岡崎五朗のクルマで行きたい VOL.56 奥深いタイヤの溝

日産 エクストレイル

タフなキャラから洗練されたオトナへ

アヘッド 日産 エクストレイル

水洗いできる荷室や撥水加工シート、本格的4WDシステムなど、アウトドアユースを強く意識したSUVとして2000年にデビューした初代エクストレイル。

2007年に登場した2代目もその進化形であり、基本コンセプトに変化はなかった。高級とか上質さではなく、海や山といった遊びのシーンでガンガン使い倒せること。多少傷がついたって気にならない四角くてシンプルでタフな奴。そんなキャラは多くの人に支持された。

それに対し、新型エクストレイルはずいぶんと洗練された。ディテールにはエクストレイルらしさを残している部分があるものの、丸みを帯びたフォルムからは乗用車的なイメージが強く漂っているし、インテリアもかなり上質になった。

それはそれで歓迎すべきことなのだが、エクステリアデザインを含め、エクストレイルらしさが薄れてしまったと感じる人もいるだろう。乗用車テイストの強いSUVであるデュアリスをカタログから落とし、エクストレイルに統合するというモデル戦略は、結果として新型エクストレイルの個性をやや分かりにくくしたように思える。

とはいえ、撥水シートや水洗いできるラゲッジボード、使いやすい荷室など、機能面ではエクストレイルらしさをしっかりと継承。4WDシステムもさらに進化した。

エンジンは2Lのみ。先代にあったディーゼルエンジンが用意されていないのは惜しいところだが、出来のいいCVTは2Lエンジンの能力を巧みに引き出し、一般道はもちろん、高速道路や山岳路でもストレスのない走りをもたらしてくれる。

キビキビ感を抑え、穏やかで扱いやすい性格に仕上げたフットワークにも好感がもてた。ただし、荒れた路面で伝わってくるガツンという角の立ったショックは今後の課題だ。

個性が薄れたのか、それとも一皮むけて大人になったのか。そのあたりが新型エクストレイルに対する評価の分かれ目になりそうだ。

使い倒せる道具としての力強さを継承・進化させながら、安全装備や環境性能も高めた新型エクストレイル。新しい電子制御技術である「アクティブライド・コントロール」「アクティブ・エンジンブレーキ」を採用、より安定性に優れた走りが得られるほか、燃費性能もアップさせた。年内にハイブリッド車モデルも投入される。

車両本体価格:¥2,520,000(20X/4WD・3列車)
全長×全幅×全高(mm):4,640×1,820×1,715
車両重量:1,570kg 定員:7人
エンジン:DOHC筒内直接燃料噴射直列4気筒
総排気量:1,997cc 
最高出力:108kW(147ps)/6,000rpm
最大トルク:207Nm(21.1kgm)/4,400rpm
JC08モード燃費:15.6km/ℓ
駆動方式:4輪駆動

プジョー 2008

SUVテイストが隠し味の都会派クロスオーバー 

アヘッド プジョー 2008

中央がゼロの3ケタ数字の車名でお馴染みのプジョーだが、主力車種から派生したモデルには3008や5008といった4ケタ数字を与えている。2008は、ベースとなったコンパクトカー「208」の全長を200㎜、全高を80㎜アップした、コンパクトカーとステーションワゴンとSUVの要素を併せ持つクロスオーバーモデルだ。

207SWの実質的な後継モデルではあるが、SUVテイストを取り入れてきたのが目新しい部分。前後バンパー下のステンレス製プロテクターやルーフレール、キックアップしたルーフなどにより208とはまるで別物に仕上がっている。それでいて全高は1550㎜。都市部に住むユーザーにとってタワーパーキングに収まるのは嬉しい点だ。

ヴェゼルもハスラーもエクストレイルも、SUVテイストを取り込んだクルマづくりをしている。本格的SUVはトゥーマッチだけどあの雰囲気は好き…と考えるユーザーが増えているからだ。

となると、SUV風味をどんな手法で、どの程度効かせるかがメーカーの腕の見せどころになってくる。2008の場合、低めの全高や、あえて強調していないフェンダー周りの処理、4WDの設定がないことなどを含め、SUV風味を隠し味程度にとどめているのが特徴だ。

ドライブフィールにも同じことが言える。着座位置は低めだし、重心の高さや重さも感じさせない。208のような軽快で気持ちのいい走りを味わえる。

3気筒とは思えないほど静かにスムーズに回る1・2Lエンジンが2ペダル化されたのもニュースだ。シングルクラッチタイプなので低速ギアでのシフトアップ時には減速感が出る。

それをアクセルワークでコントロールして走るのはなかなか楽しいのだが、人によっては違和感を覚えるだろう。2008を購入するなら一度試乗してこの辺りのフィーリングを確かめてみることをおすすめする。

発売一年以内で累計生産台数が早くも10万台を突破。都会派クロスオーバーとして、世界的に支持される人気モデルとなっている。大きなガラスルーフをはめた上級モデル(Cielo・270万円)に対し、ベースモデル(Premium・246万円)の天井には、LEDが内蔵されたラインが施され、夜のドライブを演出。フランスらしいお洒落さが光る。

車両本体価格:¥2,460,000(Premium)
全長×全幅×全高(mm):4,160×1,740×1,550
車両重量:1,140kg
定員:5人
エンジン:直列3気筒DOHC  
総排気量:1,199cc
最高出力:60kW(82ps)/5,750rpm
最大トルク:118Nm(12.0kgm)/2,750rpm
JC08モード燃費:18.5km/ℓ 
駆動方式:前輪駆動

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text:岡崎五朗/Goro Okazaki
1966年生まれ。モータージャーナリスト。青山学院大学理工学部に在学中から執筆活動を開始し、数多くの雑誌やウェブサイトなどで活躍。テレビ神奈川の自動車情報番組『クルマでいこう!』に出演中。

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