小林ゆきの一寸法話 vol.5 ロードプライシング

vol.5 ロードプライシング

アヘッド 小林ゆきの一寸法話 

伊豆スカイラインだけではない。「危険」「暴走禁止」などの名目で、二輪車だけを通行止めにしている道路が日本各所にある。わたし自身、オートバイで日本一周をした大学生のとき、初めて訪れた観光道路が二輪車通行止めで走れず、ガッカリしたことがいく度もあった。近くの警察署に通行許可をお願いしに行っても、けんもほろろに断られるのが常だった。

伊豆スカイラインを走るライダーの多くは観光目的だろう。しかし中にはトランスポーターにバイクを積み込んでくるなどして暴走行為を繰り返す人たちもいる。

問題になっているライダーたちはスピードが速いだけではなく、追い越し禁止のイエローラインや、ブラインドコーナーで無理やり反対車線にはみ出して前車を追い越したり。そうしたライダーの数がごく少数だったとしても、目立つ運転は多くのドライバーに悪印象を与えてしまう。

だからと言って、二輪車を一律通行止めにすれば問題は解決するのだろうか。気持ちよくワインディングを走りたいライダーは、新たな〝遊び場〟を求めて場所を移動するにすぎないだろう。

伊豆スカイラインは、世界に誇れる美しい景観の箱根・伊豆エリアを走る路線の一つで観光道路として有名だ。それだけではない。小田原や箱根、熱海エリアから東伊豆方面とのバイパスの役割も果たしている。

平行する国道135号線は片側一車線の海沿いの狭い道で、週末や観光シーズンともなれば大渋滞は日常茶飯事であり、修善寺や伊東方面への抜け道としても伊豆スカイラインが生活道路として果たす役割は大きい。

道路は公共の福祉によって担保されるべきである、とわたしは考える。そういう意味で、通行止め規制に変わる新たな施策として「ロードプライシング」による交通量のコントロールを提言したい。

ロードプライシングとは、通行料金に差を付けることで交通需要の調整を行うことである。世界各地で実施されており、その効果は実証されている。本来、都心の交通渋滞をコントロールするための方法だが、事故の多い観光道路にあっては、原因となる車種の料金をむしろ割高にすることで、本当に走ってみたいと考える車種のみ受け入れることが可能になるのではないだろうか。

現在の伊豆スカイライン全線の料金は二輪車が570円で、軽・普通車の980円に比べても割安な設定だ。これを、例えば大型バスや大型貨物車の3970円と同等にまで引き上げることにより、心理的な壁を作るのだ。本当に走ってみたいライダーなら、出せない金額ではないだろう。

生活道路として必要としている地元の人びとに対しては地元ナンバー、例えば静岡県内のナンバーを付けていれば通常料金とする方法をとればよい。

料金所ゲートがある有料道路だからこそできるロードプライシングによる通行規制。善良なツーリングライダーを観光産業に導くためにも、安心してクルマとバイクが共存するためにも、生活道路やバイパスとして使うためにも、伊豆スカイラインの暴走ライダー問題を解決する新たな手段としてこの方法を提言したい。

【交通規制基準】
第1-6 二輪の自動車・原動機付自転車通行止め
規制目的 二輪の自動車及び原動機付自転車の通行を禁止することにより、交通事故及び道路の交通に起因する障害等を防止し、交通の安全と円滑を図る。
根拠等 法第8条第1項 標識 307
規制実施基準
対象道路
(中略)
3 カーブ又は急な坂が連続しており、二輪の自動車又は原付の通行により、交通事故が発生するおそれのある道路
4 暴走行為等による交通の危険防止及び地域の静穏を確保する必要がある道路
留意事項
1 原則として付近にう回路があることを前提とし、う回路が極端に長くならないように配意すること。
(中略)
4 暴走行為等による交通の危険防止のために実施する場合は、取締実施計画との整合性を図り、原則として警察署長権限により必要最小限の実施期間とすること。

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text:小林ゆき/Yuki Kobayashi
オートバイ雑誌の編集者を経て1998年に独立。 現在はフリーランスライター、ライディングスクール講師など幅広く活躍するほか、世界最古の公道オートバイレース・マン島TTレースへは 1996年から通い続け、文化人類学の研究テーマにもするなどライフワークとして取り組んでいる。

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