岡崎五朗のクルマで行きたい vol.35 誰のために!?

vol.35 誰のために!?

「クルマ離れと言われているが、その責任はユーザーではなく魅力的な商品を提供できていないわれわれメーカーにある」。

就任以来、豊田社長は常にストレートで分かりやすいメッセージを発信してきたが、それに続く名言がまたもや飛び出したわけだ。 何もおべんちゃらを言ってるわけじゃない。そもそも社員でもない僕が「さすが社長!」とか言って持ち上げたところで何のメリットもない。

ただ純粋に、章男社長の言葉に共感を覚えただけである。

とくに注目したいのが「誰のためにどんなクルマを造るのか」という部分だ。自動車産業は巨大で複雑な産業であり、1台のクルマを送りだすには最低でも3ケタ億円かかる。それだけにマーケットリサーチという名のリスク回避テクニックが多用される。

ビジネスはギャンブルではないわけで、リスク回避をするのは当然だ。しかし問題はマーケットリサーチが、売れなかったときの責任逃れの方便として使われてしまっている現状にある。

われわれユーザーはひとり一人違う価値観をもつ個人の集合だ。しかしマーケットリサーチにおいては「消費者」という顔のない無個性集団として扱われ、全体の傾向を示す数値だけが独り歩きする。

おいおい、燃費がよくて広いだけの、誰にも嫌われない無個性でつまらないクルマが増殖することになる。そしてそのクルマがたとえ失敗したとしても、「リサーチ上は売れるはずだった」となり、失敗の原因を追及することなくうやむやになってしまう。

そうした状況を憂いたのが章男社長の冒頭のコメントである。従来の反省を踏まえ、今後トヨタがどんなクルマを出してくるのか。お手並み拝見といこう。

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