日本の誇れるクルマ

TOYOTA LAND CRUISER

ランクルなくして 社会が動かない 地域さえある

アヘッド トヨタ ランドクルーザー

*誕生から61年を経て、さらにランドクルーザーは進化を遂げている。最新のランドクルーザーは、砂地・がれき・モーグル・岩石路など、路面状況に応じて、スイッチ操作ひとつでトラクションやブレーキの制御を切り替え、オフロードの走破性を高める「マルチテレインセレクト」を採用している。
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初代「トヨタ・ジープBJ」は'51年に誕生した。「ランドクルーザー」の名はその3年後に与えられたものだが、国産車では最も長い歴史を誇るモデル名だ。元は警察予備隊への入札用に開発された四輪駆動車で、その姿は大戦中の米軍ジープによく似ていた。

実際、米軍ジープは当時の技術の粋を集めて造られたクルマで、現代四駆のマスターピースと言える存在。ランドローバーですらこのクルマから多大な影響を受けている。

ただし徹底した軽量化と効率化が求められたジープと違い、商用車主体だったトヨタはトラックのシャシーと大排気量エンジンを使用して、オーバースペックなほどに頑丈なクルマに仕立てた。これが、後の運命に大きく影響することになる。

結局、入札はジープのライセンス生産を行う三菱案に決定。敗れたトヨタはその可能性を海外へ求めて行くことになったが、これがランクルの成功に繋がった。

同じ頃、初代クラウンもアメリカへ輸出されたが自動車先進国の乗用車に対する評価は厳しかった。対してランクルはワークホースとして順調に登録台数を伸ばし、高度経済成長時代初期のトヨタを支えて行ったのだ。

ランクルはその後、先進国より悪路の多い国々で評価されて行く。当時、四駆といえばひと足先に世界市場へ打って出ていたランドローバーの独擅場だったが、トヨタはクルマの性能だけでなくパーツ供給の安定化と故障時の対応で勝負した。故障してもいつ部品が手に入るか分からない状態から一両日中にパーツが供給される体勢へ。

不具合があれば技術者を送り、原因究明と対策をすぐに行った。当時、ランクルは新たな市場への切り込み隊長役。その成否がトヨタのイメージを左右しただけに彼らも必死だったのだ。こうして製品の完成度を向上させて行ったランクルは頑丈で壊れず、信頼性ある四駆として世界中に知られて行った。そして用途に応じてさまざまなモデルを派生させていったのだ。

現在では世界約180カ国に輸出され、1951年からの累計販売台数は650万台を突破した。最も多く輸出されているのは中東だ。ここではランクルが圧倒的な強さを誇っている。砂漠でも港湾地帯でも重い荷物を積んでいるのは70系ピックアップばかり。

王侯貴族の鷹狩りには最新の200系が活躍し、ドバイだけで100を優に超えるというデザートツアーも、その9割がランクルだ。なにせトヨタの開発主査が市場調査で現地入りするだけで新聞の一面に載る地域なのだ。その人気ぶりが理解できるだろう。次いで欧州、豪州、日本、アフリカと続いていく。

驚くべきはオーストラリア。日本の約20倍の土地に七分の一の人口というお国柄だが、ランクルはもはや生活の必需品だ。事実、内陸には「アウトバック」と呼ばれる砂漠や荒野が延々と広がっているが、彼らはそこを「ランドクルーザー・カントリー」と呼んでいる。この先ランクルにあらずんば入るべからず、という看板だって存在する。

これは、生半可な四駆では走破できないし故障すれば命に関わるぞ、という警告なのだ。鉱山の地下では一生太陽を見ることのないランクルが働き続け、牧場の経営も鉄道会社も電話会社も全て、ランクルがなければ仕事にならない。オーストラリアは国を挙げてランクルに恋している、と言ってもいい。

アフリカも同じだ。ランクルは許容重量を遙かに超えた荷物を積みながら道無き道を走り、ロングホイールベースに改造されたサファリカーが観光業で活躍する。

国連も国境のない医師団もNPOの活動も、そのほとんどがランクルの上に成り立っている。自然環境の厳しい国では経済や産業はもちろん、行政に医療、観光から個人ユースに至るまであらゆる面で人々の生活を支えている。

最新の200系も私が試乗する限り悪路走破性は世界一。耐久性、信頼性、いずれをとってもこれほど信用できるクルマは他にない。もはや地球上になくてはならない存在、それがランドクルーザーなのだ。

アヘッド トヨタ ランドクルーザー

'60
40系。'60 年から'84 年まで生産されたヘビーデューティモデル。ラダーフレームに前後リーフリジッドのサスと副変速機付きパートタイム4WD を組み合わせた。写真は'74年に追加されたディーゼルモデル。経済性に優れ、人気を博した。

アヘッド トヨタ ランドクルーザー

'84
'84 年登場のヘビーデューティーモデル。通称ナナマル。5 種類のホイールベースを備え4ドアからピックアップまで多彩なラインナップを持つ。ボディー外板は0.7 ㎜と極太。複数回の鈑金に耐える強度がある。*1(70 系)

アヘッド トヨタ ランドクルーザー

'89
80系(通称ハチマル)。'89 年登場のステーションワゴン。ラダーフレームに前後コイルリジッドの足回り。フルタイム4WD を採用し、前後およびセンターデフロックが可能。高い走破性と快適性を両立させていた。

アヘッド トヨタ ランドクルーザー

'07
'07年に登場した最新のステーションワゴン。先進の電子デバイス「クロールコントロール」やリアリジッドのキネティックサスペンション、あるいは車高調整機能により、歴代最高、世界最高の走破性を誇っている。*2(200系)

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