岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.83 日産傘下での再出発

VOL.83 日産傘下での再出発

アヘッド 岡崎五朗のクルマでいきたい

電光石火のごときカルロス・ゴーン社長の判断が吉と出るか凶と出るかはちょっと予想が付かないが、少なくともゴーン氏にとって、三菱が喉から手が出るほど欲しかった「物件」であることは間違いない。

日産は2011年に「2016年に世界市場シェア8%、営業利益率8%を達成する」とした中期経営計画を発表した。営業利益率達成の見込みはついたものの、シェア8%は未達で、赤信号に変わる寸前の黄色信号状態。

「シェア8%はコミットメントではなく努力目標だ」などという弱気な発言も飛び出していた。ところが販売台数107万台の三菱を傘下に収めることによって、日産はシェア8%というコミットメントを見事に達成。これで社長の座はしばらく安泰である。

共同記者会見時のゴーン氏の満面の笑みは、コミットメント達成の安堵と僕は受け止めた。その先にあるのはもちろん「世界最大の自動車メーカーのトップになる」という彼の野望。ルノー、日産、三菱を合わせれば1,000万台弱になり、トヨタ、VW、GMの背後にピタリと迫ることになる。

事業面で見ても、共同購買やプラットフォーム共通化によるコスト削減、相互の技術を活かした電動化の推進、それぞれの得意地域での協業などバラ色の未来が拡がっているかのように見える。しかし、筆頭株主が変わったところで三菱の問題は実のところ何ら解決していない。

退任が決まった三菱の相川社長も熱心に企業改革に取り組んでいた。親会社から派遣されてきた外様経営者だからこそできることもあるだろうが、だからといって燃費不正問題の温床となった社風やコンプライアンス意識の欠如が嘘のように改善されるとは考えにくい。

大切なのは、不正に関わった人はもちろん、そうでない大部分の人を含め、一人ひとりの三菱社員が今回の不祥事を自分事として受け止め、二度とこのようなことを起こさないと心に誓うこと。三菱の再出発はそこからスタートするべきだと思うのだ。

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