岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.37 幼稚園バスのシートベルト

日産 NV350キャラバン

商用だからこそこだわった 「運転者重視」

アヘッド キャラバン



昨年、試作モデルの写真が発表されたとき、我が目を疑った。ハイエースにそっくりじゃないか、と。しかし、一般道に試乗に連れ出した新型キャラバンは、ハイエースとはかなり違って見えた。顔もお尻もサイド面の造形も違うし、「雨樋」をルーフ上に設けたため、外付けしているハイエースよりもずっとモダンに見える。

もっとも、それらはディテールの差違に過ぎずフォルムはほぼ同じ。ライバルであればこそ、意地でも異なるフォルムを与えて欲しかった気もするが、5ナンバーサイズ内で十分な衝突安全性と最大のスペース効率を実現しようとすれば、結果的に似てきてしまうのはある程度仕方がないのかもしれない。

キャラバンの最大のセールスポイントは、ハイエースを5㎜上回る室内長だ。5㎜差がどれだけ重要なのか僕にはピンとこないのだが、先代キャラバンが室内長でハイエースに劣ることを理由に苦戦したのは事実であり、キャラバンの弱点は完全にクリアされた。

実際に乗ってみて感心したのがシートの座り心地の良さだ。乗用車並みとまでは行かないが、シートクッションの厚みもシートバックのホールド感も、この種のクルマとしてはかなり優れている。

運転席の下にエンジンを積むキャブオーバー型はスペース効率の高さで有利な反面、どうしてもシートが薄くなりがち。その点、日産のエンジニアは多くの制約のなかでいかに快適なシートを実現するかに大きな努力を払った。この部分に関して、開発責任者の八木氏は「運転時間の多い商用車だからこそ快適性には徹底的にこだわりました」と語っている。

これこそ日本の商用車に決定的に欠けていた視点だ。これまでは経済性という「企業の論理」が優先しがちだった日本の商用車だが、新型キャラバンの登場を機に実際に運転する「人」を重視した商品作りがますます加速することを期待したい。

仕事、趣味、レジャーなどあらゆるシーンで多目的に使える本格的商用車がフルモデルチェンジ。ボクシーながら、フロントやコーナー部を大きくラウンドさせるなどクリーンでモダンなエクステリアデザインとなっている。ホイールベースを拡大することで余裕ある積載量を実現している。

車両本体価格:¥2,436,000(ワゴン DX)
全長×全幅×全高(mm):4,695×1,695×1,990
車両重量:1,860kg 乗車定員:10人
エンジン: DOHC・水冷直列4気筒
総排気量:2,488cc
最高出力:108kW(147ps)/5,600rpm
最大トルク:213Nm(21.7kgm)/4,400rpm
JC08モード燃費:9.1km/ℓ 駆動方式:前輪駆動

アウディ A1 スポーツバック

アウディ流センスが光る 5ドアハッチバック

アヘッド A1スポーツバック

A1スポーツバックは、昨年1月に登場したA1の5ドアバージョンだ。アウディらしいプレミアムなコンパクトモデルに興味を抱きつつも、3ドアということで購入を躊躇していた人にとって、スポーツバックの追加はかなり気になるニュースだろう。アウディジャパンでは3ドアと5ドアの販売比率をおよそ3対7と見積もっている。

という説明をすると、そこには何のストーリー性もない。たしかに利便性は向上したが、ただそれだけの話である。しかし、そこで終わらせず、5ドアモデルに「スポーツバック」というネーミングを与えることによって、ある種の付加価値を生みだそうとしているのがアウディらしい部分だ。

スポーツバックという名称は、A3、A4、A5、A7にも用意されている。すべて5ドアハッチバックだが、アウディはそれらを「利便性と美しさを高い次元で両立した新しいジャンル」と定義している。

事実、どのスポーツバックにも、アウディらしい高度に洗練されたデザインと仕上げが備わっている。A1スポーツバックを例に挙げれば、乗降性や後席ヘッドルームを確保しつつ、美しいプロポーションを維持するべく、ルーフラインやリアピラーの形状には相当入念な手が入れられている。

コンパクトなボディに4枚のドアをバランスよく配置するだけでも難しい作業なのに、デザイン的にまったく違和感を出さず、それでいてすこぶる快適な後席空間と優れた乗降性を実現した仕上げは、相当に高度だ。

ステーションワゴンをアバント、4WDをクワトロと名付け付加価値を与える。アウディのネーミング戦略は小憎らしいほど巧みだ。しかし、実車を眺めると、それが単なる言葉遊び、単なるマーケティングテクニックではないことを実感できる。徹底したこだわりと、それをアピールする巧みな戦略。アウディ人気の秘密の一端はそこにある。

アウディファミリーの一員であることを示すシャープなヘッドライトとシングルフレームグリルを組み合わせたフロントデザインを採用。5ドア化にともないフロントドアを短く設定。狭い場所での乗降性が向上している。ルーフを後方に伸ばすことで居住性を高め乗車定員を5名とした。

車両本体価格:¥2,930,000(1.4 TFSI)
全長×全幅×全高(mm):3,970×1,745×1,440
車両重量:1,220kg 乗車定員:5人
エンジン:直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボ
総排気量:1,389cc 最高出力:90kW(122ps)/5,000rpm
最大トルク:200Nm(20.4kgm)/1,500〜4,000rpm
JC08モード燃費:17.8km/ℓ 駆動方式:前輪駆動

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text:岡崎五朗/Goro Okazaki
1966年生まれ。モータージャーナリスト。青山学院大学理工学部に在学中から執筆活動を開始し、数多くの雑誌やウェブサイトなどで活躍。テレビ神奈川の自動車情報番組『クルマでいこう!』に出演中。

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