忘れられないこの1台 vol.46 Triumph Bonneville T140V

vol.46 Triumph Bonneville T140V

アヘッド 忘れられないこの1台 vol.46 Triumph Bonneville T140V

▶︎‘70〜80年代に販売されたボンネビルT140系各車は、60年代に世界最良のスポーツバイクと呼ばれたT120の後継だが、ルックスがあまりにカッコ悪くなってしまったため、現役時代は不人気車だった。シリーズ最大の750ccとなったバーチカルツインは50psを発揮した。


でも今号が僕のaheadでの初仕事なのだから、中村友彦という人間を読者の皆様に知ってもらうためには、やっぱり12年前から所有している'76年型の「トライアンフ・ボンネビルT140V」を挙げるのが正解だろう。

東京の秋葉原にある「トリニティースクール」というアマチュアを対象とした趣味の整備学校をご存知だろうか。そこに通って自らの手でフルレストアし、カスタムを行ったこの古いトライアンフは、僕にとっては教科書のような存在である。

この10年の僕は、フリーランスのライターとして二輪専門誌の仕事をしているのだが、ここまでフリーとしてやってこられたのは、このオートバイのお陰かもしれない。

それは、今のオートバイと比べて構造がシンプルで素人でもいじりやすく、整備の基本やカスタムのイロハを学べたからだ。この経験がなかったら、二輪専門誌の仕事で生計を立てるのは難しかったような気がする。

アヘッド 忘れられないこの1台 vol.46 Triumph Bonneville T140V

そういった事情に加えて〝忘れられない〟と呼ぶにふさわしい別な魅力がT140Vにはあった。実はオーナーになるまでは、特別好きなモデルではなかったが、走らせると、現行車にはない楽しさが伝わってきたのだ。

'30年代に基本設計が行われたOHVバーチカルツインの生々しい鼓動と振動は、近年のモデルでは絶対に味わえないものだし、しなやかで分かりやすい車体は、伝統のブリティッシュハンドリングの奥深さを僕に教えてくれた。

ちなみに、世間では昔の英車はトラブルが多いと言われているようだけれど、僕のT140Vはトリニティースクールの教えに従って製作しただけあって、一般的な使い方をしているぶんにはまったく壊れなかった。だから普通に現代の日本車感覚で使えた。

もっとも、そういった体験は同時代のノートンやBSAでも出来ただろうし、もし英車以外で同じようなことをしていたら、それはそれで楽しかったと思う。とはいえ、僕にとってはT140Vこそが基盤で、このモデルを抜きにして、以後のオートバイライフは語れないのである。

そんなT140Vは7年間で約6万㎞を走破し、現在はガレージで眠りについている。その理由は、僕が5年前に富士スピードウェイの旧車レースでミッションをロックさせて以来、修理するのが面倒で放置しているからなんだけれど…。

エンジン+ミッションパーツはもう1台分ストックしているので、そう遠くない将来、本来の姿に戻してまた走りたいと思っている。

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text:中村友彦 / Tomohiko Nakamura
1970年京都府生まれ。「バイカーズステーション」の編集部員として修行を積んだ後、フリーランスとしてさまざまな2輪専門誌で活躍。ここ最近の愛車は、もうすぐオドメーターが10万kmに達する'06年型スポーツスター883だが、2010年に購入したトライアンフ・デイトナ675も、ほぼサーキット専用車として活躍中。

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