クルマとバイクを美しく乗りこなそう

アヘッド 乗りこなそう

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できるならクルマもバイクも“かっこよく”乗りこなしたい。そのためには運転姿勢が何より大切です。クルマやバイクを安全にかつ効率よくコントロールするための基本を、ジャーナリストの竹岡 圭さん(クルマ)とサトウマキ(バイク)さんに聞きました。

photo:長谷川徹 [aheadアーカイブス vol.156 2015年11月号]
Chapter
Part1 竹岡 圭が教えるドライビングポジション講座
Part2 サトウマキの考える女性のためのライディングテクニック
応用編◎ちょっとしたコツで楽になる。

Part1 竹岡 圭が教えるドライビングポジション講座

シートの高さ

▶︎一番低い位置から一番高い位置まで、こんなに幅がある。

人、自転車、クルマ等々、さまざまなものが行き交う街中、住宅街の路地や駐車場など、ゴチャゴチャした狭い場所での運転は、高い位置から見下ろすようにした方が周囲をよく見渡せるのでクルマの位置が把握しやすくなります。また上から見た方が、死角の分量を減らせます。天井に頭がつくほど高いのはNGですが、なるべく高い位置まで座面を上げましょう。

ただし、日本の高速道路の速度域ならば問題ありませんが、ドイツのアウトバーンを延々と走るなどという際には、シートが高いと不安を覚える方もいます。そんな時は少しだけシートの高さを下げると、身体がクルマに包まれるような感覚となり安心できますよ。

シートの前後位置

▶︎ブレーキペダルを踏んだときに足が伸びきった状態と膝に少し余裕のある状態

お尻をシートの角にギュギュッと押し込むくらいに深く腰掛けます。シートとお尻の間に隙間があると、急ブレーキを踏むことになった際に、身体が後ろへズレてしまい、ブレーキを奥まで踏み切れなくなる可能性があるので要注意です。

続いて左足をフットレストに踏ん張り、右足でブレーキペダルをギュッと踏んだ時に、膝に少し余裕がある程度の位置にスライドします。この時に膝が伸びきっていると、万が一の正面衝突時に、衝撃が腰にまで達して大ケガをする可能性が高まります。膝をクッションにして衝撃を逃すために、余裕を持てる位置に調整しましょう。

背もたれの角度

▶︎ハンドルの一番上を握ったとき、腕が伸びきった状態と肘に少し余裕がある状態

背もたれに肩甲骨をしっかりつけた状態で、ハンドルのいちばん遠い場所、つまりハンドルのいちばん上を握った時、肘に少し余裕があるくらいの角度に背もたれを調整します。この際に腕が伸び切っていると、それ以上ハンドルを切ることができませんし、ついついハンドルにしがみつくような格好になり、正確な操作ができなくなります。

また、背もたれの角度が寝ていると、ハンドルを切るたびに背もたれから身体が離れてしまい、視点の高さが変わってしまいます。クルマは目で見た方向へしか動かすことができないものなので、視点の高さはなるべく一定に保った方が、クルマの動きがわかりやすくなり、手足感覚での操作がしやすくなりますよ。

ハンドルの高さと、ハンドルまでの距離

▶︎ハンドルの高さは太腿とハンドルの間に握りこぶし一つ分入るくらいに調節

ハンドルの高さはチルトステアリング機構を使って、太腿とハンドルの間に握り拳ひとつ入るくらいに調整します。ハンドルの位置が高すぎると、ハンドルを大きく切らないとクルマが動かないような感覚を覚える他、ハンドルの切り遅れが多くなり、想定したラインにクルマが乗りきらずに、大回りになってしまいがちです。

ただしクルマのデザインと体格によっては、ハンドルを下げるとメーターが見えなくなることもあります。そんな時は、計器類が見える位置でなるべく低めの位置を探してみてください。総じて、女性は体格や腕力の関係から、低めの位置が操作しやすいハズですよ。
▶︎シートの位置は固定したままテレスコピックステアリングを前後に動かすと、このくらい調整の幅が出る。左が一番手前、右が一番遠い位置。すべてのクルマに採用してほしい機能の一つだ。

ハンドルまでの距離は、テレスコピックステアリング機構を使って調整します。テレスコピックステアリング機構は、まだまだ装着されていないクルマも多いのが現状ですが、シートの背もたれのノッチの関係で、背もたれをひとつ起こしてもひとつ寝かしても違和感があることありますよね。そんな時に非常に役立つ機構です。

また、小柄な女性はシート位置が前気味になり、サイドミラーが見えにくくなる傾向があるので、シートの背もたれを寝すぎない程度の位置に調整しつつ、テレスコピック機構でハンドルをいちばん手前(ドライバー側)まで引っ張ってから、肘が少し曲がる程度まで戻していくという合わせ方もあります。

ヘッドレストの高さ

▶︎頭がヘッドレストから飛び出しているのはNG

ヘッドレストの正式名称は「ヘッド・レストレイント」。レストレイントとは、拘束装置の意味。つまりレストとはいってもお休み処ではなく、頭を拘束する安全装備なんですね。頭は意外と重さがあるので、ヘッドレストが低すぎると、事故の際に頭が後ろへ仰け反ってしまう格好となり、頚椎を痛める危険性が高まります。

つまり、事故の際のムチウチ防止に役立ってくれるというわけなのです。目尻と耳の上を結んだラインがヘッドレストの中央に当たる、あるいはヘッドレストから頭が出ない位置に高さを調整しましょう。

シートベルトの位置

▶︎シートベルトは腰骨の上を通したら、ピタッと自分の身体に沿わせるようにセット。肩ベルトは首にかからないように、鎖骨の上を通すこと。

腰骨の上を通るように腰ベルトをセットしたら、シートベルトをキュッと引上げ、そのまま身体にピタッと沿わせていきます。肩ベルトは鎖骨の上を通るようにします。腰ベルトがお腹に掛かっていると、万が一の際に内蔵を痛める可能性があるので、必ず腰骨に掛かるようにします。

また肩ベルトが首に掛かっていると、万が一の際は首が締まる、最悪は首が跳ね飛ぶこともありますので、必ず鎖骨を通るように高さを調整してください。

また、シートベルトが緩んでいると、万が一の際に緩んだままシートベルトがロックし、身体が前方に振られた際にハンドルに近づきます。そのハンドルにはSRSエアバッグが内蔵されています。エアバッグは火薬で爆発させるため、かなりの破壊力があり、エアバックでケガをする可能性も高まりますので、必ず身体にピタッと沿わせましょう。

ミラーの角度

▶︎バックミラーはリアガラスの面がなるべくたくさん映る位置に。サイドミラーを下向きにするとバックがしやすい!


ルームミラー(バックミラー)はなるべくリアガラス面がいっぱいに映る位置に調整します。ドアミラー(サイドミラー)の角度調整は、2つに分けて調整します。まずは横方向、左右の角度を自車のボディがホンの少し映るくらいにします。続いて上下方向。約5〜6割路面が映るように角度調整をします。

この際に、適切なドライビングポジションを取ってから調整することが大切です。また、路側帯に寄せる、バックで車庫入れするなんていう際は、ドアミラーを下向きにすると、路側帯や駐車場の白線までの距離感覚が掴みやすくなります。状況に応じてフレキシブルにミラーを使いこなすと、よりラクに運転できるようになりますよ。
▶︎髪を結ぶと頭が前に押されるので疲れることも。結ぶ位置など工夫しよう。ハンドルのホームポジションは9時15分。

ドライビングポジションは、その日の服装によっても変わってきます。特にフードの付いた上着を着た時などに変わることが多ので、一度決めたら最後! というのではなく、しっくりくるポジションが得られるまでチョコチョコ調整しましょう。

またクルマに乗る際の髪型にも要注意。左の写真のように、髪の毛を中途半端な高さで後ろにまとめるとヘッドレストに当たり、頭が押されるような感じがして不快なことも。疲れの原因になるので工夫してくださいね。

また、シートベルトが緩んでいる方を多く見かけます。緩んでいると身体が動くたびシートベルトがついたり離れたりして、その刺激がストレスになります。身体にピタッとくっついていると、人間はシートベルトの存在を生理学的に忘れてしまうそう。ストレスからくる疲労度軽減のためにも身体にピタッと沿わせましょう。

最後にハンドルを握る位置ですが、時計で例えると9時15分の位置がホームポジションです。ハンドルを切る時は、5時~7時の間に来たら手を放し、握っている手の180度反対側を掴むようにして回します。

このハンドルの回し方は、どこまでハンドルを切ったかがわかりやすく、またクルマの角度を大きくつけやすいので、街中での運転には特にオススメです。その際にNGなのは内掛けハンドル。内掛けハンドルはスパッと切るのは早くても、瞬時に戻すことができません。

また、腕がSRSエアバッグの上に来てしまうため、万が一の際も大変危険です。クセにしないためにも、最初からやらないことが肝心です。

竹岡 圭/Kei Takeoka
自動車専門誌だけではなく、女性誌やTV、ラジオ、講演活動など多彩なジャンルで活躍するモータージャーナリスト。国内外のレースやラリーなどモータースポーツ活動にも積極的に取り組むほか、ドライビングスクールのインストラクターとしても活動している。

DVD『カーライフ!〜竹岡圭の車バラエティ!〜』
価格:¥3,800(税抜)
発売元:株式会社コンテンツリーグ

ここで紹介した正しい運転姿勢以外にも、元宝塚劇団の遼河はるひさんをドライバーに、「車庫入れ&縦列駐車」から「高速道路の乗り方」まで運転技術の基本と苦手克服のコツを、竹岡さんが分かりやすく指導。さらに実店舗にて「失敗しない中古車選び」のポイントも解説してくれる。

Part2 サトウマキの考える女性のためのライディングテクニック

背中を伸ばして乗る女の子乗りは、なぜダメなの?

▶︎背筋が伸びて腕を突っ張った、いわゆる女の子乗り。背筋が伸びるとあごも上がってしまってかっこ悪い。
▶︎腰を丸めて、上半身をリラックスさせたスタイル。あごを引くと速く走っているように見えるのです。

女性のカッコいいライディングスタイルってなんだろう。

不二子ちゃんのように、お尻を突き出して乗っているのもセクシーだと思うし、背筋をピンって伸ばして乗っているのも初々しく見える。だけど、それっていわゆる〝女の子乗り〟と言われている乗り方で、若干見下されている表現だったりする。どうして見下されるのか……。

それはそのスタイルだと、バイクを上手くコントロール出来ないからなのです。女性の場合、子どもを体内で育てるために背骨がエビ反り気味になっているということも関係しているようですが、男性と比べると身体が小さく、股間に大切なモノもついていないので、恥骨側に体重がかかりやすく、無意識のままだとどうしても背筋が伸びがちになってしまうようです。

しかし、背中が伸びていると、腕に体重がかかり、ハンドルを押さえてしまうので、セルフステアリングの邪魔をしたり、前側に荷重がかかりすぎるので、車体が安定せず怖い思いをする結果になりかねないのです。なので、まずは身体を〝腕〟ではなく、〝下半身〟で支えられるように、ライディングフォームを見直してみませんか?

そう、カッコいいライディングスタイルというのは、バイクをコントロールしやすいカタチ、というわけなんです。

CHECK:腰に体重がかかっているか

▶︎尾てい骨をシートに押しつける感じで、腰を引いて上半身の体重もそこを支点に預ける。恥骨側に体重が乗っているのはNG。
▶︎おへそを引っ込めて、背中を軽く丸めた状態をつくってから、その体勢のままハンドルに手を添えると背筋が伸びにくくなる。

CHECK:座る位置

▶︎走行状況に合わせて座る位置を変える必要があるが、基本はタンクからこぶし1個分くらい後ろが理想。このいちだと後輪に荷重がかかりやすくニーグリップがしやすくなる。しかし、腕が伸びきってしまう場合は、それより前に。

CHECK:手首は地面と平行になっているか

▶︎手首が下がっていたり上がりすぎていると、スロットル操作がしにくく疲れの原因にもなるので、腕から手の甲にかけてのラインが地面と水平になるように保つのが基本。手首が下がると腕が下がって、背中が伸びる原因にも。

CHECK:ハンドルは手の外側で握っているか

▶︎ハンドルは小指と薬指で握り、親指を軽く添え、中指と人差し指はフリーにしておくと、操作がしやすく疲れにくい。親指の付け根が痛くなる場合は、腕で身体を支えてしまっている証拠。最初の姿勢を見直してみて。

CHECK:つま先は前をむいているか

▶︎つま先がしっかりと前を向いていると、自然とニーグリップしてくれるので、車体が安定する。さらにペダル操作も慌てずにすむ。つま先が開くとヒザも開いてしまうので、カッコ悪い。疲れてくると開きがちなので注意したい。

CHECK:ヒザが開いていないか

▶︎女性が乗っていて、とっても残念にみえてしまうスタイルがコレ。どうしても開いてしまう、という人は、つま先を内側に向けると、自然にヒザが閉まるので試してみて。

CHECK:アゴを引いて目線はやや上になっているか

▶︎アゴを引いているだけでカッコ良く、さらには速く見えるのです。逆にアゴが上がっていると背中が反りがちになり、腕に力も入ってしまうので要注意です。これだけでも印象が大きく変わるので、とりあえず、アゴを引いて乗って見るのもアリ。

バイクを調整して自分に合わせる

男性の体型を基本に設計されたバイクに女性が乗って合うはずがない! ということで、変えられるところはとことん調整して自分の身体に合わせることも、バイクをカッコ良く乗るコツです。自分で簡単にできるところは自分で、分からなかったらバイク屋さんに相談しながらやってみましょう(というか、やってもらうのがベター)。もともと調整できるのに、そのまま乗っているのは勿体ないのです。
*ハンドルの角度調整
女性にとって一番の鬼門がハンドル。幅が広かったり遠かったり、ノーマルのままジャストフィットするのはマレなこと。ハンドルもちょっとした角度なら調整できるので、腕が伸びきってしまうようだったら、ハンドルを手前に引いて、近づけるように調整してもらいましょう。それでもダメなら交換してしまうというのもひとつの手です。さらに、アメリカンなどでは、グリップが太すぎて操作しにくいなんていうことも。こんな時も、交換を考えてみてください。ハンドルの調整は、タンクに干渉したり、レバーの高さが変わってしまったりするので、バイク屋さんにお願いするのが○。
パイプハンドルを調整すると…
1枚目:近い/一番手前に引いた状態
2枚目:遠い/一番遠くに押した状態
3枚目:ノーマル/普通の状態
*レバー
ダイヤル着きの場合、ブレーキレバーの位置が簡単に調整できるので活用すべし。さらに、遊びなどの調整もしてみて、自分にしっくりくる位置を探ってみて。角度も調整できるので、指を伸ばしたときに、角度がつきすぎるようなら、バイク屋さんなどで調整してもらうと、なお操作がしやすくなります。

応用編◎ちょっとしたコツで楽になる。

停止時はキルスイッチを活用

坂道駐車ではギアを1速に入れて…というセオリーのとおり、ギアが入っていると車体が動かず安心というのはご存じですよね。そう、どうせギアをいれたまま駐車するなら、ニュートラルに入れずに、クラッチを握ったままキルスイッチを切ってエンジンを停止してしまえばいいのです。

これを応用して、長い信号待ち、料金所などでなかなかニュートラルに入らない…というときにも、キルスイッチを切って停まると楽。すぐに両手がフリーにできるのも便利なのです。発進するときは、1速のままクラッチを握ってスターターを回せばOK!
小回りするときはクラッチを切って

交差点で曲がる時に大回りしてしまう…。そんなときは、クラッチを切ってみて。クラッチを切ると駆動がかからず怖いと思うかもしれませんが、逆に低速でクラッチをつないだままだと、ローギアの操作はアクセルワークが難しく、ぎくしゃくしがちで、ちょっとあけただけでも大きく前に押し出されてしまいます。

特に狭い路地の右左折などは半クラッチ、極低速で小さく左折するような場合にはクラッチを完全に切ると小回りが楽。これは、車体から駆動力をカットするとバイクが倒れる、という力を使うのですが、ポイントは、車体を充分に減速して、曲がり始めに車体が傾いたと同時にクラッチを切ること。するとスッと車体が向きを変えてくれるので、あとは丁寧にクラッチを繋いでアクセルをあけてください。

立ちごけ、握り転けをしないために

止まるまではハンドルをまっすぐに、目線は遠くに

基本と言えば基本なのですが、疲れてくるとどうしても視線が近くなりがちで、腕も下がってきてしまいますよね。そうなると、停まるときに安定せずに、バランスを崩してしまう原因に。バイクは目線が全て! これは走行中だけでなく、発進・停車時にも有効です。疲れた時ほど目線が下がって近くなってしまうので、視線の位置には注意するように意識してくださいね。


完全に停止したら足を着く側と反対にハンドルを少しだけ切る

停止した後に足を着いた側と反対方向に車体が傾いてしまう…。なんて経験ありますよね。これを回避するには、停止した後に、足を着く側にわざと車体が倒れるようにしてしまえばいいのです。やり方は簡単! 停まる瞬間に、足を着く方向と反対にハンドルをほんの少しだけスッと切ってみて。車体の構造上、ハンドルを切った側と逆に車体が傾くので足を着くのが楽になります。

>>停車時は無理して両足を着かない!

停車時に、両足をつこうとするとふらふらと安定しないもの。どちらに車体が傾くのか予測できないし、それに対応しようとしても無理な話。となれば、着く足を決めて備えた方が安心だし、片足を踵までしっかり付けて支えていた方が安定するものなのです。ポイントは腰をずらしてしっかりと踵までつくこと!つんつんのままだと不安定なので、風が吹いたら倒れます…。
>>ブレーキレバーの位置を確認

ブレーキレバーが近すぎてはいませんか? レバーが近いと操作の範囲が狭くなってしまい、思ったほど強くブレーキをかけられないのです。ブレーキは、握るというよりも、引き寄せるという感覚の方が、繊細な操作ができて、強くかける事ができるのです。

さらに、指先の方が器用に動かせたりしますよね。なので、レバーはちょっと遠目かな? と思うくらいがちょうど良いのです。人差し指と中指の第1関節で操作できるような位置がベスト。これなら、ブレーキが遅れてしまったり、ぎゅーっと握りすぎてフロントロックしちゃった、なんてことも回避出来るはずです。
>>無理してUターンしない!

まわりがスイスイUターンしていると、自分も…。と焦ってしまいますよね。でも、確実に「出来る」と思える場所以外では、「降りてUターン」するのも勇気。気後れしていると、それだけでも失敗の確率は上がるし、そんなことで愛車を傷つけてしまっては勿体ない。なにがあっても“自分のペースで”。これが一番大切です。
>>取り回しはテコの原理で

女性が重いバイクを取り回すのは至難の業ですが、コツさえ掴んでしまえばある程度はスムーズに動かせるようになります。全てはテコの原理。支点を意識して、それに合わせて動かせば良いのです。腕だけでなく、腰もタンクとシートに密着させて、身体全体でバイクを支えるのがポイント。動かし始めは、無理矢理腕だけで動かそうとせず、まず動かしたい方向に腰から全体重をかけ、バイクが動き出してから一歩を踏み出すとバイクが軽く感じられます。
>>アメリカンはハンドルを右に切ると起こしやすい

スタートの際に鉄の塊のような車両を起こすのも一苦労。アメリカンなどのキャスター角が大きい(寝ている)車両ほど、ハンドルを右に切ると車体が直角に起きあがるので、少しの力でも起こしやすくなります。起こすと同時にハンドルを真っ直ぐに戻すのをお忘れなく。これは、アメリカンなどキャスター角が大きい車両にのみ有効です。

>>傾斜のある場所にバイクを停めない!

最近、サービスエリアのバイクの駐車場でも傾斜がついている場所が少なくありません。ほんのちょっとの傾斜が後々大変なことに! 出発するのに動かせなくなってしまったり、気がつかなかったが故に立ちゴケしてしまったりと、さまざまなトラブルの元になりかねません。バイクを停める場所は慎重に選んで。また、一時停止する場合にも要チェック。傾斜に敏感になることも大切です。

>>急がつく動作をしない

バイクに乗るときは、常に落ち着きをもって、繊細な操作を心がけてさえいれば、怖いことは何もないハズ。分わかっちゃいるけど、慣れてくるとコレがおろそかになりがちですよね。ブレーキやアクセルの操作が急になると、全てがトラブルの元。ハンドルの操作も丁寧に。慌てず、急がず、じんわりと。それがスマートにカッコ良くバイクを乗りこなす一番のコツだったりするのです。

*サスペンション
女性こそ、絶対に調整するべき場所がサスペンション。乗る人の体重に合わせてバネの力が設定されているので、女性がそのまま乗って合うはずがないのです。調整機構がついているバイクに乗っているのならば、まずは、ちょっと柔らかめの設定から試してみて欲しい。分からなかったら、友達やバイク屋さんに聞いてしまうのが一番の近道! 乗っていて気持ちいい、と思える場所がきっとみつかるはずです。
*ペダル
ペダルの高さも簡単に調整可能。ブレーキが踏み込みにくい、シフトチェンジがしにくい……なんて場合には、きちんと自分にあわせて調整することが大切。これが合っていないと、ヒザが開いてしまったり、ライディングスタイルもかっこ悪くなってしまうのです。

*ヘルメットのサイズを見直す
アゴを引くと、ヘルメットの上部が邪魔をして前が見えなくなってしまう…、という場合は、ヘルメットのサイズを見直してみて。ヘルメットの選び方として、フィット感はもちろんのこと、被ったときにシールドの上部と眉毛の間に、指1本分のスペースがあることが理想となります。眉毛が隠れてしまっていたりすると視野が狭くなり、危険が伴うことも。できれば詳細なサイズ調整ができるメーカーでフィッティングすることをお勧めします。
サトウマキ/Maki Sato
ファッション専門誌から、勢い余ってバイク専門誌の編集部に転職。その後、写真専門誌、ガイドブック、WEBなどの編集を経て、フリーランスのエディター&ライターに。30代になってからバイクの免許を取得した遅咲きライダーだが、バイクへの愛情と勉強熱心さは人一倍。ライディングの美しさには定評がある。現在はバイク専門誌を中心に活動している。


撮影協力・クシタニ TEL:053(441)2516 www.kushitani.co.jp
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