And I Love Car

アヘッド And I Love Car

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-だけど好きなんだ いいだろ こんなにも愛しているよ- 奥田民生の歌うこんなフレーズとともに流れるCM、一度は目にしたことがあるのではないだろうか。

text:ahead編集長・若林葉子 [aheadアーカイブス vol.110 2012年1月号]
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And I Love Car

And I Love Car

よくよく見てみれば、これはソニー損保の自動車保険のCM。自社保険に入ることのメリットをもっと直接的にアピールする損保のCMが多い中、あえてなぜこのCMなのだろう。

ソニー損保がこの「クルマと人と」のCMを始めたのは、’09年6月からで今年で3年目。30秒と90秒のバージョンがあり、クルマとともに過ごす様々な人々のストーリーが展開されている。

「あの頃はエコカー減税が盛んに叫ばれていて、自動車保険だけでなくクルマメーカーのCMでさえ全面的に低料金を打ち出していました。でもクルマって本当はもっといろんな価値がある。そのことを伝えたかったんです」。制作に携わるソニー損保ダイレクトマーケティング部の宮下敬志さんはCMをスタートさせた経緯をこう語ってくれた。

さらに奥田民生の「And I Love Car」を選んだ理由を尋ねた。「マーケティングの担当役員が以前からこの曲を聞いていて、歌詞やメロディーの表す世界観に共感し、いつかこの歌を使ってCMを創りたいと思っていたらしいんです」。

クルマにはいろんな価値がある。この歌には、理屈を超えて人がクルマを愛する気持ちが綴られている。

1年目の’09年は、クルマの中でこそ、泣いたり笑ったり、人の感情が豊かになることを表現した。’10年は若者のクルマ離れをテーマに20代の主人公が登場。思い立った時にすぐ行動したり、車内空間だからこそできる会話があるなど、“クルマだからできること”を表現。’11年は3年間の集大成として、人とクルマの様々な関係性を映像化した。

特に震災のあった昨年。どんなことがあろうとも人の暮らしは続いていく。過去も現在も、人の暮らしの中にクルマはいつも共にあって、人の気持ちを乗せて走り、人の生活を支えている。そんな当たり前の暮らしを、目立たずそっと、自分たちはサポートしていきたい。このCMはソニー損保のそんな静かなメッセージでもある。

「今は違うけど、次に更新するならソニー損保にしようかな」「今はクルマを持ってないけど、買ったらソニー損保に入ろうかな」。ツイッターなどでそんな反響があることも、「このCMなら人にも勧められる」と社員からそんな声があがることも素直にうなずける。

企業が利益を追求するのは当たり前。でもどんな仕事にもスピリットが大切なんだ。そんなことさえ教えてくれる30秒である。


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text:若林葉子/Yoko Wakabayashi
1971年大阪生まれ。Car&Motorcycle誌編集長。
OL、フリーランスライター・エディターを経て、2005年よりahead編集部に在籍。2017年1月より現職。2009年からモンゴルラリーに参戦、ナビとして4度、ドライバーとして2度出場し全て完走。2015年のダカールラリーではHINO TEAM SUGAWARA1号車のナビゲーターも務めた。
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