岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.37 ドライバー視点が欠けている

VOL.37 ドライバー視点が欠けている

アヘッド 岡崎五朗のクルマでいきたい

「高速道路と自動車交通に関する調査研究機関として、関係分野における研究者の育成、高速道路網の整備、自動車交通の発達、及び諸外国との技術交流等」が業務であり、当然、行政とは太いパイプでつながっている。

ツアー内容は5泊8日でイタリアとフランスに滞在し、現地の高速道路を視察するというもの。関係者だけではなく一般の参加も可能で、ツアー代金はエコノミークラス使用で77万円とかなり高額だ。驚いたのは、現地での移動がすべて飛行機とバスという点。参加者はバスに乗って高速道路を走り、ローマからパリへの移動は飛行機。つまり、自ら運転する機会は一切ないということだ。

クルマを運転しなくてもヒアリング調査はできる。しかしせっかく海外まで行ったのなら、自分で運転し、現地の高速道路の状況やドライバーのマナー、交通規制の在り方などを肌身で実感するのが現地調査の本筋というものだろう。

ローマからパリまでの距離は1500㎞弱。その気になれば2日で走破できる。たとえそこまでしなくても、1〜2時間程度運転すれば多くのことが得られる。しかしこの視察ツアーには、そういった「ドライバー視点」がすっぽり抜け落ちているのだ。

今回挙げた例は氷山の一角であり、日本の交通行政はすべて、自らが運転することのない政治家や官僚や学者たちが決めている。

高速道路の実態を無視した低すぎる制限速度や、生活道路での30km/hゾーン規制導入の遅れ、分かりにくい標識、硬直的なパーキングメーターの運用、危険度や渋滞ではなく、取り締まりやすさを重視した駐車監視員の行動など、すべての問題は「ドライバー視点の欠如」にあるといっていい。

海外でクルマを運転する機会が多い僕は、ことあるが毎に日本の道路行政のお役所仕事ぶりに失望させられている。大金を投じて専門機関が実施する「調査団」に加わっても、そういった経験を得られないのは、なんとももったいないことだと思うのである。

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