岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.38 世界で闘うための変革

VOL.38 世界で闘うための変革

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その象徴となるのが、レクサスとインフィニティという両社のプレミアムブランドの動きだ。

トヨタは今年6月に新しい組織である「レクサス・インターナショナル」を立ち上げた。レクサス・インターナショナルとはいわゆる社内カンパニーであり、デザイン、開発、営業、販売促進といったレクサスにまつわるほぼすべての業務を担当する。

従来は「トヨタ自動車でレクサスの開発を担当している○○です」だったのが、「レクサスの開発を担当しているレクサス・インターナショナルの○○です」となったと言えばわかりやすいだろう。

創設の狙いは、ブランドとしての意志決定を迅速化すること。トヨタのなかの1部門だったときは、レクサスに関係のない部門長などからいろいろな意見が出て、調整に時間がかかっていた。また、時間がかかるだけでなく、導き出される回答も没個性になりがちだった。

その点、レクサス・インターナショナルでは、責任あるごく少数の人物が意志決定を行う仕組みになっている。まだ立ち上がったばかりの組織だが、今後、レクサスがどのように変わっていくか、注目したい。

日産はさらに過激で、今年4月にインフィニティを日産と切り離し、本社を香港に置いた。巨大な中国市場を睨んだ場所という要素もあるが、最大の狙いはトヨタと同じ「意志決定の迅速化」に他ならない。グローバルで戦うプレミアムブランドとして、インフィニティには大攻勢を仕掛けてきているドイツ勢と対等に戦うことが求められている。

そんななか、雑音の多い日本の本社では、書類のハンコが増えるばかりで物事がスムーズに決まらない。地理的にも人的にも日産とは完全に切り離し、コンパクトで自由な意志決定をしていくことが、香港移転の真の目的だ。

レクサスとインフィニティのトライは、もしかしたら肥大化して意志決定が遅く、誰も責任をとらなくなっている日本企業の組織に風穴をあけるかもしれない。

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