ブランドとは何か

日本人的ブランド構築論 小沢コージ

アヘッド ブランドとはなにか

今や何かと「ブランディング」が叫ばれる時代である。自動車メーカー、家電メーカーはもちろん、食品メーカー、アパレルメーカー、あげくの果ては個人までもがブランディングだ。確かに個々のプロダクト以上に、企業なり、ブランド全体のイメージが大切なのも分かる。だが、自分にはどうもピンと来ない。

先月参加した「NISSAN360」もそうだった。これは今回で3回目になる恒例のグローバルイベントで、文字通り日産自動車を〝360度〟味わい尽くすといった主旨のイベントのことだ。今回はカリフォルニアのアーバインで行われたが、日本でお馴染みの「GT-R」や「ジューク」のようなクルマはもちろん、北米専用の「タイタン」のようなピックアップトラックからアチラがメインのSUV、「インフィニティQX」シリーズ、来年発売予定のセダン、「インフィニティQ50」、中国で発売されている「ヴェヌーシアD50」、「R50」。さらに今後インドで展開する「ダットサンGO」のショーモデルまで展示されていた。

まさに世界はブランディングの時代なのだ。確かに「日産」ってこんなグローバルなクルマを作っていたんだとイメージは変わった。しかしこれは、日本人主導ではなく、外国人が運営しているのではないかというのも感じられた。それはいつの間にやら〝カラー道着〟が導入された「JUDO」のようなものと同じ。そして我ながら日本人はブランド展開に疎いと思ったのだった。

アヘッド ブランドとはなにか

先日別のメーカーのエンジニアと会話していると「良いモノさえ作れば評価されると思ってましたが、グローバルで考えると『良いモノの基準』すら変わってくる。今後はもっと考えないと」と語っていた。まさにその通りで日本人は未だに心の奥底で「良いモノを作っていればいつかは…」と思っている部分がある。

特にエンジニアはそうなると思う。それは「良いことをすれば神様が見てる」と子供に教えてるようなもので、要は作り手が語るなんて野暮。できあがったモノを見てくれの世界だ。それは個人のアピールも同様で未だに「男は黙ってサッポロビール」みたいな文化がある国なのだ。

だが、やっぱり良く喋るヤツには敵わない。それは恐ろしく可愛い子が、良く喋るロンドンブーツの片割れみたいな男と付き合う状況に似ている。僕らは実は逃げているのだ。「自分をプレゼンする」という状況から。未だに日本はクチ込み社会で「回りに褒められた方が上に行ける」「出る杭は打たれる」という状況もあり直接アピールは好まれない。

アヘッド ブランドとはなにか

だが、「NISSAN360」を見て思うが、世界は自画自賛の時代なのだ。それを上手に出来ないと負けるのだ。実はそこに我々日本人の最大の矛盾があり、一歩世界に出れば自画自賛が求められるが、国内では〝出る杭は打たれる〟。だから「NISSAN360」みたいなイベントが最初はピンとこなかったのだ。

久々にこのイベントで会った高校時代の同級生は、一見外国人みたいなオーラを放っていた。つくづく自分はまだまだだと思ったのだった。

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text:小沢コージ/Koji Ozawa
雑誌、ウェブ、ラジオなどで活躍中の “バラエティ自動車ジャーナリスト”。自動車メーカーを経て二玄社に入社、『NAVI』の編集に携わる。現在は『ベストカー』『日経トレンディネット』などに連載を持つ。愛車はロールスロイス・コーニッシュクーペ、トヨタ iQなど。

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