岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.78 エキサイティングな時代の始まり

VOL.78 エキサイティングな時代の始まり

アヘッド 岡崎五朗のクルマでいきたい

もともとクルマの環境問題は毒性の強い物質を減らすことから始まった。まずは一酸化炭素が問題になり、続いて光化学スモッグの原因になる炭化水素と窒素酸化物がクローズアップされた。しかし今は、それ自体にはまったく毒性はないものの温暖化の原因となる二酸化炭素が大きな問題になっている。

ところが、二酸化炭素は息を吐いても出る。暖を取るために薪を燃やせばもっとたくさん出る。もちろん、クルマに乗ればさらに出る。つまり人間の生活レベルとイコールなのが二酸化炭素問題の難しさだ。

将来を考え、クルマに乗らないという選択肢もあるだろう。大きくて重くて速くて豪華なクルマから、軽くて小さくて遅くて質素なクルマに乗り換えるのもひとつの方法だ。

しかし、LEDライトの普及によって明るさを保ったまま大幅な省エネができたように、クルマにも技術革新の波が押し寄せている。ハイブリッド、ダウンサイジングターボ、クリーンディーゼル、電気、プラグインハイブリッド、燃料電池…。自動車の歴史上、これほど多くのパワートレーンが選択肢として提示されたことはなかった。

しかし、それは同時に選ぶ側にも高い見識が求められることを意味する。自分に適したパワートレーンはどれなのか。使用パターンやトータルコストなどを勘案しつつ結論を出すのはとても難しい作業だ。もちろん、果たしてあなたは小さくて遅くて質素なクルマで満足できるのですか? という、欲望との折り合い付けも必要になってくる。

おそらく今後10年間ぐらいは人間と地球、人間と環境といった問題を、学問的レベルではなく、人々の意識レベルで整理整頓していく期間になるのではないか。それはまさに、豊かさや幸福感の絶対量をキープしつつ、その中身と在り方を変えていく知恵の勝負のスタートに他ならない。ああ考えただけでゾクゾクする。そう、いまわれわれは最高にエキサイティングな時代を生きているのだ。

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