ダウンサイジングと向き合う

アヘッド 向き合う

ダウンサイジング コンセプトの現況

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●スペック
V型8気筒や12気筒などの大排気量エンジンを得意としていたプレミアムブランドも、ダウンサイジング化と無縁ではない。XJは2013年モデルからパワーユニットを一新し、2リッター直列4気筒直噴ターボエンジンを搭載するが、最大トルクは十数年前の3.2リッターV8型8気筒エンジンを超えるという。

車両本体価格:¥9,770,000(XJ 2.0 Luxury SWB、税込)
総排気量:1,998cc
最高出力:177kW(240ps)/5,500rpm
最大トルク:340Nm/1,750rpm
JC08モード燃費:9.3㎞/ℓ 

text:石井昌道

世界中で燃費、CO2排出量、排気ガスの規制が厳しくなっていくなかで、EVやFCV(水素利用の燃料電池車)、ハイブリッドカーなど電気モーターを駆動に用いるモデルに期待がかかる一方、まだ15年から20年は内燃機関のエンジンが重要な役割を担っていくものと見られている。

なかでも大きな可能性をもっているのがガソリン・エンジンの高効率化であり、そのためのソリューションとしてポピュラーになってきているのがダウンサイジング・コンセプトだ。

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●スペック
1.6リッターから新たに1.2リッターへとダウンサイジングされたルーテシア。搭載されている直列4気筒ターボエンジンは、後にカングーにも導入されている。さらに、ルーテシアの5速MTモデル(ZEN 0.9L)では、よりコンパクトな0.9リッター3気筒ターボを採用。シリンダー数減のダウンサイジングも進めている。

車両本体価格:¥2,080,000(ZEN 0.9L/FF、税込) 
総排気量:897cc 
最高出力:66kW(90ps)/5,250rpm
最大トルク:135Nm(13.8kgm)/2,500rpm

従来よりも排気量を小さく=ダウンサイジングして燃費を改善しつつ、それに伴って落ちてしまうパワーやトルクをターボ、スーパーチャージャーなどの過給器で補うという考え方だ。以前のターボは燃費が悪かったが、課題だったノッキングや高熱に対して、シリンダー内へ高圧で直接燃料を噴射する直噴技術を用いることで解決している。

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●スペック
ハイブリッド技術でトップを走るトヨタも、「オーリス」のマイナーチェンジで初のダウンサイジングエンジンを投入。最上級グレードで新開発の1.2リッター直4直噴ターボエンジンを搭載し、1.8リッタークラスの動力性能と1.5リッタークラスの燃費を実現した。

車両本体価格:¥2,590,037(120T/2WD、税込)*北海道・沖縄地区を除く 
総排気量:1,196cc 
最高出力:85kW(116ps)/5,200-5,600rpm 
最大トルク:185Nm(18.9kgm)/1,500-4,000rpm 
JC08モード燃費:19.4㎞/ℓ 

すでに欧州の主要メーカーはダウンサイジングを全面的に採り入れ、GMやフォードなどアメリカ勢も一部車種に採用。日本は少し遅れ気味だったが、トヨタ、ホンダが本格的な導入を開始。日産、スバルも車種によって展開が始まっている。特徴は低回転域から大きなトルクを発生できることで、過給器も直噴もない古いタイプのガソリン・エンジンよりも頼もしく、扱いやすい。

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●スペック
ダウンサイジングの流れは3気筒エンジンの開発にまで及んでいるが、2気筒エンジンという独自路線を開拓したのがフィアット。875ccの2気筒ターボエンジン“TwinAir”は、気筒数を減らしているため独特の振動が生まれるが、それもひとつの味わいになっている。500をはじめパンダにも搭載されている。

車両本体価格:¥2,516,400(4WD、税込) 
総排気量:875cc 
最高出力:63kW(85ps)/5,500rpm 
最大トルク:145Nm(14.8kgm)/1,900rpm 
JC08モード燃費:15.5㎞/ℓ 

最近のターボは昔のように、過給が立ち上がるまで力が出てこないターボラグも少なくなっているのだが、アイドリングから+αぐらいまでの超・低回転域ではまだ課題が残る。一般的なトルクコンバーター式ATは、その領域でトルク増幅効果が見込めるので何とかマッチングがとれるが、自動クラッチで発進するDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)はわずかながらもたつきつつ、急に勢いよく飛び出したりする。走りの質感を大切にするプレミアムカーには好ましくない特性だ。

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●スペック
Aクラス初のハイパフォーマンスモデルは、排気量1リッター当たりの最高出力が181ps/133kWと、スーパースポーツカーを圧倒する性能。そんなマシンもやはり、直噴ターボエンジンを搭載。AMG2.0リッター直列4気筒直噴ターボエンジンは、量産4気筒ターボとしては、世界一パワフルだという。

車両本体価格:¥6,850,000(4WD、税込) 
総排気量:1,991cc 
最高出力:265kW(360ps)/6,000rpm 
最大トルク:450Nm(45.9kgm)/2,250-5,000rpm 
JC08モード燃費:13.1㎞/ℓ 

そこで間もなく実用化されるのが、タービンを電動化する技術で電動スーパーチャージャーなどと呼ばれている。ターボは排気ガスの力を利用してタービンを回していたので超・低回転域での立ち上がりが苦しかったが、電気モーターで回してやれば容易に克服できる。

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●スペック
小排気量とターボの組み合わせによるダウンサイジングを得意とするアウディ。新型A1はさらに進化し、アウディ初の3気筒を採用。新開発の直列3気筒直噴ターボエンジンは、1.0リッターながら1.6リッター並みのトルクを発揮、燃費はアウディとしては過去最高の22.9㎞/ℓを達成している。

車両本体価格:¥2,490,000(1.0 TFSI/FF、税込)
総排気量:999cc 
最高出力:70kW(95ps)/5,000-5,500rpm 
最大トルク:160Nm(16.3kgm)/1,500-3,500rpm 
JC08モード燃費:22.9㎞/ℓ 

その後は、減速時のエネルギーを回収し、力をあまり必要としない巡航ぐらいならモーターで駆動もするマイルド・ハイブリッドとの組み合わせも始まるものと思われる。電動スーパーチャージャーも含め、電気使用が増えるので12Vではなく48Vになる見込みだが、それでもフルハイブリッドに比べれば低コストで、既存のエンジン、ミッションに追加という形で済むので汎用性も高い。

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●スペック
PSA・プジョー・シトロエンが4年をかけてコンパクトカー用に開発した次世代ガソリンエンジン「Pure Tech」を初搭載。1.2リッター直列3気筒にターボという組み合わせで、従来の1.6リッター直列4気筒に比べ、燃費は約20%アップ。エンジンのみならずボディサイズもひと回りサイズダウンされた。

車両本体価格:¥2,846,000(308 Premium/FF、税込) 
総排気量:1,199cc
最高出力:96kW/5,500rpm 
最大トルク:230Nm/1,750rpm ■
C08モード燃費:16.1㎞/ℓ 

ダウンサイジングのもう一つの課題は、カタログに載るモード燃費と実際の燃費の乖離がNAエンジンよりも大きめになることだ。アクセルを強めに踏んで過給器の働きが大きくなれば、急激に燃料使用が増える。モード燃費の計測方法は、日本を含めどの地域でも実際の走り方よりも負荷が小さいため乖離が起きてしまう。

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●スペック
欧州に比べ出遅れていた日本勢の中で、ダウンサイジングの先鞭を切ったのがスバル。「水平対向直噴ターボエンジン」は、元々の得意分野であるターボエンジンをベースに開発。1.6リッターながら、出力は現行レガシィの2.5リッター車に相当、さらに燃費はレガシィを上回る実力を持つ。

車両本体価格:¥3,056,400(1.6GT-S EyeSight/AWD、税込)
総排気量:1,599cc 
最高出力:125kW(170ps)/4,800-5,600rpm 
最大トルク:250Nm(25.5kgm)/1,800-4,800rpm 
JC08モード燃費:16.0㎞/ℓ 

そこで欧州、日本、アメリカ、インド、韓国で実際の走行データを基にした、実用燃費に近い世界統一のテスト基準、WLTC(World Harmonized Light Duty Test Cycle)を策定・採用する動きが始まっている。これで計測するとダウンサイジングは、今よりもカタログ燃費が落ちることが予想され、マイルド・ハイブリッドなど新しい技術を早く採り入れざるを得ない状況になることも考えられる。

NAの高圧縮比エンジンで孤軍奮闘しているマツダは、WLTCでもカタログ燃費があまり悪化しないので、今よりも価値が大きいとみなされるようになるだろう。

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●スペック
4月発売の新型は、ホンダ初のダウンサイジングモデル。エンジンは2.0リッターから新開発の直噴1.5リッターVTECターボエンジンへと小型化されたものの、2.4リッター並みの運動性能を誇る。大人数での乗車時や坂道発進時など、低回転域でも力強いトルクを発生しつつ、燃費は前モデルより約13%向上した。

車両本体価格:¥2,588,000(G-EX/FF、税込) 
総排気量:1,496cc 
最高出力:110kW(150ps)/5,500rpm 
最大:トルク:203Nm(20.7kgm/1,600-5,000rpm 
JC08モード燃費:16.2㎞/ℓ 

そこで欧州、日本、アメリカ、インド、韓国で実際の走行データを基にした、実用燃費に近い世界統一のテスト基準、WLTC(World Harmonized Light Duty Test Cycle)を策定・採用する動きが始まっている。これで計測するとダウンサイジングは、今よりもカタログ燃費が落ちることが予想され、マイルド・ハイブリッドなど新しい技術を早く採り入れざるを得ない状況になることも考えられる。

NAの高圧縮比エンジンで孤軍奮闘しているマツダは、WLTCでもカタログ燃費があまり悪化しないので、今よりも価値が大きいとみなされるようになるだろう。

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text:石井昌道/Masamichi Ishii
自動車専門誌編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦経験も豊富。エコドライブの研究にも熱心で、エコドライブを広く普及させるための活動にも力を注いでいる。


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