岡崎五朗のクルマで行きたい VOL.56 奥深いタイヤの溝

ホンダ ヴェゼル

SUVの力強さとクーペの美しさの融合

アヘッド ホンダ ヴェゼル

ヴェゼルのデザインテーマは「SUVの力強さとクーペの美しさの融合」だという。なるほど外観をよくよく眺めてみると、そこここにこだわりの造形が見つかる。

なかでも印象的なのは、フロントフードとフロントフェンダーをつなぐ大胆な造形と、後方に向け跳ね上がるダイナミックなキャラクターラインだ。そうそう、サッシュに組み込んだ隠しリアドアハンドルも、クーペ的な雰囲気を生み出している要因のひとつである。

SUVの力強さを表現するのは大径タイヤと、それを包み込むワイルドなフェンダーだが、フェンダーがボディ同色仕上げになる最上級グレードでは、せっかくのSUVテイストが薄れてしまうのが残念なところ。

残念さに輪をかけるのが、とても素敵に仕上がったブラウン内装が最上級グレードでしか選択できない点だ。生産効率、販売効率の追求も大切だが、できることなら選択肢をもっと増やして欲しいところである。

パワートレーンは1.5L+CVTと、1.5Lハイブリッド+7速DCTの2種類。販売の約8割を占めるハイブリッドの走りは上々だ。スポーツモードを選択すればキビキビと走るし、それ以外のモードではリアクティブフォースペダルが、違和感を感じさせない範囲でペダルの重さをコントロールしスムーズで燃費のいい走りをサポートしてくれる。

気になったのは乗り心地の固さ。開発担当車は「ホンダらしいスポーティーな走りを重視した結果」と説明してくれたが、ホンダらしさ=スポーティー。スポーティー=固い足。よって固い足=ホンダらしさという3段論法はマツダが10年前にやっていたのと同じこと。

足をしなやかに動かして接地性を確保するのがトレンドとなっているいま、考え方としてはいささか古さを感じてしまう。デザイン、パッケージング、パワートレーンにはキラリと光るところがあるだけに、マイナーチェンジに向け再チューニングを望みたい。

「フィット」と共通のプラットフォームをベースに持つコンパクトSUV。上半身は艶のあるクーペ・デザイン、下半身はSUVならではの力強さを表現した。魅力はデザインだけでなく、走りのパワーやシートアレンジの充実など実用性も兼ね備えたところ。Xグレードでは、ガソリン車とハイブリッド車の価格差は34万円(FF)となっている。

車両本体価格:¥2,350,000(HYBRID X/FF)
全長×全幅×全高(mm):4,295×1,770×1,605
車両重量:1,280kg 定員:5人 
エンジン:水冷直列4気筒横置 
総排気量:1,496cc
【エンジン】
最高出力:97kW(132ps)/6,600rpm
最大トルク:156Nm(15.9kgm)/4,600rpm
【モーター】
最高出力:22kW(29.5ps)/1,313-2,000rpm
最大トルク:160Nm(16.3kgm)/0-1,313rpm
JC08モード燃費:26.0km/ℓ 
駆動方式:前輪駆動

スズキ ハスラー

エモーションを刺激する軽自動車の新たなモノサシ

アヘッド スズキ ハスラー

東京モーターショーでひときわ多くの注目を集めていたハスラーは、ワゴンRの主要部品を使いつつ、軽自動車にはなかった「クロスオーバーSUV」という世界観を表現することに成功したスズキの意欲作だ。

メーカーの大黒柱として誰からも嫌われないことを重視せざるを得ないワゴンRとは違い、ルーフを白く塗った2トーンカラーやユニークな形状のヘッドランプ、SUV風の高い車高など、強い個性をもっている。

もちろん、ひとつのプラットフォームから様々な派生モデルを作るのは現代の自動車産業の常識であり、それ自体に新鮮味はない。ハスラーがすごいのは個性派でありながらニッチで終わっていないことだ。発売1ヵ月での受注台数は月販目標台数の5倍にあたる2万5000台! に達したという。

実に興味深い。ハスラーのヒットは、軽自動車選びの価値観が変わりつつあることを示しているのかもしれない。

軽自動車は車高に応じて「セダン」「トールワゴン」「スーパートールワゴン」の3種類に分類できる。同じジャンルならどのメーカーのどの車種を選ぼうがキャラクターは似たり寄ったりというのが現状。違いが少ししかないだけに、ユーザーは価格や燃費のわずかな違いで選ぶことになりがちだ。

それに対し、ハスラーは異なる水平線上にいる。あえて分類をすればトールワゴンであり、室内空間も荷室空間もワゴンRとほぼ同じだ。が、ハスラーを選ぶ理由は広さでも燃費でも価格でもない。「可愛い」とか「カッコいい」とか「このクルマを買ったら毎日が楽しくなりそう」といったエモーションなのである。

広さ、価格、燃費以外にも軽自動車の魅力を測るモノサシがあることを提示したハスラー。このルネサンスは、やがてコンパクトカーにも波及していくだろう。数年後の日本の道は、いまよりずっと楽しげになっているのではないだろうか。

ポップなデザインが印象的なハスラー。オレンジの車体色では、インパネの樹脂パネルもオレンジ、ピンクやブルーのボディでは白色を採用している。車体色は、2トーン仕様とモノトーンを合わせ全11色から選べ、走りに関しても5速マニュアル、ターボ、四駆など、充実した選択肢を取り揃えている。

車両本体価格:¥1,211,700(G/2WD・CVT)
全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,665
車両重量:790kg 定員:4人 
エンジン:水冷4サイクル直列3気筒
総排気量:658cc 
最高出力:38kW(52ps)/6,000rpm
最大トルク:63Nm(6.4kgm)/4,000rpm
JC08モード燃費:29.2km/ℓ 
駆動方式:前輪駆動

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