薄暗い険しい道。若者がひとり、家族を残し、故郷を捨て、夢だけを心に抱いて、いったいどんな気持ちだったのだろうと、何とも切ない気持ちにとらわれた。四国の山は歴史も深い。

ジムニー専門店APIOのコンプリートカー。左は1300のシエラ。軽自動車のジムニー(右)に比べてトレッドが広い分安定感があり、近年オフロードファンの間で人気が再燃している。スタイリッシュで実用的なバンパーはAPIO社長・河野さんのデザイン。ダンパーやサス、タイヤなどが組み付けられた状態で新車販売される。ジムニーは手に入れることで人生が変わる、と言っても過言ではない。
www.apio.jp/

はらはらしてしまう高速道路の
分岐もこのとおり。
画面も大きく、見やすく、
落ち着いて運転できる。

デジカメ代わりにも使えるタブレット。
画面が大きいから、構図を決めるのにも便利。

「あそこへ行こうよ」「いやこっち」と、タブレットを挟んで仲間同士の会話が弾む。


『ドコモ ドライブネット』 林道でもタブレット

東京から新東名を通り、伊勢湾岸道を抜けて、瀬戸大橋を渡って四国の林道へ。
1,850kmの旅の相棒は『ドコモ ドライブネット』でした。

常に最新の地図情報が表示される、というのはつくづく便利だと思う。しかも、わざわざ自分で地図を更新しなくても、通信によって自動的に地図更新してくれるわけだから、言うことはない。友人のカーナビは、新東名はもちろん伊勢湾岸道もデータが表示されていなくて、手前の分岐が近付くといつもドキドキしてしまう。『ドコモ ドライブネット』をダウンロードしたタブレットを取り付けた今回の旅は、そんなドキドキもなく、正確なルート案内に導かれて、すいすいと四国までの道を走破できた。画面が大きいから、視認性も良く、画面を見ながら同乗者同士で情報共有するのもスムースだ。

 深く細い林道に入ると、これはほかのカーナビ同様、道案内はお休みだ。でも右上の写真のとおり、自車位置を示してくれるので、自分たちが行きたい方向へ進んでいるかどうか、あるいはどちらの方向へ行けばどんな道に行き当たるのかが分かるのでとても心強い。

 林道と言えども、道の状況はさまざまで、草深い道、砂利道、ダート、ガレ場などなど。小さな振動が続く道はもちろん、ごろごろとした岩を、車体を大きく揺らしながら超えて行く道でも、クルマに備え付けたタブレット対応のクレイドルはびくともしなかった。と言って取り外しが面倒なわけでもなく、これには感心。

ただし、こんなに便利な『ドコモ ドライブネット』だけれど、万が一に備えて、林道に入る時は必ず地図やツーリングマップルなどを携行することは忘れないように。最新機器とアナログをうまく併用してこそ、冒険はより充実する。

林道から出たら、タブレットをクレイドルから外して、みんなでわいわいがやがや周辺検索をしてみたり。素晴らしい景色に行き当たったら、タブレットをデジカメ代わりにして、写真をパチッ。撮れた画像を見せあったりして。いつも以上に旅が盛り上がったのは『ドコモ ドライブネット』のおかげだろうか。


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