物理の法則を用いた解説書 〜『NEWTON BRAKE』

アヘッド 本『NEWTON BRAKE』

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自動運転の実用化がもうすぐそこ。そんなニュースを目にするようになった。それでもやはり運転の基本は人だ、と思う。クルマを正しく走らせ、正しく止められるドライバーのその先に自動運転はある。少なくとも今はまだ。

[aheadアーカイブス vol.156 2015年11月号]
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物理の法則を用いた解説書 〜『NEWTON BRAKE』

物理の法則を用いた解説書 〜『NEWTON BRAKE』

『NEWTON BRAKE 踏力一定ブレーキがクルマ社会を変える。』
著者:國政久郎(ニュートンブレーキ出版)価格:¥1,500(+税)


そんなときに出版されたのがこの『NEWTON BRAKE(ニュートンブレーキ)』である。一見、おしゃれな料理本かライフスタイル写真集かと見間違える体裁だが、中身はきわめて真面目で硬派。

著者の國政久郎氏は自ら仕立てたクルマで2年連続オールスターダートトライアル全日本チャンピオンとなる実績を持つドライバーであり、レースエンジニアとしてのキャリアも有するクルマのプロ。現在はサスペンスチューニングのショップ代表を務めている。

その國政氏が提唱するのが“ニュートンブレーキ”だ。速さ、距離、重力を感じられる人の感覚と、物理法則に基づいた減速動作を行うことでしっかりとクルマを止める。この、ドライバーとクルマが一体となって行うブレーキングを國政氏はニュートンに因んで、こう名づけた。

特に、一度ブレーキをかけ始めたら、減速終了までブレーキを踏む力を一定のまま持続させて止める技術、『踏力一定ブレーキ』を重視している。

これができるということは、その時の自車のスピードを把握し、どこからどのくらいの強さでブレーキをかけ始めればよいかが分かっているということであり、ブレーキをかけ始めた段階で停止位置が予測できているということだからだ。まさに安全運転の基礎と言っていいだろう。

もちろん踏力一定ブレーキの先には、路面やタイヤグリップやGにまで話は及び、どのようなレベルのドライバーが読んでも退屈することはない。

「車間距離はエアバックである」なんていう考え方には「なるほどー」と感心するし、「コーナリングテクニックは存在しない」なんて言われると、「ほんとに?」と思わず引き込まれるし、しかし何より、クルマの運転は物理法則から逃れられないのだということを改めて強く認識させられる。
 
物理法則が支配する環境の中で機械を操作するのがクルマの運転だとすれば、その法則を理解し、意識して実践することで、より正確な運転感覚が養われる。そして運転が上手になれば、ますます運転は楽しくなるはずだ。

絵本のような体裁にしたのは、より多くの人に読んでほしいという國政氏の思いによるものだろう。難しい話は苦手という女性も、一度、手にとってみてはどうだろう。
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