クルマとバイクを美しく乗りこなそう

Part1 竹岡 圭が教えるドライビングポジション講座

アヘッド 乗りこなそう

シートの高さ

▶︎一番低い位置から一番高い位置まで、こんなに幅がある。

人、自転車、クルマ等々、さまざまなものが行き交う街中、住宅街の路地や駐車場など、ゴチャゴチャした狭い場所での運転は、高い位置から見下ろすようにした方が周囲をよく見渡せるのでクルマの位置が把握しやすくなります。また上から見た方が、死角の分量を減らせます。天井に頭がつくほど高いのはNGですが、なるべく高い位置まで座面を上げましょう。

ただし、日本の高速道路の速度域ならば問題ありませんが、ドイツのアウトバーンを延々と走るなどという際には、シートが高いと不安を覚える方もいます。そんな時は少しだけシートの高さを下げると、身体がクルマに包まれるような感覚となり安心できますよ。

シートの前後位置

▶︎ブレーキペダルを踏んだときに足が伸びきった状態と膝に少し余裕のある状態

お尻をシートの角にギュギュッと押し込むくらいに深く腰掛けます。シートとお尻の間に隙間があると、急ブレーキを踏むことになった際に、身体が後ろへズレてしまい、ブレーキを奥まで踏み切れなくなる可能性があるので要注意です。

続いて左足をフットレストに踏ん張り、右足でブレーキペダルをギュッと踏んだ時に、膝に少し余裕がある程度の位置にスライドします。この時に膝が伸びきっていると、万が一の正面衝突時に、衝撃が腰にまで達して大ケガをする可能性が高まります。膝をクッションにして衝撃を逃すために、余裕を持てる位置に調整しましょう。

背もたれの角度

▶︎ハンドルの一番上を握ったとき、腕が伸びきった状態と肘に少し余裕がある状態

背もたれに肩甲骨をしっかりつけた状態で、ハンドルのいちばん遠い場所、つまりハンドルのいちばん上を握った時、肘に少し余裕があるくらいの角度に背もたれを調整します。この際に腕が伸び切っていると、それ以上ハンドルを切ることができませんし、ついついハンドルにしがみつくような格好になり、正確な操作ができなくなります。

また、背もたれの角度が寝ていると、ハンドルを切るたびに背もたれから身体が離れてしまい、視点の高さが変わってしまいます。クルマは目で見た方向へしか動かすことができないものなので、視点の高さはなるべく一定に保った方が、クルマの動きがわかりやすくなり、手足感覚での操作がしやすくなりますよ。

ハンドルの高さと、ハンドルまでの距離

アヘッド 乗りこなそう

▶︎ハンドルの高さは太腿とハンドルの間に握りこぶし一つ分入るくらいに調節

ハンドルの高さはチルトステアリング機構を使って、太腿とハンドルの間に握り拳ひとつ入るくらいに調整します。ハンドルの位置が高すぎると、ハンドルを大きく切らないとクルマが動かないような感覚を覚える他、ハンドルの切り遅れが多くなり、想定したラインにクルマが乗りきらずに、大回りになってしまいがちです。

ただしクルマのデザインと体格によっては、ハンドルを下げるとメーターが見えなくなることもあります。そんな時は、計器類が見える位置でなるべく低めの位置を探してみてください。総じて、女性は体格や腕力の関係から、低めの位置が操作しやすいハズですよ。

▶︎シートの位置は固定したままテレスコピックステアリングを前後に動かすと、このくらい調整の幅が出る。左が一番手前、右が一番遠い位置。すべてのクルマに採用してほしい機能の一つだ。

ハンドルまでの距離は、テレスコピックステアリング機構を使って調整します。テレスコピックステアリング機構は、まだまだ装着されていないクルマも多いのが現状ですが、シートの背もたれのノッチの関係で、背もたれをひとつ起こしてもひとつ寝かしても違和感があることありますよね。そんな時に非常に役立つ機構です。

また、小柄な女性はシート位置が前気味になり、サイドミラーが見えにくくなる傾向があるので、シートの背もたれを寝すぎない程度の位置に調整しつつ、テレスコピック機構でハンドルをいちばん手前(ドライバー側)まで引っ張ってから、肘が少し曲がる程度まで戻していくという合わせ方もあります。

ヘッドレストの高さ

▶︎頭がヘッドレストから飛び出しているのはNG

ヘッドレストの正式名称は「ヘッド・レストレイント」。レストレイントとは、拘束装置の意味。つまりレストとはいってもお休み処ではなく、頭を拘束する安全装備なんですね。頭は意外と重さがあるので、ヘッドレストが低すぎると、事故の際に頭が後ろへ仰け反ってしまう格好となり、頚椎を痛める危険性が高まります。

つまり、事故の際のムチウチ防止に役立ってくれるというわけなのです。目尻と耳の上を結んだラインがヘッドレストの中央に当たる、あるいはヘッドレストから頭が出ない位置に高さを調整しましょう。

シートベルトの位置

アヘッド 乗りこなそう

▶︎シートベルトは腰骨の上を通したら、ピタッと自分の身体に沿わせるようにセット。肩ベルトは首にかからないように、鎖骨の上を通すこと。

腰骨の上を通るように腰ベルトをセットしたら、シートベルトをキュッと引上げ、そのまま身体にピタッと沿わせていきます。肩ベルトは鎖骨の上を通るようにします。腰ベルトがお腹に掛かっていると、万が一の際に内蔵を痛める可能性があるので、必ず腰骨に掛かるようにします。

また肩ベルトが首に掛かっていると、万が一の際は首が締まる、最悪は首が跳ね飛ぶこともありますので、必ず鎖骨を通るように高さを調整してください。

また、シートベルトが緩んでいると、万が一の際に緩んだままシートベルトがロックし、身体が前方に振られた際にハンドルに近づきます。そのハンドルにはSRSエアバッグが内蔵されています。エアバッグは火薬で爆発させるため、かなりの破壊力があり、エアバックでケガをする可能性も高まりますので、必ず身体にピタッと沿わせましょう。

ミラーの角度

▶︎バックミラーはリアガラスの面がなるべくたくさん映る位置に。サイドミラーを下向きにするとバックがしやすい!


ルームミラー(バックミラー)はなるべくリアガラス面がいっぱいに映る位置に調整します。ドアミラー(サイドミラー)の角度調整は、2つに分けて調整します。まずは横方向、左右の角度を自車のボディがホンの少し映るくらいにします。続いて上下方向。約5〜6割路面が映るように角度調整をします。

この際に、適切なドライビングポジションを取ってから調整することが大切です。また、路側帯に寄せる、バックで車庫入れするなんていう際は、ドアミラーを下向きにすると、路側帯や駐車場の白線までの距離感覚が掴みやすくなります。状況に応じてフレキシブルにミラーを使いこなすと、よりラクに運転できるようになりますよ。

▶︎髪を結ぶと頭が前に押されるので疲れることも。結ぶ位置など工夫しよう。ハンドルのホームポジションは9時15分。

ドライビングポジションは、その日の服装によっても変わってきます。特にフードの付いた上着を着た時などに変わることが多ので、一度決めたら最後! というのではなく、しっくりくるポジションが得られるまでチョコチョコ調整しましょう。

またクルマに乗る際の髪型にも要注意。左の写真のように、髪の毛を中途半端な高さで後ろにまとめるとヘッドレストに当たり、頭が押されるような感じがして不快なことも。疲れの原因になるので工夫してくださいね。

また、シートベルトが緩んでいる方を多く見かけます。緩んでいると身体が動くたびシートベルトがついたり離れたりして、その刺激がストレスになります。身体にピタッとくっついていると、人間はシートベルトの存在を生理学的に忘れてしまうそう。ストレスからくる疲労度軽減のためにも身体にピタッと沿わせましょう。

最後にハンドルを握る位置ですが、時計で例えると9時15分の位置がホームポジションです。ハンドルを切る時は、5時~7時の間に来たら手を放し、握っている手の180度反対側を掴むようにして回します。

このハンドルの回し方は、どこまでハンドルを切ったかがわかりやすく、またクルマの角度を大きくつけやすいので、街中での運転には特にオススメです。その際にNGなのは内掛けハンドル。内掛けハンドルはスパッと切るのは早くても、瞬時に戻すことができません。

また、腕がSRSエアバッグの上に来てしまうため、万が一の際も大変危険です。クセにしないためにも、最初からやらないことが肝心です。

アヘッド 乗りこなそう

竹岡 圭/Kei Takeoka
自動車専門誌だけではなく、女性誌やTV、ラジオ、講演活動など多彩なジャンルで活躍するモータージャーナリスト。国内外のレースやラリーなどモータースポーツ活動にも積極的に取り組むほか、ドライビングスクールのインストラクターとしても活動している。

DVD『カーライフ!〜竹岡圭の車バラエティ!〜』
価格:¥3,800(税抜)
発売元:株式会社コンテンツリーグ

ここで紹介した正しい運転姿勢以外にも、元宝塚劇団の遼河はるひさんをドライバーに、「車庫入れ&縦列駐車」から「高速道路の乗り方」まで運転技術の基本と苦手克服のコツを、竹岡さんが分かりやすく指導。さらに実店舗にて「失敗しない中古車選び」のポイントも解説してくれる。

次ページPart2 サトウマキの考える女性のためのライディングテクニック

この記事をシェアする

最新記事

     
アヘッド Car & Motorcycle Magagine ahead archives