「iQ」ベースのアストン・マーティン

アヘッド アストン・マーティン

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イギリスの超高級スポーツカーメーカー、アストンマーティンからコンパクトカーが発売された。その名は白鳥の雛を意味する「シグネット」。このクルマ、ベースはトヨタ「iQ」である。ただしiQと同じ部品はルーフとリヤフェンダーのみ、ほぼすべてをアストンマーティンのクオリティで作り替えている。

text:桂 伸一 [aheadアーカイブス vol.110 2012年1月号]
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「iQ」ベースのアストン・マーティン

「iQ」ベースのアストン・マーティン

何故アストンマーティンがトヨタ車を使うのか? その経緯は、『ニュルブルクリンク24時間レース』に端を発する。そのレースで、親日家だったアストンマーティンの社長と、トヨタの章男社長が同じピットを共有。ふたりは意気投合し、協力関係を築く約束をした。

その後、「震災」の義援金をはじめ、レースに出場したアストンマーティンのルーフに日の丸と共に「HEART FOR JAPAN」と書き込む心遣いをするなど、「信頼関係」から史上最もコンパクトなアストンマーティンは誕生した。
全長わずか3m、2000㎜のホイールベースは、取り回しのしやすさに優れている。それは混雑極める香港の街並での試乗でも確認できた。何故、香港が試乗会の地に選ばれたのか? 理由はアジア地域で香港と日本が真っ先に販売が開始されるためなのだ。

価格は475万円から。イギリス・ゲイドンにあるアストンマーティンの工場で製造されるシグネットは、iQの完成車が納入されると、全て部品の状態にまで解体して、アストンマーティンのクオリティで内装の素材や塗装などを作り替えられる。そして、その色や素材のオーダーも可能とされている。iQに対して約3倍の価格差があるのにはそういう事情がある。

ともかく、見た目がキュートでゴージャスなシグネット。エンジンは1.3ℓの4気筒。これをベルトドライブのCVTか6速MTが選択できる。スポーツカーとは言い難いが、シティコミューターとして快活な走行性能を持つことは間違いない。
操縦性はステアリング操作すると、その場で転回(回転半径は4mを切る)するかと思うほどクイックな特性。これが日本の裏道でも威力を発揮することは「iQ」が実証済み。

一方で、170km/hに達する最高速度の領域でも直進安定性は抜群に高い。欧州の環境に合わせたクルマ造りがなされている証拠だ。大排気量のスポーツカーメーカーであるアストンマーティンが欲しかった性能がこれなのだ。

シグネット、一度見た子犬が脳裏に焼き付くような、そんな気持ちにさせる存在感の持ち主だった。
全長×全幅×全高(㎜):3,078×1,680×1,500mm/車両総重量:988㎏/乗車定員:4人/エンジン:水冷直列4気筒DOHC/総排気量1.33ℓ/最大出力:72 kW(98ps)/6,000rpm/最大トルク:125 Nm/4400 rpm

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