岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.37 幼稚園バスのシートベルト

VOL.37 幼稚園バスのシートベルト

アヘッド 岡崎五朗のクルマでいきたい

そんななか、一部の保護者から「それで本当に大丈夫なのか」という声が上がっている。もし僕が幼稚園児の子供を持っていても、きっと同じことを言うだろう。僕だけでなく、チャイルドシートをきちんと使っている人であれば、幼稚園バスの無防備ぶりに疑問を感じるのは当然だ。

幼稚園バスに対して周囲のドライバーは最大限配慮しなければならないが、それでも事故を完全に防ぐのは不可能だ。2003年からの10年間で、幼稚園バスに乗っていて怪我をした園児数569人というデータがそれを証明している。主に軽傷だが、だからといって「問題なし」としてしまうのは問題だろう。

事故が起こった際、生命を守るために開発されたデバイスのなかでもっとも効果的なのはシートベルトである。そう考えると、冒頭に記した国土交通省の考えはあまりに短絡的だ。問題があるなら、子供でも操作のしやすいシートベルトや、さまざまな体型にフィットする座席の構造を開発すればいいだけの話である。

教育現場の立場になれば、年端も行かない子供たちにシートベルトの装着方法を教えたり、装着することを徹底指導するのは本当に大変な作業になるだろう。けれど、これは命に関わる問題であるし、子供たちの将来を踏まえた「車育」という教育の一環だと考えれば、努力するだけの価値はあると思うのだ。

どんなクルマに乗るときも乗ったら必ずシートベルトを締める、という価値観を幼稚園児のときから徹底すれば、将来、自分が運転免許をとっても習慣的にシートベルトをするようになるだろう。また、後席に子供を立たせたまま平然と運転しているような安全意識の低い親にも「おかあさん、幼稚園のバスではねえ」と、子供側から親への交通教育も期待できる。

何が危険で、何が安全か。それを十分に理解できていない子供を危険から守るのは大人の義務であることを、われわれ大人はもう一度真摯に考えるべきだろう。

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