岡崎五朗のクルマで行きたい vol.34 不可解な数字

vol .34 不可解な数字

にもかかわらず、警察庁が主催する「規制速度決定の在り方に関する調査研究検討委員会」が取りまとめた「100㎞/h以上で走ると事故率が増加する」という報告書を根拠に、設計速度を下回る100㎞/hに落ち着いてしまったのだ。

これはいったいどうしたものだろう?

100㎞/h制限区間はいまも120㎞/h程度で流れているのが実態。120㎞/h制限化は、実態とかけ離れた規制を是正し、法律を実態に合わせるだけの話である。ひょっとして120㎞/h制限にしたらみんなが140㎞/hで走るようになるとでも思っているのだろうか?

だがそんな「違法行為」を前提に規制速度を決めるのは感心できない。まずはみんなが納得し、無理なく守れるルールを決め、それをきっちり守るのが道理というものである。

それに、100㎞/hを超えると事故が増えるという説も怪しいもの。速度無制限のアウトバーンをもつドイツでも、交通事故死者数は年々減ってきている。ESC(横滑り防止装置)の義務化に代表されるクルマの安全性向上に加え、面白いなと思ったのが17歳から同伴者付きでの運転を認めたことだ。

それによる訓練効果によって、18歳を迎え単独運転が許されるようになったドライバーの事故率は大幅に低下したという。

スピードを絶対悪と捉え、一方的に抑え込もうとする日本。スピードをいかに克服するかに知恵を絞るドイツ。この違いはとてつもなく大きい。

そもそも日本での死亡事故発生状況を分析すれば、歩行中の高齢者や子供を守るための施策ー住宅街の制限速度低下や取り締まり強化ーを優先すべきであり、それをやらずに新東名高速を100㎞/h規制にするのはまさに頭隠して尻隠さず。ほとんど意味のないことだと思うのである。

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