「リンドバーグ」から「代官山 蔦屋書店」へ

「リンドバーグ」から「代官山 蔦屋書店」へ

アヘッド 「リンドバーグ」から「代官山 蔦屋書店」へ

私もこの仕事を始めたとき、何か知りたいことや資料を探していると、よく「リンドバーグへ行って来たら?」と言われた。ここに行けば何とかなる。そう刷り込まれた。だから「リンドバーグがなくなるらしい」という噂が流れたとき、周りはちょっと騒然としたのだった。

かつての場所に、もう「リンドバーグ」はない。

でも実は「リンドバーグ」はなくなったわけではなかった。「リンドバーグ」は今、代官山T-SITE内の蔦屋書店に引き継がれ、新しい時を刻み始めている。

代官山T-SITEはその名の通り、代官山の旧山手通り沿いに面した一等地にある。2011年12月に完成した蔦屋書店のある敷地の総称と言えば分かりやすいだろうか。TSUTAYAの創業者である増田宗昭氏が自分の夢の原点に立ち戻ったところからこのプロジェクトは始まったという。

大阪の枚方に現在のTSUTAYAの原点とも言える「蔦屋書店」が誕生したのが1983年。「本、映画、音楽を通してライフスタイルを提案すること」。それが増田氏が掲げたテーマだった。あれから30年。当時の若者たちはどうしているだろうか。

今でも本を読み、映画を観、音楽を聴いているだろうか。彼らが自分のライフスタイルを発見できる場を自分たちは提供できているだろうか…。だから代官山T-SITEは、30年前の若者たち(団塊の世代=プレミアエイジ)に向けて創られている。

建物は蔦屋書店のTの字をモチーフにしたファサードが連続し、3棟に分かれている。それぞれが2階建てとなっており、3棟は2階の中廊下を通って行き来できる。敷地内にはクルマ120台、バイク20台が収容できる平置きの駐車場が備えられていて、クルマで来ても駐車場を探してうろうろする必要がないのはうれしい。

建物が3棟に分かれていることや、駐車場の大きな空間が背後に控えていることで、とても開かれた印象だし、ガラス張りの店内からも外への視線が確保されているので、閉塞感はまったく感じられない。増田氏がこの場所にこだわったというのもうなずける、気持ちのいい空間である。

店内のレイアウトは、まずは世界の最新情報がぎっしりと詰まった雑誌が並べられた目抜き通りの「マガジンストリート」。そこから6つの専門書店に入っていくという構成。「人文・文学」「アート」「建築」「クルマ」「料理」「旅行」。これらの専門書店にはそれぞれにコンシェルジュと言われる人が置かれていて、ヴィンテージブックから最新の情報に至るまで、どこにも負けない品揃えが常に維持されている。

「クルマ」のコンシェルジュは、「リンドバーグ」創業者である藤井孝雄氏である。代官山T-SITEのHPを覗いてみると、藤井氏のこんなコメントがある。

「代官山にプレミアエイジのための書店ができるという話を聞いて、自分がずっとやりたいと思ってきたことと、ぴったり同じだと思ったんだよね」。「リンドバーグ」に注目していた増田氏が藤井氏に声を掛け、藤井氏がこのプロジェクトにジョインすることは即決だったという。

だから私たちは安心して、またここに来ればいいのだ。

聞くところによると、かつて「リンドバーグ」のあった場所に、今でも集まって来る人たちがいるという。でもそれはちょっと悲しい。一度、代官山の蔦屋書店を覗いてみて欲しい。きっといい時間が過ごせると思う。

アヘッド 「リンドバーグ」から「代官山 蔦屋書店」へ

代官山T-SITE 代官山 蔦屋書店
住所:東京都渋谷区猿楽町17-5
電話:03(3770)5525
営業時間:7:00〜深夜2:00(1階)/9:00〜深夜2:00(2階)
定休日:なし
駐車場:蔦屋書店の利用で30分無料。1店舗2,000円以上の買い物で1時間無料。5,000円以上の買い物で2時間無料。最大4時間まで。*現在、夜7時以降2時間無料のサービス実施中(3月31日まで)。

▶︎本やCDなどを選ぶ傍ら、コーヒーを飲んだり、2階のラウンジには、ポパイやカーグラフィックなどなど、雑誌のバックナンバーがぎっしりと並べられていて、自由に手に取って見ることもできる。ちょっとクルマを停めて一息…そんな場所になりそうだ。

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text:若林葉子/Yoko Wakabayashi
1971年大阪生まれ。Car&Motorcycle誌編集長。
OL、フリーランスライター・エディターを経て、2005年よりahead編集部に在籍。2017年1月より現職。2009年からモンゴルラリーに参戦、ナビとして4度、ドライバーとして2度出場し全て完走。2015年のダカールラリーではHINO TEAM SUGAWARA1号車のナビゲーターも務めた。

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