岡崎五朗のクルマでいきたい vol.36 意思表示が求められている

vol.36 意思表示が求められている

健康保険証や意思表示カードの発行など、臓器提供の意思確認については従来から様々な取り組みがされてきたが、認知度は思うように進んでいなかった。そこで、国民の1・7人に1人が保有する運転免許証に意思表示欄を追加することで、より多くの人に臓器提供の意志表示の機会を提供するのが狙いだ。

意志確認欄には3つの項目があり、どれかに丸印を付けることによって臓器提供の意思表示となる。1は心停止および脳死。2は心停止のみ。3はいずれの場合も拒否、である。また、記入は個人の自由であり、強制ではない。

では、どのぐらいの人が臓器提供欄に記入しているのだろうか。日本臓器移植ネットワークの調査によると、記入欄のある運転免許証を所持している人のうち、72・7%の人が未記入なのだという。

もちろん、未記入だからといって責められる理由はない。臓器提供は死生観にもまつわる問題であり、そう簡単に答えが出るものではないからだ。ただ、僕としては、遺された家族のためにも記入はしておくべきだと考えている。

2010年7月に施行された改正臓器移植法によって、本人の意思表示が不明な場合でも家族の承諾があれば臓器提供ができるようになった。つまり、自分がきちんと意思表示をしておかなければ、提供するかしないかは家族が決めなくてはならないのである。悲しみのなかにいる遺族にとって、これはちょっと酷だろう。1〜3のどれを選んだとしても、自分の意志を明確に示しておけば、それは遺族の負担を減らすことにつながる。

まだ意思確認欄に記入していない人は、これをきっかけに家族とこの問題についてじっくりと話し合ってみてはどうだろうか。家族に自分自身の臓器移植の意志を伝えている人は28・6%、家族の臓器意志提供意志を知っている人は21・4%(日本臓器移植ネットワーク調べ)。いまわれわれにもっとも不足しているのは、家族間のコミュニケーションなのかもしれない。

レクサス RX 「いいクルマを作る」という意思が宿っている

アヘッド レクサス RX 「いいクルマを作る」という意思が宿っている

▶︎エクステリアに個性的なスピンドルグリルやL字型LEDクリアランスランプ・テールランプなどを採用。ボディカラーは新設定を含めて全10色としている。インテリアではシートにアクセントスイッチを追加すると同時にシートカラーに5色を用意。
●車両本体価格:¥5,590,000(2WD)/全長×全幅×全高(mm):4,770×1,885×1,690/車両重量:2,040kg/乗車定員:5人/エンジン:V型6気筒DOHC/総排気量:3,456cc/最高出力:183kW(249ps)/6,000rpm /最大トルク:317Nm(32.3kgm)/4,800rpm/モーター:交流同期電動機/最高出力:123kW(167ps)


レクサスRXが大がかりなマイナーチェンジを受けた。シート柄の小変更のような、日本車によくある名ばかりのマイナーチェンジではなく、中身にまでメスを入れた気合いの入ったマイナーチェンジである。

注目したいのはFスポーツという新グレードの設定。ネーミングからもわかるようにスポーツ性を高めたグレードなのだが、ミソは足をガチガチに固めたヤンチャなスポーツではないことだ。「しなやかなのにしっかり」という、実に気持ちのいい走り味に仕上がっているのには正直驚いた。

これには高められたボディ剛性が効いている。生産性やコストとの兼ね合いで制限されていたスポット溶接箇所を増やすことで、新しいRXはボディ剛性を高めてきたのだ。このあたりは、豊田章男社長の「いいクルマを作る!」という意志がトヨタ内にかなり浸透してきたことを示している。加えて、Fスポーツは補強パーツを取り付けることでボディ剛性をさらに向上。そうして出来上がった強固な土台=ボディに精度の高いダンパーを採用するなどした結果、従来モデルのオーナーが乗ったらきっと悔しがるであろう上質でスポーティーな走り味を実現した。

力強さと低燃費を両立したハイブリッドを含め、ハードウェアの戦闘力は文句なしのレベルまで高まった。あとは、新型GSに続いて採用したスピンドルグリルがどう受け入れられるかだろう。パルテノン神殿のような豪華絢爛なグリルが許されるのはロールスロイスだからこそ。いまでこそ大口を開けているアウディも、ブランドイメージが上がるまではずっと地味なグリルで我慢していた。そういう意味で、強烈な印象を放つレクサスのスピンドルグリルが受け入れられるかどうかは、それ自体のデザインもさることながら、立ち上げから23年というもっとも若いプレミアムブランドであるレクサスが、マーケットでどう認識されているかにかかっている。

BMW 640iグランクーペ 艶やかな 4ドアクーペ

アヘッド BMW 640iグランクーペ 艶やかな 4ドアクーペ

▶︎BMWの歴史の中で初めての4ドア・クーペ。低い車高やフラットにリヤに流れるルーフラインなどにより美しいシルエットを持つ。エレガントさとダイナミックさを組み合わせたインテリアにより快適な室内空間を演出。高効率エンジンと8速スポーツATによりスポーティな走りを実現。
●車両本体価格:未定(640i グランクーペ)/全長×全幅×全高(mm):5,007×1,894×1,392/車両総重量:1,825kg/乗車定員:5人/エンジン:直列6気筒 BMWツインパワー・ターボ・テクノロジー/総排気量:2,979cc/最高出力:235kW(320ps)/5,800-6,000rpm/最大トルク:450Nm/1,300-4,500rpm/駆動方式:後輪駆動


スタイリッシュなクーペとエレガントなカブリオレをラインアップするBMW6シリーズに新しい選択肢が加わった。グランクーペと名付けられたこの最新モデルのポイントは、4枚のドアと、大人4人が快適に過ごせる室内スペース、ゴルフバッグが3個入る大きなトランクスペースをもっていることだ。


という説明をするとなんとも色気のない話に聞こえてしまうのだが、すべての前提となるのはデザインである。初代も、2代目も、そして現行モデルも、6シリーズは常に最高のデザイン性を追究してきた。そんな6シリーズの伝統を色濃く反映しながら、セダン的な利便性を実現したのがグランクーペである。

シチリア島の乾いた空気と強い日差しの元で見たグランクーペは、事前に見た写真よりもずっと低く、スポーティーだった。とくに美しい弧を描くルーフラインと、リアフェンダー周りの豊かな造形は圧巻で、5シリーズや7シリーズのセダンとは明らかに異なる文法に基づいてデザインされたことがストレートに伝わってきた。それでいて室内空間には十分な余裕がある。そもそも全長が5mを超えるのだからレッグルームに不足があろうはずもないのだが、問題は後席ヘッドルームだ。そこで身長180㎝の人に乗り込んでもらったのだが、髪の毛がリアウィンドウに触れることはなく、ちゃんと座れていた。乗降性やリアシートのクッションストロークでは5シリーズセダンに軍配があがるものの、事実上は4ドアセダンとして使えると言っていいだろう。

まず日本に入ってくるのは3ℓ直6ターボを積む640iグランクーペ。秋頃には4・4ℓV8ターボを積む650iも追加される予定だ。プレミアム4ドアクーペというジャンルを創造したメルセデス・ベンツCLSにとってはかなりの強敵になるはず。エモーショナルなクルマに乗りたいが実用性も捨てきれない…そんな人にピッタリなモデルだ。

ルノー カングー・イマージュ 商用とは思えない 心地よさ

アヘッド ルノー カングー・イマージュ 商用とは思えない 心地よさ

▶︎使い勝手の良い室内空間や遊び心のあるデザインを持つルノー カングーに、スタイリッシュな内外装デザインを採用した上級グレードモデル。シルバーをアクセントにした特徴的な前後バンパーや、ブラックヘッドランプマスク、室内を明るく演出する3トーンシートなどを採用している。
●車両本体価格:¥2,448,000/全長×全幅×全高(mm):4,255×1,830×1,810/車両重量:1,460kg/乗車定員:5人/エンジン:直列4気筒DOHC16バルブ/総排気量:1,598cc/最高出力:78kW(105ps)/5,750rpm /最大トルク:148Nm(15.1kgm)/3,750rpm/駆動方式:前輪駆動


ルノー・ジャポンの販売台数のうち、約半数を占める人気モデルがカングーだ。人気の秘密は、肩から力の抜けたカジュアルなデザインと、広くて使いやすい室内&荷室、219・8万円〜というフレンドリーな価格だ。

カングーの上級グレードとして発売されたイマージュの特徴としてまず目につくのはシルバーに塗った専用デザインのフロントバンパー。高級感を出すためにボディカラーもメタリック系を中心とした5色を用意した。内部をブラック仕上げにした専用ヘッドライトが、まるでアイラインを引いたように目元をキリリと引き締めている。

インテリアのトピックはレッド/シルバー/ブラックの3トーンカラーシート。派手なのに決して悪目立ちしないのはフランスのエスプリの為せる業か。それにしてもこのシート、見た目だけでなく座り心地がべらぼうにいい。座るとソフトな表皮が身体の形に完璧にフィットし、次いで内部のウレタンが体重をしっかりと受け止める。これなら5〜6時間座り続けても疲れ知らずだ。

本国ではカングーの約半数が商用タイプだが、シートの座り心地は基本的に常用も商用も同じ。コストダウンばかりを先行させたロクでもないシートが横行する日本の商用車とは大違いだ。聞けば、乗車時間が長い商用車だからこそ最高のシートを与えるのがルノーのポリシーであり、またフランスの常識でもあるという。うーん、なんとも素晴らしいことである。もしこの原稿を経営者の方が読んでいたら、社用車を選ぶ際には価格と燃費だけでなく快適性も選択基準に据えていただきたい。

イマージュの他、「クルール」と呼ばれる限定車も登場したカングー。砂浜のベージュ、オリーブのグリーン、海のブルーという、南仏で過ごすフランス人のバカンスをイメージした3色のボディカラーは、イマージュのメタリックとはまた違う趣がある。

アヘッド ルノー カングー・イマージュ 商用とは思えない 心地よさ

アウディ A4 熟成度を増した ビッグマイナーチェンジ

アヘッド アウディ A4 熟成度を増した ビッグマイナーチェンジ

▶︎世界的なベストセラーモデルがより洗練されて登場。新ラインアップを構成するTFSIエンジンは、すべて過給システムと直噴方式を採用し、アイドリングストップシステムとエネルギー回収システムを標準装備。シャーシにはチューニングが施されドライビングの楽しみを高めている。
●車両本体価格:¥4,400,000(2.0 TFSI)/全長×全幅×全高(mm):4,720×1,825×1,440/車両重量:1,540kg/乗車定員:5人/エンジン:直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボ/総排気量:1,984cc/最高出力:132kW(180ps)/4,000-6,000rpm /最大トルク:320Nm(32.6kgm)/1,500-3,900rpm/JC08モード燃費:13.8km/ℓ


A4のライバルはメルセデス・ベンツCクラスとBMW3シリーズ。Cクラスは昨年大規模なマイナーチェンジを実施し、日本カー・オブ・ザ・イヤーのインポートカー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。一方の3シリーズはといえば、つい先日フルモデルチェンジをしたばかり。そんな強力なライバルに後れをとるまいと、アウディA4もビッグマイナーチェンジを実施してきた。

マイナーチェンジ前のモデルとの最大の識別点になるのは顔つきだ。いまやすっかりお馴染みになったシングルフレームグリルは、上端の角が切り落とされ、それにフィットするようヘッドライトの形も新しくなった。とはいえ、どこからどう見てもアウディの顔であり、旧型ユーザーでもなければ見分けはつかないだろう。それどころか、A4、A5、A6といった各モデルの顔が似すぎていて、モデル間の見分けすらつかなくなってきているのが最近のアウディだ。ブランドとしての統一性を計るのも重要だが、それが行きすぎると、どこで切っても同じという金太郎飴のような印象が出てきてしまう。僕としてはもう少し各モデルに個性を与えてもいいと思う。

1・8ℓ直4ターボは廃止され、エンジンは2ℓ直4ターボのみに絞られた。FFと4WD(クワトロ)ではスペックに多少の違いがあるが、いずれも動力性能に不足はない。

印象的だったのは乗り心地と静粛性の大幅な向上だ。具体的な改善点はアウディジャパンすら把握していないとのことだが、間違いなく1クラス上の乗り味を手に入れている。いわゆる「熟成」というやつである。

工業製品に陳腐化は付きものだ。しかし適切な改善対策を行なえば長く魅力を保ち続けることができる。登場から4年経ったアウディA4だが、今回の大規模なマイナーチェンジによってその魅力はさらに増した。陳腐化どころか、熟成度を増したいまがいちばんの買い時かもしれない。

-------------------------------------
text:岡崎五朗/Goro Okazaki
1966年生まれ。モータージャーナリスト。青山学院大学理工学部に在学中から執筆活動を開始し、数多くの雑誌やウェブサイトなどで活躍。テレビ神奈川の自動車情報番組『クルマでいこう!』に出演中。

アヘッド ロゴ

この記事をシェアする

最新記事