女性から見た欧州車

アヘッド 女性から見た欧州車

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多くの女性は、いつまでも美しくあろうと、日々、自らをメンテナンスして、自分には何が似合うだろう? とメイクやファッションにも気を遣う。でも実はクルマだって洋服と同じくらい、いやそれ以上に、その人を表現する重要なアイテムになる。

text:吉田由美、藤島知子、今井優杏、竹岡 圭 [aheadアーカイブス vol.164 2016年7月号]
Chapter
女性から見た欧州車
私がドイツ車に乗る理由
クルマに見る北欧の魅力
オンナはイタフラで変われる?
MINIから見たイギリス
女性は英国ライトウェイトスポーツに乗れるか?

女性から見た欧州車

今の自分を映し出すことはもちろん、クルマによってイメチェンすることだってできちゃうのだ。
そんな目で見ると、ちょっと近寄りがたかったヨーロッパ車も、
俄然、選択肢のひとつに入ってくるはず。
ヨーロッパ車にはどんな個性があるのだろう?

私がドイツ車に乗る理由

text:吉田由美


30歳の時に、輸入車デビューした私。さすがに当時はこんなに長い間、独身でいるとは思いもしなかったので「結婚したら乗れなくなるかもしれないから、30歳の記念に、今のうちに憧れのクルマに乗ろう!」と思って購入したのが「メルセデスベンツSLK」

「一度はオープンカー」と思っていた私にとって、バリオルーフのオープンカー「SLK」との出会いは、まさに運命。なにしろ「オープンカーは欲しいけど、幌はちょっと…」という不安を解消してくれるのですから。

ちなみにその時の私の憧れキーワードは「赤いクルマ」「オープンカー」そして「メルセデスベンツ」 SLKはまさにそのすべてを叶えるものだったので、迷わず買いました。それが私の輸入車デビューであり、ドイツ車デビュー、そして赤いクルマ&オープンカーのデビューです。

気が付けばその後も「メルセデスベンツCクラススポーツクーペ」「ポルシェ・ケイマン」「アウディTTクーペ」、そして昨年末から「メルセデスベンツCLAシューティングブレーク」と愛車はことごとくドイツ車。と言いつつ、ドイツ車にこだわっているわけではありませんが、「このクルマが欲しい」と思ったのが、たまたま全部ドイツ車だったのです。

そう考えてみると、ブランドというより「その時に欲しいクルマ」という感覚的なもので選ぶタイプなのかもしれませんが、ちなみに今のクルマを選ぶ時は、またしても赤いクルマに乗りたい気分だったので、赤が似合うこと、デザインや車種のトレンド、安全装備、後席の居住性、疲れにくさなどを考慮した結果、「CLAシューティングブレーク」を選びました。

が、実はかなり悩みました。もちろんドイツ車以外のクルマも候補に挙がりましたし、同じCLAでもセダンにしたほうがいいのではないかとか、もう少し小さいサイズのものがいいのではないかとか。でも結果的には、総合点で選びました。

ドイツ車は、未来を考えながら、クルマの実用性と楽しさを両立させていると私は思います。ブレのないブランドの哲学を持ちつつ、機能性を兼ね備えたデザイン。運転する人はもちろん、すべての人に寄り添うクルマ作りによる信頼性や安心感。運転した時のダイレクト感や一体感。なんだかんだ言っても人もクルマも中身。加えて外見が好みなら最強です。そんなクルマに出会えたら幸せですね。

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text:吉田由美/Yumi Yoshida
短大時代からモデルを始め、国産メーカーのセーフティドライビングのインストラクターを経て、カーライフ・エッセイストに転身。独自の視点で自動車雑誌を中心に、TV、ラジオ、Web、女性誌など広く活躍中。ブログ「なんちゃってセレブなカーライフ」は、1日約20万アクセスの人気を誇る。

クルマに見る北欧の魅力

text:藤島知子


もの作りはその国の文化によって着眼点が異なり、遠く離れた日本で暮らす私たちに異国の風を感じさせてくれる。感情を露わにするイタリア車、ヒョウヒョウと駆け巡るフランス車、アウトバーンを超高速で移動するドイツ勢。大陸は繋がっているのに、それぞれが重んじる要素が違っているのが面白い。

数あるモデルの中でも、人に「温かみ」を感じさせてくれるのが北欧車だ。工業製品であるクルマはそこに豪華なしつらえやパッションといった要素で心を掴もうとするが、北欧車はもっと穏やかで、刺激とは対極にある「人を包み込む優しさ」を持っている。その一例が今年から発売を開始した「XC90」。

ボルボは多くのモデルにスカンジナビアン・デザインを採り入れてきたが、これらは北欧家具にみられるように、各部の造形を柔らかな線で描き、天然木のテーブルを思わせる木目パネル、シートには優しいカラーのレザーをあしらうなど、リラックスして過ごせる空間を提供してくれる。

ボルボのフラッグシップモデルの「XC90」は高級車にあたるが、豪華なしつらえで圧倒するのではなく、先進性を併せ持つ工芸品。凝ったディテールのスイッチやクリスタル製のシフトノブを採用し、さらには、イェーテボリのコンサートホールを再現した音響環境に拘ったりと、乗員を心地良くもてなすために技を凝らす。 

ボルボの優しさは何もインテリアに限った話ではない。ストレスなく移動できることが家族とくつろぐ時間を提供し、実際の事故を分析した独自の安全技術が人の命を守ろうとする。クルマはあくまでも人の暮らしを支える脇役であり、良い製品とは空気のような存在であると言わんばかりだ。高級ホテルのもてなしを想像してしまったのは私だけだろうか。

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text:藤島知子/Tomoko Fujishima
レース活動を通じて得た体験をもとに、Web、雑誌、TV番組等で活躍するモータージャーナリスト。テレビ神奈川の自動車情報番組「クルマでいこう!」では2008年のスタート以来レギュラー出演している。

オンナはイタフラで変われる?

text:今井優杏


上京して、はじめて手に入れたクルマが何を隠そうイタリア車であった私は、その後オーナーだった4年間のあいだに、イタリア車に乗っている女というだけで、様々なご縁をいただいた。実際、そういうのもラテン系のクルマを持つ歓びの一つだと思う。

クルマにキャラがあるから、選んだ人=オーナーも自然と個性的に見える。そして、同じようなセンスを持った人を自然と周囲に呼び込んでしまう。それがたとえフランス車であっても、そういう、ラテンマジックとも言える不思議な求心力は、イタリア車・フランス車問わず絶対に存在すると思っている。

私が選んだのは2000年のミレニアムイヤーを記念して作られた、限定モデルのフィアット・バルケッタ。トランスミッションはマニュアル、1.8リッターNAエンジンのそれは、小型ながらもイタリアらしい陽気で流麗なスタイリングを持つオープン2シーター。完全に一目惚れで、ふらっと立ち寄ったショップにその日入庫したばかりだというソレを、なんとその場で即決して買った。

当時は今なんて比べ物にならないくらいにクルマへの知識はなかったけれど、「バルケッタに乗ってるんです」というだけで、「あ、クルマ好きなんですね」と自動的に思ってもらえることは名刺代わりにもなった。

逆に言えば、ドイツ勢優勢のこの日本(だけじゃなくて世界的にもそうなのだけど)において、イタリア・フランス車を選ぶことは一抹の賭けでもあるような気がする。販売店も少ないし、それに、悪しき時代の遺産のように囁かれる、「イタフラ車って壊れるんでしょ」なんていう都市伝説も、それに拍車をかけているのかもしれない。
しかし、私のバルケッタに限っていえば、オーナーだった4年間のあいだにエンジン、トランスミッションなどパワートレーンの故障はゼロ。これは当時知り合ったイタ車乗り全員の見解なのだけど、エンジンは意外にトラブルもなく丈夫なのだ。

懸念の電装系も、一回だけヒューズが飛んでしまったことと、エアコンが効かなくなってしまったことを除けば、トラブルらしいトラブルはなかった。そうそう、雨漏りもしたっけ。キャンバストップの折り目から、雨の日は盛大に肩が濡れた。でもそのくらい。
 
そう、そんなトラブルを「そのくらい」なんて言えてしまうくらい、私はクルマに惚れていた。真っ赤なオープンカーに乗っている、その非日常は日常をドラマチックにしてくれていたと思う。そういう惚れ込ませる魔力、なんてのもイタフラの特徴かもしれない。
 
さらに言うなら、イマのイタフラはそう簡単に壊れたりしない。手厚い保障プログラムもあるし、よっぽどなハズレを引き当てない限り、フツウに乗れてしまうはずだ。
 
それであんなに誇らしい気持ちになれるなら! と思うのである。このクルマを選んだ自分を、誇りに思えるような気持ちにさせてくれるなんて、と。
 
しかもそれが、大枚を叩かずしてもそこそこのお値段で手に入るのも嬉しい。双方、どんな大衆車でもきっちりとそれなりのキャラづくり、ムードづくりがなされているのは、個性が重視される国民性に準じたモノづくり由来なのだと感じている。
さて、これまでひとくくりにラテン系といわれるイタフラを話してきたが、もちろんそれぞれに明確にキャラクターを分けるから、この辺は是非吟味して欲しい。
 
イタリア車はカラっとしたセクシーさ、明確なモデルのキャラクターを打ち出すのが得意。乗った感じもいかにもドライブを生活の一部と捉えるような、実用的な演出が上手。ひるがえってフランス車はしっとりとしたアンニュイさを湛え、哲学的なデザインを持ちながらも、実際は運転が荒いといわれるフランス人をも唸らせる、ギュンギュンしたトルクを生むという、ギャップあるクルマづくりを得意とする。

もちろんそれぞれに例外的な存在はあるけど、ざっくり分けるとそんな雰囲気。私は関西出身、わかりやすい派手さを求めて当時はイタリア車を選んだのだけど、東京で暮らし、年齢を重ねて、今ならフランスの辛口なエスプリ薫る、DSあたりがとても魅力的に映る。
 
いずれのモデルを選んでも、きっと「ツウっぽい」イメージを持たれること必至。クルマで個性を演出したいなら、イタリア・フランスをショッピングリストに入れて損はない。

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text:今井優杏/Yuki Imai
レースクィーン、広告代理店勤務を経て自動車ジャーナリスト。WEB、自動車専門誌に寄稿する傍らモータースポーツMCとしての肩書も持ち、サーキットや各種レース、自動車イベント等で活躍している。バイク乗りでもあり、最近はオートバイ誌にも活動の場を広げている。

MINIから見たイギリス

text:竹岡 圭


イギリスなの? ドイツなの?BMW MINIの話をする時には、いつもちょっと悩ましいんですよね。

クラシックミニの話をするときは、迷わずに胸を張ってイギリス!と言えるのだけれど、BMW製になってからは正直、ナショナリティがよくわからなくなってきちゃった…。
 
それもそのはず、これこそがBMW MINIの取ってきた戦略だから。21世紀に入ってから登場したMINIは、あえてナショナリティを消したんですよね。冠もBMWではなく「New」。無国籍化することで、新たなMINIの世界観を作り上げていったんです。
 
ところが、世の中にNew MINIが浸透し、もう国籍なんてどうでもよくなった頃、つまり3代目が登場する少し前から、突然「祖国はイギリスです!」と、やたらとイギリスルーツを主張し始めたんですよ。
 
思うにMINIという世界観が仕上がったら、今度はそろそろヘリテイジ的な語れるものが欲しくなったんじゃないでしょうかね。イギリス回帰すれば、1959年から脈々と続く57年もの歴史があるわけで、いくらでも語れちゃいますから。
 
まぁ、そうなった途端「MINIってさ、本当のイギリスのイメージとはやっぱり違わない?」とか言い出したりする人がいるわけですが、私はちっともそうは思いません。だってね、あのオバカっぽさはドイツ人にはとうてい無理。どう考えたってイギリス人ですもの。
 
怒られるのを承知で書きますが、実はあのおふざけ大好きなアメリカ人よりも、イギリス人の方がよっぽど奇抜だと常々思っているんです。だってね、Mr.ビーンですよ。ロンドンパンクですよ。ビートルズだって、あの当時にしてみれば突拍子もないバンドだったわけだし…。雨がしとしと降ってるだけが、イギリスじゃないんです。
 
その証拠に、改めてMINIの内装をご覧なさいな。あんなにふざけたオバカクルマ、どこ探したって見当たらないですよ。どんどんエスカレートとして、今じゃボンドカー並みにスイッチ並んでますからね。
 
その上で走りは一貫して、ゴーカートフィーリングでしょ、オンザレール感覚でしょ。少々お節介なくらいに、ドライバーを楽しませてくれるMINIと、いつの間にやら13年ほどオーナーとして付き合っている私も、やっぱりMINIはイギリス生まれだとヒシヒシと感じます。

女性は英国ライトウェイトスポーツに乗れるか?

text :若林葉子 photo:長谷川徹


例えば、BMWやメルセデスやアウディのスポーツカーに乗る女性は見かけるけれど、ロータスやケータハムのようなイギリスのライトウェイトスポーツに乗る女性は果たしてどのくらいいるのだろうか。「多くはないですけれど、いらっしゃいますよ」そう話すのは“ウィザムカーズ”の篠原紀子さんだ。

ウィザムカーズは都内で、最新のロータス、ケータハムの販売と、新旧英国ライトウェイトスポーツの販売を手がけるショップ。篠原さんは日本で最も数多くの新旧英国ライトウェイトスポーツカーに乗ってきた女性と言っていいだろう。

「BMW Z4に乗っていた方が、それではもの足りなくなってロータス・エリーゼを購入されたり、バイク乗りだった方が出産を機にやはりエリーゼに乗り換えられたり。それから以前、エリーゼの1.8ℓにATがラインアップされると発表された直後に、それなら! と契約された方もいらっしゃいました。でも結局ATの発売は白紙になってしまって、悩まれた末に『一応、免許はあるから』と、マニュアルのエリーゼを購入されたんです。最初は少し不安だったようですけれど、今では一人でエリーゼに乗って日本中をあちこち旅されています」

車高が低く、シャシーがバスタブのような構造ゆえに乗り降りがしにくいとか、荷室が狭いとか、便利か不便かを問えば旗色は悪いが、そこを割り切ってしまえば、走る喜び、運転する楽しさは他のどんなクルマにも勝るのが英国ライトウェイトスポーツだ。とはいえ、いきなりケータハム・セブンに乗るという選択はなかなか難しい。

「私なら1.6ℓのロータス・エリーゼをお勧めします。一番よく出ているのは1.8ℓのスーパーチャージャーですが、1.6ℓでも十分パワフルですし、積極的にアクセルを開けていける分、運転を楽しめると思います」

試乗してみると、想像以上に車高が低いことに気がつく。普段ならちょうどドアで隠れてしまう沿道のツツジもよく見えるし、並木道を走ると樹々の緑に体ごと包まれているような気分になる。眼に映る風景が新鮮で、どこか刺激的でもある。

現行モデルのエリーゼならちゃんとエアコンだって付いている。夏、汗だくで化粧崩れする心配もない、というわけだ。一度、乗ってみてはどうだろう。

●Witham Cars Store
住所:東京都練馬区旭町1-21-10
TEL:03(5968)4033
営業時間:10:00〜19:00 
定休日:水曜日・第2火曜日
www.witham-cars.com

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text:若林葉子/Yoko Wakabayashi
1971年大阪生まれ。Car&Motorcycle誌編集長。
OL、フリーランスライター・エディターを経て、2005年よりahead編集部に在籍。2017年1月より現職。2009年からモンゴルラリーに参戦、ナビとして4度、ドライバーとして2度出場し全て完走。2015年のダカールラリーではHINO TEAM SUGAWARA1号車のナビゲーターも務めた。
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