岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.50 高級車を生み出す源

VOL.50 高級車を生み出す源

アヘッド 岡崎五朗のクルマでいきたい

そんなSクラスが8年ぶりにフルモデルチェンジした。実はSクラスに僕はまだ乗っていない。発表会で実車を見て、開発者の言葉を聞き、内容の説明を受けただけだ。

本来なら11月の試乗会を待ってレポートを書くべきなのかもしれない。しかし書かずにはいられなかった。なぜか? そこに作り手の揺るぎない信念と哲学を感じたからだ。

「Sクラスを作るのは仕事ではない。名誉である」

「エンジニアにはアーティストも持ち得ない自由さがある」

「挑戦と名誉がSクラスを進化させていく」

「過去と未来を結びつけるのがデザイナーの役目である」

「ビジョンとは理想的な状況の描写である」

「現代において歴史をつくる行為がビジョンである」

「今できるすべてがSクラスにはある」

これらは広告代理店が考え出した言葉巧みなセールストークではない。どれも、Sクラスの開発を担当したエンジニアから発せられた生々しい言葉だ。

Sクラスに投入された数々の新技術や、シンプルな豊かさをたたえるエクステリア、モダンラグジュアリーのど真ん中を狙った上質なインテリアなどにも圧倒された。しかしそれ以上に僕の知的好奇心を刺激し、期待感を高めたのがエンジニアたちの言葉だった。

そこには、溢れ出るほどの情熱と自信、崇高な理念、揺るぎない哲学が感じられた。それこそ、真の高級車をつくるのになくてはならないものなのではないだろうか?

早く乗ってその仕上がりを確かめたい。と同時に、いつの日か日本の自動車メーカーのエンジニアからもこういう言葉を聞いてみたいと思った。

次ページ今月の4台

この記事をシェアする

関連する記事

最新記事

アヘッド Car & Motorcycle Magagine ahead archives