イバラの道を選んだマツダ MAZDAの一貫したクルマ創り

イバラの道を選んだマツダ MAZDAの一貫したクルマ創り

アヘッド マツダ

そのバリューチェーンを最適化する「仕組み」を創りだすことが、安定したビジネスにとっての最大のテーマとなる。逆に言うと、仕組みさえできてしまえばビジネスは回っていくということ。そこには、豊富に揃ったデータやノウハウ、膨大な数に及ぶ社内基準など、失敗作を防ぐクルマ作りの仕組みも含まれる。

これをもっとも上手にやっているのがトヨタだ。国内市場だけを見ても、5000ディーラーに多様な車種を供給し、合計で年間150万台を販売することで、安定した利益を生みだしている。グローバル生産台数1000万台を背景にしたコストメリットを含め、トヨタのビジネス基盤は盤石である。

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そんなビジネスモデルとは真逆を行くのが最近のマツダだ。国内ディーラー数は1000店で販売台数はおよそ22万台。1店舗あたりの販売台数はトヨタの300台/年に対し220台/年でしかない。さらにスケールメリット面でもグローバル生産台数は140万台と不利な状況にある。

にもかかわらず、CX-5以降のマツダが順調なビジネスを展開しているのはご存じの通りだ。この背景には、2007年からマツダが推し進めてきた「モノ造り革新」をはじめとする様々な要素があるものの、煎じ詰めれば、優れたデザインや走行性能への強いこだわり、ディーゼルエンジンのいち早い投入といった点が評価された結果である。

販売チャネル拡大やその後の安売り路線など、トヨタの後追いをした結果、マツダはかつて地獄をみた。その反省から繰り出された「プロダクト命」という戦略が、マツダの好調を支えている。

しかしこのビジネスモデルはマツダの強みである一方、リスクを孕んだアキレス腱でもある。トヨタのようなメーカーは、さほど魅力的なクルマを作らなくても、それを売り、利益を生み出す体制がしっかりと出来上がっている。

ところがマツダはあくまで商品力勝負。知恵を絞り手を尽くして、見て美しく、走らせて楽しく、所有することでワクワクできるクルマを作り続けることがビジネス成立の前提だからだ。送り出すクルマが常にファンから熱狂的な支持を受け、多少値段が高くても、あるいは多少ディーラーが遠くても「でも好きだから」と選んでもらえなくては、マツダは好調を維持できない。

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70点とか80点ではなく、常に100点を目指し、独創的なエンジニアリングや見惚れるようなデザインをアウトプットし続けることが、新生マツダの宿命なのだ。

これがどんなに難しいことであるかをいちばんよくわかっているのは他ならぬマツダ自身だろう。けれど彼らはあえて茨の道を選らんだ。他社の人気モデルにちょっとだけ新しさを加えたような既視感のあるクルマをつくるのではなく、クルマ好き、そして何より自分たちが欲しいと思える独創的で魅力的なクルマを一球入魂で創りあげるのが自分たちの使命だと彼らは本気で考えているのだ。

いまのところ、マツダはユーザーの期待にしっかりと応えている。最新モデルのロードスターはマツダらしさを集約したモデルに仕上がっているし、発売済みのモデルにも積極的に改良を施し「いいクルマ度」を着実に引き上げている。この流れが続けば固定ファンが付き、やがてファン層も拡がっていくに違いない。

そのためにマツダに求められているのは絶対に手を緩めないこと。緩めた瞬間、マツダへの期待は失望に変わるだろう。逆に、知恵と体力を振り絞って険しい茨の道を突き進んでいけば、規模は小さいけれど常に一目置かれる独自の存在として、ユーザーと相思相愛の関係を築ける素晴らしいブランドへとさらなる飛躍を遂げるはずだ。

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撮影協力:関東マツダ 目黒碑文谷店
住所:東京都目黒区碑文谷5-14-22
電話:03(3714)0101
営業時間:
(ショールーム)10:00〜19:00 
(整備受付)10:00〜17:00
定休日:毎週火曜日(不定水曜日定休あり)

マツダの魅力をより伝えるために新たに展開を始めた新しいコンセプトの新世代店舗のひとつ。国内市場におけるマツダブランドの発信・体験拠点として、マツダのデザイン本部が店舗デザインを監修した。遠方から訪ねてくるお客様も増えているという。

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text:岡崎五朗/Goro Okazaki
1966年生まれ。モータージャーナリスト。青山学院大学理工学部に在学中から執筆活動を開始し、数多くの雑誌やウェブサイトなどで活躍。テレビ神奈川の自動車情報番組『クルマでいこう!』に出演中。

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