ドライバーの責任

アヘッド ドライバーの責任
アヘッド ドライバーの責任

[チャイルドビジョン]
豊田市交通安全学習センターで使用している、子供の視野を体験するための装置。掛けてみると、子供の視野はこんなにも狭いのかと改めて大人の配慮の大切さに気づかされる。

アヘッド ドライバーの責任

子どもの行動特性を知ろう

前のページにあるチャイルド・ビジョンは、幼児の視界を体験できるメガネだ。かけて驚くのはその視界の狭さである。大人の視界と比べると、水平方向の視野は大人が150度であるのに対し幼児は90度、垂直方向に対しては、大人が120度であるのに幼児はわずか70度しかないことが分かる。

幼児は周りをよく見ないと言われるが、もともと視界が狭いのだから仕方がないのだ。そのことを踏まえると、横断歩道を横断する際、「手を挙げて、右、左、右、クルマよし」と、頭を振って左右を見るよう促すのには理由があることがよく分かるだろう。同じ理由で、子どもは高い位置にある信号機を見落としやすいということも知っておきたい。

このように、まだ成長過程にある子どもは、身体的に不利なだけでなく、ときに大人からは思いもかけない行動をとることがある。だから、私たち大人が、交通の場面での子どもの行動特性を知っておくことは大変有益なことなのである。

子どもは急に止まれない


ページ下の囲みからも分かるように、まず知っておきたいのは「子どもは飛び出す」ということ。歩行中であれ、自転車乗用中であれ、飛び出しによる事故はとても多い。子どもの動きは素早く、とっさの時に次の行動が出ないため、急に止まることもできないと認識しておきたい。

また、道路の向こう側や広い駐車場で、友達や親の姿が見えたりすると、追いかけて飛び出すケースが多い。これは何かに興味があると、そのことに夢中になって周囲の状況が目に入らなくなり、危険なことの判断ができなくなるからだ。道路で小さな子どもに呼びかけるときは、周囲の状況を見極め、慎重にも慎重を重ねたい。

そのほか、予測がつかない子どもの行動として、横断歩道を渡っている途中で歩行者用青信号が点滅を始めたら、どうしたらいいのか分からなくなり、あわてて引き返してしまうという事例がある。同時に2つのことに注意するのも苦手で、信号を気にしながら右左折するクルマに注意を払うのも難しい。大人の歩行者と同様に考えると危険だ。

駐車場や停まっているクルマの前後からの横断を危険とは考えていないので、駐車場での走行や、駐車スペースにクルマを入れる時は、細心の注意を払いたい。

「大きいものは危険」でも…

そして覚えておきたいのは、子どもは空間認知能力が未発達だということ。それゆえ、クルマと自分の位置関係を正しく判断することは、小学生ではまだ難しいのだ。大きいものや大きい音は近くに感じ、小さいものや小さい音は遠くに感じる。つまり、遠くを走る大きいトラックには危険を感じても、近くを走る小さいクルマやオートバイには危険を感じないこともあるということ。

自分のそばにいるクルマには注意できても、遠くから走ってくるクルマには危険を感じにくいということもある。ドライバーは、時と場合によっては、驚かさない程度にクラクションを軽く鳴らし注意を促すことも必要だろう。

自分を中心に思考体系を組み立てているため、当然ながら、ほかの立場に立って客観的に判断することも苦手である。子どもを事故から守るには、子どもの行動特性を踏まえ、注意を払い、思いやりを持って運転することが大切だ。それがクルマを運転するものの責任なのである。

子どもの交通事故はなぜ起こるか

警視庁が発表している「子供の交通人身事故発生状況〜平成24年中〜」によると、幼児・小学生・中学生までの子どもの交通人身事故は、平成18年以降、発生件数は減少傾向にあるものの、平成24年(発生件数2,690件)の死者数は前年の平成23年(発生件数3,126件・死者数1)に比べ、6人多い7人に増加していることが分かる。

年齢層別発生件数では、幼児が10.3%、小学生が64.8%、中学生が24.9%。小学生の事故が過半数を占めている。さらに男女別では各年齢層とも男子の発生件数が女子よりも多く、なかでも動きの活発な小学生の男子の事故件数は女子の約2.1倍にものぼる。時間帯では16〜18時の夕方に多発している。

また、自宅から500m以内で多発していることも、子どもの交通事故の特徴だという。夕方という時間帯や自宅近くという結果を見ると、学校や遊びから帰宅するときに急ぐ子どもの心理が表れているようだ。

状況別では、自転車乗用中が全体の60.2%、歩行中が39.6%。自転車の事故は安全不確認や一時停止をしないなどの出会い頭の事故が66%にも及ぶ。歩行中では違反なく歩行している場合が56.5%、飛び出しが22.4%となっている。このように子どもが安全確認せずに飛び出したことが事故を招くことも多いが、信号機のある交差点の横断歩道を横断中に起きる事故も多い。その要因として、クルマの右左折時、信号の変わり目で無理やり交差点に進入した、横断中の子どもに気付かなかったなど、運転者の不注意によるものが挙げられている。

子供の交通事故を巡る状況

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*子供の交通事故とは、幼児・小学生・中学生が関係した
事故を言う。データは警視庁HPより。平成24年中。

時間帯発生状況
夕方4時〜6時に多発

年齢層別・男女別発生状況
幼児・小学生・中学生のうち、小学生が64.8%を占め、男女別では男子の方が多く、中でも、活発な小学生の男子が最も多い。

事故現場から自宅までの距離
歩行中では500m以内が6割を超え、自転車乗用中でも約半数が自宅から500m以内で発生している。

状態別発生状況
歩行中が39.6%、自転車乗用中が60.2%。歩行中では横断歩道や横断歩道付近での事故が多く、自転車乗用中では出会い頭の事故が最も多い。

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