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パリジェンヌはなぜDS3を選んだのか

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text:嶋田智之

異国を歩くと、気づけば、走ってくるクルマを眺めてる。街角スナップみたいな写真を撮ることもあるけど、その多くはクルマが主役だったりもする。自分の国と違う空気がそこに流れていることを最もシンプルに、そしてストレートに認識できるのが、僕の場合は職業的にも趣味の上でもクルマだ、ということだろう。

そして今あらためて、そういえばそうだ、と気づいた。スナップを見ても明らかだった。いつ頃からなのかはあやふやだけど、確かにパリの街を散歩したりパンや果物を買いに出たりすると「DS3」に出くわすことが次第に多くなり、売れてるんだな、と何度か思った記憶もある。なぜか男性より女性がステアリングを握っているのが目立ったことも。

そのちょっとした裏付けとして、ちょっと前のフランスの〝オート・プリュ〟という自動車雑誌が行ったアンケートで、〝女性が選ぶ10台〟の第1位がDS3だったことがあった。18歳以上の男女1000人ずつぐらいに計80台の中から様々な視点で好きなクルマを選ばせる、というような感じだったはずだ。

オモシロイと思ったのは、男性の選ぶトップ5がポルシェ911を頂点に、シボレー・カマロ、シトロエンDS5、ジャガーFタイプ、メルセデスSLKという順位で〝憧れ〟系がメインだったことに対し、女性は3位に911、4位にFタイプという〝憧れ〟系が入りはしたものの、それを押さえて2位にミニ、そしてトップがDS3という比較的現実を見たチョイスが堂々上位にあったことだ。

ちなみにベスト10の中には、他にもプジョーの208と308、シトロエンC4ピカソ、ダチア・ロッジーがランクイン、〝現実〟系が6割を占める計算になる。男どもが夢見がちに何かを語る横で、キリッと現実を見つめてる女子達、というどこかで見たような図式がパッと思い浮かんだものだった。

女性達のチョイスは、フランスの街の構造を考えると、わりとすんなり納得できる。パリはもちろん地方の田舎の村でも、幹線道路から一歩入ると、自動車が通行することなど想像したことすらない中世の時代のスケールそのままと思しき狭い道が入り組んでいたりする。

彼女達はそんなところで気を使ったり面倒な想いをしたりするよりも、お気に入りの曲をハミングなどしながら軽やかに駆け抜けたいのである。基本、我慢は大嫌い、思いのままに〝快〟を優先させるのが、彼女達にとってのごく自然な行為なのだから。つまりサイズが手頃なクルマ達の中で〝いいもの〟を選んだ結果なのだ。

それに、思わずクスリと笑ってしまったのだけど、これまでの断続的な渡仏や滞在の中で知り得たフランス人女性(というか、ほとんどパリジェンヌ)の特徴をランダムに並べてみたら、DS3が好まれることに妙に納得がいく。

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当たり前のように美意識が高い。同じくらい誇り高い。他人の価値観では動かない。〝自分〟をちゃんと持っている。ナンバーワンではなくオンリーワンを重んじる。知識は大切、知恵はもっと大切。

おすまししてても実は中身はエネルギッシュ。お洒落な着まわし上手。悪目立ちを好まないくせに、埋没することは絶対に許さない。プリティであるよりキュートであれ、キュートであるよりラヴリーであれ、ラヴリーであるよりコケティッシュであれ、コケティッシュであるよりセンシュアルであれ。

ほら、何だかまるで、DS3そのものに思えてこないだろうか?

作り手が意識していたかどうかは判らないし、選んだ彼女達が意識したかどうかも判らない。でも、つまり彼女達は自分達を選んだようなもの。そういうことなのだ。

そう考えると、DS3が最もフランス的な──というかパリジェンヌっぽい──クルマであるように思えてくる。この日本でもDS3を走らせてる女性を見ると、どういうわけか凜としたかっこよさみたいなモノを感じてしまうのは、だからなのかも知れない。

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text:嶋田智之/Tomoyuki Shimada
1964年生まれ。エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集長を長年にわたって務め、総編集長として『ROSSO』のフルリニューアルを果たした後、独立。現在は自動車ライター&エディターとして活躍。

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