ahead INTERVIEW FLEX社長 藤崎孝行氏

FLEX社長 藤崎孝行氏

アヘッド FLEX

藤崎孝行/Takayuki Fujisaki
FLEX株式会社 代表取締役社長 1984年生まれ。早稲田大学在学中よりフレックスの経営に参画。専務取締役在任中は、企画・広報・IT事業を統括。新店舗のブランディングやCIも手がけた。2012年1月より同社の代表取締役に就任。以来、着実に業績を伸ばしている。


大手の自動車メーカーにはない「瞬発力」と、既存の中古車店にはない「オリジナリティ」を武器に、フレックスブランドをしっかり構築していきたい。そう語っていたのは2012年、藤崎〝新〟社長が誕生して間もない頃だった。

車種を絞り、専門店形式で中古車販売店を展開するのがフレックスのスタイルだが、その主力車種であるランドクルーザーやハイエースは、一見するとマニアックだったり間口の狭い印象が強いかもしれない。

だが、一度手にしてみると幅広いユーザーのライフスタイルをカバーすることができる、多彩な魅力を持ったクルマであり、それをもっと活かすべきだと藤崎社長は分析していた。

あれから約4年。フレックスの店舗数は当時の39店舗から約50店舗に拡大。一流デザイナーを起用したオリジナルのカスタムを、中古車業界初のカタログモデルとしてリリースしたり、俳優の哀川 翔氏らとタッグを組んだ過酷なラリーへのチャレンジなど、様々な新企画を打ち出し、おおいに攻めてきたように映る。そんな今、そしてこれからのフレックスに、藤崎社長はどんな想いを持っているのだろうか。

「まだあまり明確でなかったビジョンが、徐々に固まってきたというのがこの4年間だったと思います。メイン事業である販売店の全国展開では、ひとまず出し尽くした感があり、今は出店を急ぐよりは人材やサービスを充足させていく段階に入っていますね。

その上で、この先の大きな目標として2つの可能性を模索しています。ひとつは、海外展開です。いろいろな国に視察に行きましたが、弊社のように自動車販売店とカスタムショップの中間というスタイルはあまりなく、あったとしても多店舗展開はしていないので、これはやる価値があるだろうと。

例えばアメリカでジープ専門店、タイでハイエース専門店、ドバイでランクル専門店ということも可能だと考えています」

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ただ、今やるべきは国内でのしっかりとした仕組みづくりなのだとも話す。土台を固めておかないと、海外に行っても失敗する、と内を見る目は厳しい。

その仕組みづくりの根幹となるものとして、まず作成したのが『フィロソフィーブック』だ。そこには、フレックスの一員として働くすべての人に共有したい、企業理念やマニュアルが丁寧に綴られている。

「もともと創業者である叔父が残したものがあり、それをもっと読みやすくしました。ポケットに入るくらいの小さなサイズにして、毎週1ページずつみんなで読んでいるんです。不文律だった経営理念を文書化することで、海外展開の時にも翻訳し、それをベースにしていければと思っています」

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店舗が増え、スタッフが増えた今こそ、〝チーム・フレックス〟としての団結力が問われる。年に5週間は現場に出て自ら商品の洗車をしたり、全国の店舗をくまなく訪問し、スタッフたちと酒を酌み交わすという藤崎社長だが、それでも伝えきれないものをフィロソフィーブックが示し、全社一丸となるべく導いてくれるのではないだろうか。

「もうひとつ大きな目標としているのが、顧客層を広げることです。というのも、車種を絞った専門店形式は弊社の強みですが、弱みでもある。万が一、ランクルやハイエースの人気が凋落するようなことがあれば、弊社も危うくなりうるというリスクには、手を打っておく必要があるのです。

ヒントは、2年前にスタートしたフレックスカスタム事業にありました。日産パオやフィガロをデザインした坂井直樹さんと一緒に、トップデザイナーを起用してカスタムカーをパッケージ販売していく企画ですが、その反応がとても良かった。とくに、もともとランクルを知らないような、いわゆるクルマ無関心層の人たちからカッコイイと言われることが多いのです。

また、彼らに『自分のクルマを自分らしく好きにカスタムすることに興味ある?』とアンケートをしたら、ほぼ100%がイエスと回答しました。これは言ってみれば、〝クルマのカスタム〟ではなく、〝クルマのリノベーション〟なんです」

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サーフィンやサイクリングといった趣味を持ち、都会から少し離れた土地で家庭菜園などをしながら、質的に豊かな暮らしをしている人たち。藤崎社長はそうした「生活重視層」の人たちに、クルマだけではなくライフスタイルを売る会社になるのが目標だと話す。

「現在、店舗ごとにオフロード走行会やバーベキューなどのイベントをやっていますが、今年初めて、全店舗のお客様がひとつの場所に集う、お客様感謝祭のようなイベントを企画しています。来年、弊社が50周年を迎えるので、それに向けて大きくしていければと。クルマを使って楽しめるような新しい試みも今後、もっとリリースしていくつもりです」

販売に関しては、ウェブを利用した販売形式をこの秋頃には取り入れ、新しい顧客層にアピールしていくという。これも新たな試みである。クルマは必要ない、興味がない、と言っている人たちを引き込み、こんなクルマが欲しかった、クルマがあって良かった、と言わせたい。

藤崎社長の言葉は、フレックスにしかできないやり方で、クルマを楽しむ人たちが増えていく未来を予感させてくれるものだった。

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text:まるも亜希子/Akiko Marumo
エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集者を経て、カーライフジャーナリストとして独立。ファミリーや女性に対するクルマの魅力解説には定評があり、雑誌やWeb、トークショーなど幅広い分野で活躍中。国際ラリーや国内耐久レースなどモータースポーツにも参戦している。

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