岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.40 ブランディングの重要度

VOL.40 ブランディングの重要度

アヘッド 岡崎五朗のクルマでいきたい

しかしブランド価値が高まれば、他社商品より多少高くても、あるいは同じ値段でも選んでもらえるようになる。何も高級ブランドになれといっているわけではない。クルマでいえば、デザインや走行フィール、伝統、機能など、他社商品にはない特徴やアドバンテージを常に持ち続け、それをうまくアピールできればブランド価値を高めることはできるはずだ。

もちろん、日本の自動車メーカーにもブランド価値を高めるため日々努力している人たちはいる。しかし国産メーカーから輸入車メーカーに転職した人から聞いた話によると、それはブランディングを担当する社内のごく一部だけであり、全社的にはまったく浸透していないのだという。

高度に縦割り化した組織のなかで評価されるのは、それぞれの担当部門内で業績を上げる人物であり、そこにブランディングなどという要素が入り込む余地はない。会社やユーザーにとってよかれと思って提案した案件も「それをやったらいくら利益が上がるのか」という上司(担当部門内で業績を上げ出世した人物)の発言で潰されてしまう。

それに対し、転職先の輸入車メーカーでは、どんな部署に所属しようとブランドという価値観が真っ先に来るそうだ。たとえば財務担当者でも「我が社のブランドにとって必要かどうか?」という観点で物事を判断するため、長期的な視野にたったクルマづくりやPR活動にも予算がつく。

利益を追求するのが使命である企業にとって支出管理は必要だ。しかし、行きすぎたコストダウンや部門最適化は目先の利益を極大化する一方で長期的な利益を損なう危険性を孕んでいる。ブランドとはバッジのことではなく、ユーザーからみた企業姿勢そのもの。

企業が自らの魅力をアピールするのが広告だとすれば、ファンが魅力を語ってくれるようにするのがブランディングとも言える。日本メーカーもそろそろ全社的観点でブランディングを考えるべき時期に来ているのではないだろうか。

次ページ今月の4台

関連キーワード

この記事をシェアする

関連する記事

最新記事

アヘッド Car & Motorcycle Magagine ahead archives