オンナにとってクルマとは Vol.59 オンナたちの7時間

オンナにとってクルマとは

Vol.59 オンナたちの7時間

私は東日本大震災のあった年を除いて、初年度からこのJoy耐に毎年来ている。もう、誕生日やクリスマスのように、なくてはならないイベントのひとつだ。ドライバーのほとんどは男性だけど、ピットにはたくさんの女性の姿がある。

私も最初の数年は、チームのマネージャーとして参加していたし、ドライバーの奥さんや彼女として来る人、露出度高めのコスチュームで華を添えるレースクイーン、中にはチーム監督としてクルーたちを指揮する女性もいる。

レースが始まる前の女性たちの大きな仕事は、ピットのテーブルやイスの配置を決めてセッティングしたり、ドリンクや軽食を用意したりと、快適なホスピタリティを整えること。味気のない折り畳みテーブルに、かわいらしいテーブルクロスをかけてみたり、コップなどをカラフルに揃えたり、センスのいい女性がいるチームのピットはひと味ちがう。

そして、ドライバーたちの身だしなみを守るのも女性たちの仕事だ。私もピットについてまずやったのは、協賛いただいたヨコハマタイヤのワッペンをせっせとレーシングスーツに縫い付けること。ドライバーが走行を終えて戻ってくると、汗でぐっしょりしたフェイスマスクやグローブに消臭スプレーをかけたり、干して乾かしてあげたりする。

レース中になると、1時間以上も走ってフラフラになったドライバーにまずドリンクを手渡し、氷水でしぼったタオルを首筋にあてがったり、ウチワであおいであげたりと、女性たちは大忙し。

長椅子に横になったドライバーに、マッサージをしてあげている姿も目にした。そんな合間に順位表示をチラリと見て一喜一憂し、お昼になればみんながちゃんと食べたか目を配り、ゴミが散らかっていれば片付ける。もしかしたら女性たちは、ドライバーよりもよっぽど神経をすり減らしているかもしれない。

こうして夕方5時にチェッカーフラッグが振られ、ゴールラインを次々と通過するマシンたちを見ていると、いつも胸がいっぱいになってくる。どんな結果でも、みんなが頑張って、同じ時間を共にして、無事に走り切ったことが何より嬉しい。でもその反面、終わってしまった寂しさも込み上げてくる。

ステアリングを握らないのに、誰よりもレースの醍醐味を感じている。それが、女たちの7時間。女にしか味わえない7時間だ。

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まるも亜希子/Akiko Marumo
エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集者を経て、カーライフジャーナリストとして独立。ファミリーや女性に対するクルマの魅力解説には定評があり、雑誌やWeb、トークショーなど幅広い分野で活躍中。国際ラリーや国内耐久レースなどモータースポーツにも参戦している。

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